46 閑話 アルマとユッテ
「最近、なかなかやるようになったね」
「ほーんとだよねぇ。ついこの前まで、睨んでるんだか熱視線なんだかわからない目で見てるだけだったのにぃ~」
「それがさ、アロ兄に相談したって話があってさ。まさかのアロ兄からの指導であの変わり様とか、信じらんないわ~」
「…そうだよねぇ、アロイス兄さんだったら、ニコルに振られるように仕向けてもおかしくない…とか思ったら、悪いかなァ…」
「いや、それ全会一致で賛成って意見よ、妥当だわ」
「まあ、でもいい傾向よねぇ。オスカーってばすっごく注意して、ニコルと楽しく話そうっていう柔らかい雰囲気になったもの~。すごく前向きだと思うの」
「うーん、そうなんだよねぇ。そこは評価する。つか、そこまでオスカーを変えたアロ兄がすごいとも、思う」
「それは言えてるぅ…ちょっとアロイス兄さんを見直したかも。ニコルのことになると見境ないって思っててゴメンなさい…」
「でもさあ、すごく二人が仲よくなったとしてさ。ニコルがオスカーの気持ちに気付くと思えないってのがまた…」
「ニコルってほんとに自己評価低いのよねぇ。なんとかなんないかなァ。あそこまで鈍感だと犯罪級よォ…」
「いやァ…あの美形兄貴二人を毎日見ててさあ、しかも優秀って言葉じゃ片付けらんないのが一人いるわけじゃん。無理だよありゃ…二言目には『でもヘルゲ兄さんの方がもっとすごかったもん』とか『アロイス兄さんなら、もっとうまくやったと思うの』とか言うしさ」
「うー…なんかこう…くやしいのよねぇ。ニコルって最近すっごくキレイになっていってると思わない?それこそもう、髪形いろいろ試してみたいしお化粧もさせてみたいし着飾らせてみたいし…っ」
「落ち着け…」
「はぅ…それなのに、この前アロイス兄さんの家に泊まって帰ってきて、開口一番に『二人に絶対似合う髪飾り見つけたの!』とか言ってプレゼントしてくれて。だけど自分の髪飾りは買ってこないで、新しいぬいぐるみに夢中で…あああ、もったいないぃぃ!」
「だから、落ち着け…」
「だってぇ~…ほんと、もどかしいなァ」
「ただいまぁ~!なあに、なんか二人ともムズかしい顔してない??」
「ん!?ううん、なんでもないよぉ。おかえり~」
「うん、課題がちょっとムズかしかったっていうか…まあ、もう解決したわ!」
「そっかあ。ねぇねぇ、さっきオスカーがね」
「「オスカーがどうした!?」」
「え!?いや…コンラート兄さんに昔、首から下を砂浜に埋められて、身動きとれなくされたっていう面白い話をしてくれたんだよっていう…」
「「あぁ…」」
「え、なに??」
「「ううん、なんでも…」」
「??」
((先は長い…がんばれー、オスカー…))