274 無垢な朱雀と悪戯朱雀 sideニコル
ヘルゲがスザクを抱きながら、「スザク、どっちがいいんだ?」と聞きます。…新生児に何を聞いてるんだかなー…続いてライノとレイノ、ニーナとノーラにも聞くから、本気でヘルゲはどうにかなっちゃったのかなあ?と不安になった頃。
「ニコル、次は茶トラだ。全員一致で茶トラだった。買い物に行くぞ」
「…ヘルゲ…何してたの、いま…」
「アルに接続して、子供たち全員に猫の柄を選ばせたんだ。白と茶トラどっちがいいかと聞いたら全員茶トラだった…なんでだろうな」
「あー、そんな手で調べてたんだあ。そういえばブナの森にね、猫の親子がたまに来るの。その子たち茶トラだったと思うよー?」
「ああ、そういうことか」
「ぬいぐるみ屋さんに行くの?ナディヤ姉さんにスザクをお願いしてこよっか」
「む…それも悪いよな…うぐ…俺が行ってくるからいい」
「…無理しなくても。私だけで行ってこようか、ヘルゲがスザク見てて?」
「いや、こいつらのための猫だ。俺が行く…!」
…そんなに決死の顔をしなくても…CutieBunnyの店長さんは優しいよ…?気合を入れて中央へゲートを開いたヘルゲは、「あいつはバカ親父じゃない、あいつはバカ親父じゃない…」と呪文を唱えながら買い物へ出かけていった。
「ん~、ヘルゲ行っちゃったねえスザク?じゃあちょっと私とあそぼっか?」
自室へ戻ってベッドでスザクと一緒に寝転がり、ダイブ。
スザクが生まれてわかったんだけど、親子っていうのはバイパスなんてなくてもお互いの存在がかなり近くにある。ちょうど私とヘルゲの世界の中間に、スザクの紅い世界はあった。
ヘルゲと同じ紅い世界。でもまだ柔らかくて、形が定まってなくて、紅いだけじゃなく無色透明な結晶もユラユラしてるスザクの心。ヘルゲがルビーの紅一色だから、透明な結晶は何なのかなあっていつも不思議に思う。
守護で飛び回ってると…いたいた、スザクは手足を動かしながら紅い結晶や透明な結晶のメリーを目で追ってた。
「スザクー、おじゃまするよ~?」
( 主、森へ行くか? )
「え、連れてって平気なの?」
( 問題ない、我らが自我の拡散もさせないし何の影響も与えない )
スザクに手を伸ばすとおとなしく抱っこされ、一緒に守護へ乗って私の森に連れて来た。そのまま島をめぐると金色の女の子が飛んできて、スザクを撫でる。スザクはルビーの大結晶の中にコングロマリッドの光の雫が絶えずほろほろと零れるヘルゲの島を見て、目が離せなくなっているみたいだった。そのうちスザクはうとうとしだしたので、元の世界にそっと寝かせてきた。
ダイブアウトすると、やっぱりスザクはスヤスヤ眠っていた。私もちょっと眠くなって…寝かしつけようと思ってダイブしたのに、ミイラ取りがミイラってこれだよねーと思いながらスコンと眠ってしまった…
*****
「お、起きたかニコル」
「んあ…ヘルゲお帰りぃ。スザクを寝かしつけようとして一緒に寝ちゃったあ」
「そうなのか。スザクは起きてキョロキョロしてたぞ?」
「え!?うわわ、私泣き声で起きなかったのかな」
「いや、スザクは泣いていない。…こいつ、ニコルを寝かしておこうと思ったんじゃないのか」
スザクを抱っこしながらヘルゲは機嫌よさそうに笑った…うう、お母さん失格かなあ私…がくーん…
「あ、ぬいぐるみは手に入った?」
「…おう。俺は荒波を超えて大航海を終えた気分だ…」
「そ、そうなんだ…お疲れ様…?」
「一階でもう稼働してる。見に行くか?」
「うん!」
三人で一階に行くと、パティオでルカがきゃあきゃあ言ってるのが聞こえた。
ルカ「ねこしゃん、あしょぼー」
?「はいはーい」
ルカ「ねこしゃん、あれとってー」
?「おまかせおまかせ~」
ニコル「…え、話してるよ?」
ヘルゲ「アルの構文で作ったら音声データも入れられるようになってな。ナニー猫は三匹いる。いまルカと遊んでいるのはプラムだな」
ニコル「ほえ…プラム…梅?」
ヘルゲ「梅桃桜でプラムとピーチとチェリーだ。プラムはユッテの音声データ、ピーチはアルマの音声データ、チェリーはニコルの音声データを使ってる。…あの店長に瞳の色もお前たち三人に合せてもらった。同色のあのシャツはアルマが一時間で仕上げた…」
た…確かにあれはアルマが作ったっぽい。開襟シャツで半袖、プラムが水色でピーチが薄紫、チェリーが若草色なんだけど、背中に…ものっすごい迫力の文字で「梅」「桃」「桜」って書いてあるよ?
