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夢の呪文
とりあえず、助けることだけは決めたものの、なかなか魔法を覚えるということは難しい。
禁忌レベルの魔法ともなれば、なおさらだ。
「構文が分かれば、何とかなるんだけどなぁ」
友達は、そういって私の目の前でうなっている。
助けると決めてからもう半月が過ぎているが、一向に事態は進展していない。
ちょうど期末テストの直前に当たっていたということもあって、このことに集中するよりも、テスト勉強に集中せざるを得なかったからだ。
だが友達はテストがやっと終わったということもあり、私も残り1教科だけなので、余裕が出てきたということだ。
「先生に聞くわけにもいかないしねぇ……」
その時、現実的な回答が頭をよぎる。
「図書館行こうか」
「さんせー」
友達は単に涼みに行きたいというぐらいの気持ちだろう。
今いるのは友達の家、ただ扇風機1台しか、冷房装置はない。
魔法で冷やすこともできるが、体力をどうしても消耗するため、できればしたくなかった。