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Three Gem - 結晶の景色 -  作者: 赤月はる
明の年、暗の年
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94 恋がわからない sideニコル





「おい、ニコルー!お前プロテクター外せよ、片付けるぞ」


「あ、ごめん!すぐ行くよ~」



今日はメガヘルに、少し難しい連撃技の型を見せてもらいました。ちょっと足運びが難しくて、何度も「アレ?アレ?」とか言いながら練習しました。でも何度もやってると体が覚えてきて…できるようになると、ほんとに嬉しい!



「今日はアルマがいなかったから、なんか調子狂うねぇ」


「そうだなー、なんだかんだ言って4人で順番決まってた感じだしな。ホイ、雑巾」


「ありがとー。あれ、ユッテは?」


「ナディヤ姉に付いてったぜ。さっきの差し入れの片付け、手伝うってよ」


「あ、そっかあ。ほんとユッテはナディヤ姉さん大好きだよねー!見ててホワホワするよ~」



プロテクターを拭きながら、ツヤツヤの黒猫にスリスリする子狐の妄想が浮かんでニヤけてきちゃう…私たちと居る時はお母さん狐なのにぃ~、カーワイイ…



「うー、くっそ…今日こそコン兄に一撃当ててやりたかったのに…昨日あんなにイメトレしたのがアホみたいだ…」


「あー、今日はお仕事だっけコンラート兄さん。ねえ、オスカーは”ホルマリン漬け画像”使わないで勝ちたいんでしょ?」


「ん?あ~、やっぱわかるか?」


「うん、オスカーそういうこと考えないもんね。”俺が持ってること内緒にしてくれ”ってわざわざ言うし」


「ん~、あれはさあ、なんつーか…軽い冗談で済む時にしか出したくねーなぁ。でもさ、ヘルゲ兄の気持ちはすっげー嬉しかったんだ。お前が懐くの、よくわかるよ」


「ほんとっ!?うわ、嬉しい~!そうなのっヘルゲ兄さんて優しいの!」


「ははっほんとだよなぁ~。なんかさ、あの魔石くれたのだって、ほんとにあれでコン兄をとっちめろって意味じゃねぇと思うんだよ。なんかこう…”俺は味方だから、肩の力を抜け”って言われたみたいでさ」


「そう!そうなの!きゃあぁ、オスカーわかってる!そういうトコなんだよね、気持ちを軽くしてくれるとこがあるの!嬉しいっ私たちヘルゲ兄さん大好き同志だね!」


「ぶっは!なんだそりゃ…あー、俺が大好きなのはニコルなんだけど?」


「そうそう!そ…うふぇ!?」


「おっま…何その顔…ぶっは!」



オスカー?おなか抱えてゲラゲラ笑ってる場合じゃないんですけど…あ、なんだ…何かの冗談かな?私も…わ、笑うトコ…なのかな…?



「あ…あはは…?」


「あー、別に冗談言ったわけじゃねえよ?俺はニコルが好きなんだ。別に返事しなくちゃとか考えなくていいよ、お前そういうの考えたら機能停止しちまうだろ?今まで通りでかまわねぇ。ただ、知っといてくれりゃあいいよ」


「そ…それは難しいよ…でもオスカーとしゃべれなくなるの、イヤだ…でも考えすぎて挙動不審になる自信、ある…でも考えないなんてオスカーに失礼だもん…うー」


「はは、悪ぃ。きっとお前、そうなっちゃうだろうなあってわかってたんだけどさ。別にいいんだ、挙動不審になったって。たださ、俺が嫌いで近づきたくねーって思うんじゃないなら、避けないでくれるとありがたいかなー。そんだけでいいよ、ほんと」


「避けるわけないよっ…それはないよ…うぅ、ほんとごめんオスカー…しばらくおかしいけど…でもちゃんと頑張って考えるから…」


「うん、ありがとな。メガヘルは俺がアロイス先生のとこに連れていっとくよ」




なんだか二人して黙々と片付けをして、ぎこちなく手を振って別れて、部屋に戻る。ユッテはきっとまだナディヤ姉さんと一緒にいる。アルマはリア先生に学科のことで聞くことがあるからって言ってて、まだ戻ってきてない。


二人に相談する?ううん、そうしたいけど、でもダメ。これはオスカーが私にくれた気持ちだから、私が考えなくちゃ、ダメ。


オスカーはすごく私に気遣ってくれた。返事とか考えるな、知っててくれればいいって言ってくれた。ほんとはそうじゃないけど、それでいいって…自分を抑えて私を優先してくれた。


じゃあ、私は…オスカーとどうなりたいのか考えればいいのかな?


オスカーは好き。おしゃべりしてても楽しいし、優しくて、もう4人でいるのが当たり前なくらい大事な友達で。


…どうなりたいか、って…どういう選択肢があるの?

もし私がオスカーを好きだって言ったら…コンラート兄さんとナディヤ姉さんみたいになるってこと?

もし私がオスカーを好きじゃないって言ったら…4人じゃなくなるってこと?


…ううん…オスカーはそういうこと、しない。私が好きじゃないって言っても、4人のままでいてくれる気がする…でもそれ、オスカーがつらいまま友達のフリを続けるってことなのかな…そんなのやだ…


でも、「そんなのオスカーがかわいそう」なんて思って、好きだって言うのは絶対違う。絶対オスカーに失礼。うん、それはわかる…



うああ、ほんとにわかんない…

私が好きな人って誰?

だって、皆が大好き。

オスカーも大好き。


でも…コンラート兄さんとナディヤ姉さんみたいに、オスカーと私がなる??想像できない…ぜんぜん、わかんない…いつもの私の妄想力、ドコいっちゃったんだろう…


うー…




  

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