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夢の魔女
辞書をもってくる頃には、友達は起きていた。
「おはよ」
「ん」
軽く挨拶を交わし、それから静かに座る。
どうやら置いておいた本を読んでいたようだ。
そして、本のあるところを指さす。
私はパッとじゃ読めないから、辞書を見ながらどうにか訳した。
「超越次元の魔女…?」
その話によれば、紀元前3世紀ごろの古代ローマ時代。
一人の魔女がマルクスと呼ばれる執政官のもとにおり、未来を見通すことができたと書かれている。
その未来を見通す方法が、自称だが次元を超越するという方法だというので、ついたあだ名が超越次元の魔女だと言うことだそうだ。
「この方法でいけないかなぁ…」
「次元干渉の術は、禁忌術に含まれるからね。でも、この人の話なんて、ここで初めて聞いたよ?」
「先生なら知ってるかもしれないけど、聞くわけにはいかないし……」
今なら、引き返せると、頭の中で誰かが話したような気がした。