九十一巻目 本当にすごいよ、現代の技術って
「で、さ・・・」
「?」
犬が少ししゃべり、だんまりを始めてしまった。犬の顔を見てみると、少しだけ困っているように見えた。何に困っているかは分からない。困る要素がないからわからないのでは無く手、犬が今までやってきた行為を自分に置き替えてみたら困る要素しかないからだ。本当に、困る要素しかないんだ。恥ずかしかったり、恥ずかしかったり・・・恥ずかしかったりするからもう、なんかね・・・・・・ちょっと考えるだけでも顔が赤くなってしまうよ・・・・・・・・。
「なによ、犬」
あんまりにもだんまりを決めているもんだから、我慢も限界に来てしまった。長すぎるんだよ、もう。
いつもであれば、私が犬に問いかけたら絶対に犬は電源を入れた電球のように明るくなり、そして息遣いを荒くして私に何かを言い始めるのに、今は何だかしおらしい。
黙っていれば美人、かわいいのにという言葉の通り、犬は本当に黙っていればかわいい女の子なのだ。かわいくなきゃアイドルにはなれないんだから当然なんだけれどもね!(なんか自分でいうと恥ずかしいな)
「・・・」
「・・・」
どうしよう。沈黙が流れてしまっている。不幸中の幸いといっては何だけれども、周りが騒がしいので変な緊張感はなく、少し心の余裕だけは持つことが出来る。本当にそれだけはありがたい。・・・ありがたいのか?
※※※※
「――――まぁ、君たちには期待していますから。私はそろそろ見たいアニメが始まるので過去に帰らしてもらいますよ」
と言い、ジョンは白い部屋から出ていってしまった。
「・・・」
「・・・」
白人と男は黙り込んでしまった。
※※※※
たいていの建物にはいるときは鍵を使って開けるものだ。それは保安上の理由だから仕方がない。鍵は別にカギという道具以外にも、指紋や声紋、目なんかでも代用ができるらしい。本当にすごいよ、現代の技術って。
なんでこんなことをいきなり言い始めたかというと、このなんかよくわからない施設に入るためにはカギを解除しないといけないらしく、神様が「・・・チッ、ロックが何重にもなってやがる」って小さくつぶやいているんだ。ものすごく怪しすぎるよ。
監視カメラが俺たちをすごく見つめてくる。良く見てみれば壁の上には鉄のトゲトゲがおかれているじゃないか。もう、これヤバイだろ。
なんで、神様は俺をこんなところに連れてきたんだろ? むしろここは本当に聖地だったら、どうしよう・・・。
聖地ってなんだったけ。




