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Three Gem - 結晶の景色 -  作者: 赤月はる
三つの結晶
19/443

19 クールダウン sideアロイス







超絶不機嫌なヘルゲを連れて、ひとまず森へ避難。


だーもう!

あんな美人をこっぴどくソデにしといて、この男はまだプリプリ怒って…!



「…で?君はなんでそれでそこまで不機嫌なわけ?僕はうらやましいくらいだけど?」


「不機嫌にもなるだろうが。あの女、俺の逆鱗に触れたんだ。消し炭にしないだけ我慢してるだろう」



でも尋常じゃない赤黒いオーラ出して、めっちゃ攻撃態勢で立ち上がったよねぇ!?



「ちょ…『あの女』なんて、かわいそうだろ…まあ、ちょっと彼女も言い過ぎだけどね」


「ヘルゲお兄ちゃん、アロイスお兄ちゃん…どうしたの?何怒ってるの?」



お、女神降臨。


昨日は現代社会の授業で失敗して半泣きだったけど、今日は好調みたいだな。

しかし、ニコルにこんな恐々とさせるなんて…


まーだムッスリしてやがるよコイツ。


ヘルゲのお仕置き、決定。



「ニコル聞いて聞いて!ヘルゲねー…」


「黙れ」


「ヘルゲ、ニコルが怖がってる。いい加減にしなよ」


「む…すまん…ニコル…」



よし、ちょっぴりお仕置き成功。そうだそうだ、少しは反省しろ。

まあ、ビルギットもしつこかったしね…このくらいにしてやるか。



「ヘルゲ。何もビルギットが悪くないなんて、僕は言ってないだろ?」


「ふん…さっきかばってただろうが」



ハイお仕置き再開ぃぃ~!



「ニコル、ヘルゲはね、ビルギットにお昼ごはん一緒に食べて、海まで散歩に行こうってデートのお誘いを受けたのさ」


「えええぇぇぇぇぇ!」


「アロイス!!」



ばかめ、怒りで何も見えなくなりやがって。


一気に冷静さを欠く弱点があるのに、防諜もしてない学舎でがっつりさらすところだったんだぞ。


あんな、女の子相手に魔法までぶっ放す勢いの怒りは「可愛い妹」の域を超えてるっつーの。




あああ、ニコルがまたビクビクしちゃったじゃないか~…

しょうがない、そろそろクールダウンしますか。










「ヘルゲお兄ちゃあん…」


「ニコル…だめだ、俺には止められん…すまん、俺が不甲斐ないせいで…」




おや、少しクールダウンしすぎたかな。



ニコルに涙目で「やめたげて、お願い」のおねだりなんていうご褒美もらっちゃったしね、今回は少しだけで許してあげよう、ビルギット。


はー、僕も美人には大概甘いよなあ…









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