九十六巻目 久しぶりの日本ですね・・・
だけれども、これから行くところが果たして人の道にそれたところではないかどうかはまだわからない。とりあえず、ついていっては見るけれどももしやばそうならば、頑張って逃げたいと思う。捕まったら仕事ができなくなっちゃうからな。
「とりあえず、早く行きましょう。あまり長く外にいたところで、何もないですからね」
と、言って神様は人ごみの中へ向かって歩いていった。俺もとりあえずいつも通りついていかなければな。
※※※※
「ね! お願いだから、結婚して!!」
「付き合ってもないんだから結婚なんてするわけないじゃない! ・・・というか、女同士なんだから」
「愛さえあればいいじゃん!」
「ダメに決まってるでしょ!」
「ぶ~・・・でも、そういうツンデレのところが本当に好きだなぁ・・・えへへ」
犬は気持ち悪い笑顔を浮かべながら、求愛行動をしてくる。だけれども、私は女だ。女が女に求愛行動をしてくるのは、否定はしないけれども私としてはあまりお勧めできる行為ではないな。そもそも、私はそういう気がないんだ。私は女が好きじゃないんだ。だから、たとえものすごく可愛い女の子が「好き!」と言ってきたとしても、私はその言葉に対して「ごめん」と、言うだろうな。
・・・なんで私こんなに真剣にこのことを考えているんだろ。なんか自分自身が分からなくなってきたよ。
さすがに日が落ちて暗くなってきたから、気温は低くなっていきいくら人ごみの中とは言え肌寒くなってきた。ライブが中止になったのは休みができたからうれしいけれども、本当は家でゆっくり休みたい。だけれどもこのまま犬をほっとくわけにもいかないしな・・・。
そんな誰かに言ったら「ものすごくどうでもいい」と笑顔で言われそうな悩みを本気で悩んでいたちょうどその時、誰か知っている人、誰だかはしっかりと確認はできなかったけれども、誰かがなんだかうちのファンの人と行動をしていたように思える。ただ一つ言えるのは、その誰かは信長様ではないということだ。あの人ああ見えて、結構インドアな人だからね。
「ねぇ、みきぃ~」
「もう・・・」
もう・・・うるさいな・・・・・・
※※※※
「久しぶりの日本ですね・・・正確には三日ぶりでしたっけな?」
不思議な機械の中に、白人の外国人が日本語をしゃべりながら立っていた。その外国人は不敵な笑みを浮かべながら周囲を見渡していた。
「この建物の中は何も乱れていない・・・ようですが、何か玄関のところであったらしいですね? なぜアラートの音がガンガンにかかっているんでしょう。うるさくて、頭が割れそうですよ」
たしかに白人の言う通り、建物内には警報音が鳴り響いていてとても雰囲気的には危険な状況のように思えた。だけれども白人は「まぁ、何度もこういった出来事を体験していると、意外と平常心でいれるもんですね」と言いつつ、機械に着けられている扉を開いて機械の外に出て、外にいろいろと設置してあるスパコンのような電子機器を制御して、その警報音を止めた。
「しかし、誰がこの警報音を鳴らしているんでしょうね。近所のかわいい子供たちの仕業とも思えませんし・・・・・・まぁ、あとで監視カメラでも見ることにしましょう」
と、言って白人はその部屋から出てコーヒーを作りに行くのだった。




