134 閑話 ニコルのマツリ In a Weiß
「じゃあ後2年もすればニコルが入隊してくるんだなあ。こりゃ楽しみが増えたな」
「ほんとよねぇ…ていうかもう宝玉なんでしょお?いいじゃなーい、もう卒舎待たないでヴァイスに来れば…」
「そんな、私まだまだ力が足りないと思うんです…魔法の制御も甘いし、このままじゃ皆さんの足を引っ張っちゃうし…2年間、めっちゃがんばりますから!いつか皆さんと一緒にお仕事して、役に立つって思われたいんです」
「はは、ニコルちゃんは棍が得意なんだぜ。動体視力が良くてなー。カミル、今のニコルちゃんなら『俺の本気70%のスピード』でいけるぞ。2年も経てば、もっとデキるようになるかもなあ」
「マジかよ?その年でそんだけできりゃ有望だな…」
「他の同期3人もシゴいてよ、パピィの経験値になってんだよ。カイはオスカーとユッテってやつが面白いと思うぜ。ニコルとアルマはカミルに見てもらえば、相当やれるようになるだろ。ニコルちゃん、二人はそれぞれ師範の免状持ちだぞ」
「すっご…カイ兄さんとカミル兄さんて、師範だったんですか…うわあ、楽しみになってきた…」
「「…”兄さん”…」」
「おや、完全にニコルにオトされたようで何より、カイさん、カミルさん」
「「オチずにいられるか!!」」
「えぇ~、ニコルぅ…私のこともマリー姉さんって呼んでも…いいのよお?」
「えっ ほんとですか…ほあぁ…いいのかな…じゃあ、マリー姉さん…」
「ああぁぁぁ~んっ ヘルゲが宿舎を灰にしてもいいわあ、私がニコル連れて逃げるぅぅぅ!」
「そこは自重してください、ハイデマリーさん。ヘルゲなら本当にやりかねません」
「おい、コンラート。この前言ってた地下組織のやつが使ってた暗器の情報持ってきたぞ」
「おーう、さんきゅデニス。助かるぜ」
「…? あれ、その子…アロイスとヘルゲと一緒にいた…ニコルって言ったっけ」
「あ…あの、こんばんは…お邪魔してます…」
「あ、ああ…こんばんは…まだ卒舎してなかったよなあ?」
「はい、その…さっきまでバ…バルタザール大佐とエレオノーラ中佐とお話させてもらってて…それで、お邪魔しています」
「…ちょっとぉ~、デニスぅ?あなたニコルに何かしたわねえ…?緊張してるわあ、カワイソ…」
「えっ 俺なんもしてないっすよ!?接点ほとんどないし!」
「あ、あの!すみません!…私が勝手に…マリー姉さん、デニス兄さんは何も悪いことなんて…アロイス兄さんとはとても仲良しって知ってるんですけど、ヘルゲ兄さんと仲が悪いって…その、私も良く思われてるはずないなって、つい…」
「ああ、そういうことぉ~。じゃあ悪いのはヘルゲとデニスねぇ?」
「うぇっ ちょ…俺、ニコルのこと嫌ってなんてないぞ?な?」
「あ、はいっ!すみませんでした、感じ悪いことしちゃって…本当にごめんなさい」
「お、おお…いいって、誤解が解けたならよかった…ああ、焦った…」
「ああぁぁ~ん、いい子じゃないのニコルぅ~!…デニス、わかってるわね。ニコルに今後何かしたら、私が相手よ?」
「だぁぁ、だからそんなことしませんってば!勘弁してくださいよ~!」
「おや、ヘルゲが中佐から解放されてきたね。…ん?大佐まで…どうなさったんですか」
「おぉ、ちょいとニコル、爺ちゃんのとこにおいで」
「あ、はーい」
「「「…爺ちゃん…?そして今まで聞いたことのない猫撫で声…」」」
「おおぉぉぅい!お前ら聞けぇ!この娘っ子は緑玉のニコルってんだぁ!今後ニコルに手ェ出すやつァ、俺が相手だってのを頭に叩ッ込んどけよお前らァ!」
「「「ええぇぇぇぇっ バル爺の後ろ盾ぇぇぇ!?」」」
「ちなみにエレオノーラが”お婆ちゃんとお呼び”ってぇ許可出したからな、そこんとこも弁えろよお!」
「「「「「ういいいいぃぃっす!!!!」」」」」
「お…お爺ちゃんすっごい声がおっきいんだね…びっくりしたー」
「おお、驚かせてすまんなァ、ニコル」
「ううん、なんかヴァイスのトップ!って感じでかっこよかったー」
「がっはっは、そうかそうか、爺ちゃんかっこよかったか!」
「うん!」
(((((孫に蕩けてんじゃねーよジジィィィィ!)))))
「おい、ニコル…そろそろ帰るぞ」
「あ、はーい!お婆ちゃんにもう一回挨拶してきていい?」
「…おう、手短にな」
「うん! あ!…皆さん、お騒がせしてすみませんでした…失礼します!」
「またねぇ、ニコルぅ。何かあったらすぐ私に知らせるのよお~?」
「はーい!あ、今度クッキー作ってくるね!得意なの、その時は食べてね!」
「もちろんよぉ~!」
「「おー、楽しみにしてるからなー」」
「ニコルちゃん、ヘルゲがすげえ顔してんぞ、早く行け~」
「ニコル、ミニーネに連絡待っているよ」
(((((ヴァイスの実力者、総ナメ…なんなんだあの子…っ)))))