スザクの名前の由来を話した後、アルマは「それステキぃ、古代白縹かあ!ロマンあるう」とヘルゲに接続してはガードと話し、古代白縹の文化を聞き出しているらしく。なんだか激しいミスマッチだと思うんだけど、アルマはこれを「異文化コラボ」と言って創作意欲に火が付いたっぽいです。
ともあれ茶トラの三匹はナニー猫としてナディヤ姉さんの部下みたいな扱いなのだそうです。ヘルゲが命令系統はこうなってて、紅とナディヤを並列上位にしただのいろいろ言ってるけど、正直わかりません…でもヘルゲの「子供たちのために俺はやってやった!」みたいな満足げな顔を見ると私も嬉しくなっちゃいます。
「ところでニコル…アルマの”異文化コラボ”…止めさせることはできないのか?」
「え、なんで?アルマは火が付いたら止まらないよー?」
「…俺たちに変な服を着せたがるんだ…」
「ヘルゲたち?カイ兄さんとかカミル兄さん?」
「男全員に、妙なシャツを渡してきた。グラオの制服に採用しろと…」
「制服?ど…どんなの?」
「…これだ。ガードの分身が教えてくれた古代白縹の戦士を表す文字だと言ったらしいんだが、絶対アルマはガードに面白がられて遊ばれてるに決まってる」
映像記憶を見せてもらいました。
守護に翻訳してもらって、吹きました。
カイ用【筋肉馬鹿】
カミル用【瘴気充満】【桃神乱舞】
ヘルゲ用【自重不可】
コンラート用【焼肉定食】
アロイス用【食神降臨】
オスカー用【草食偽装】
ヨアキム用【拷問奨励】
アルノルト用【言霊憑依】
ど…どこから説明すればいいのかわかんないよう…まだマシなのはアロイス兄さんの食神降臨くらい?あとは皆ナニカがおかしすぎます…っ!!ていうか何でカミル兄さんは二つもあって、何でコンラート兄さんだけゴハンなの!?しかもヨアキムは器に直接着せちゃってて、ヨアキムが接続すると見えなくなるから…すでに平然と着てたんだ、ヨアキム…!
「おいニコル…お前、これの意味わかるのか?…守護か、守護がわかるんだな?おい、俺にも意味を教えろ守護!!」
( …これは我らが伝えたら誰かが被害に遭うのだろうか、主…? )
「ちょ…ちょっと待ってね…えっと…私が言うよ…」
( …是 )
「ヘルゲ、確かにガードがからかってると思う…アルマに言ってやめてもらうように言うから…」
「…くそ、やっぱりか…で、意味は?」
ゴニョゴニョ…ゴニョゴニョ…
「…ガアアドオオオオオ!」
ヘルゲはその場でドッカリと椅子に座り、ダイブ。ガードとケンカしに行ってしまいました。スザク…お願い、こんなイタズラする子にはならないでね…?
ひよりさんの「ロールキャベツ男子」発言をいただいちゃいました☆




