彼女の夢
彼女が教えてくれた夢は、壮大なものだった。
神様とであったということだ。
それも、とびっきりの、最高の神様だったらしい。
名前は忘れたといっていたが、きっと本当は覚えているに違いない。
神は言われた。
「君は、どこから来たんだい?」
「私は、私が住んでいるところから来ました」
その時、そこは、見知らぬ世界だったという。
「そうかい。なら、ここを知らずに来たということかい?」
彼女は頷いたらしい。
「ここは、神が住んでいる世界、とでも言っておこうか」
その時、騒いでいる声が聞こえてきた。
「あれは……」
彼女がそちらへ振り返ろうとした時、神は止めた。
「今は、中世ヨーロッパ。魔女狩りの真っ最中だよ」
「魔女狩りって、あまり発展しなかったって聞いたけど……」
「それは、君たちの世界での話だ。でも、この世界では違う。まさに、無実の人たちですら、魔女や魔法使いだとされて、数百万人が殺された」
神が立ち上がる。
彼女も、ゆっくりとそれについていく。
「君なら、どうする?」
「……止めたい」
「そうかい。確かに、君ならこれらを止めることはできるだろう。だが、それでいいのかい」
「いい。仲間を守るのは、私達の義務だから」
「なら、止めはしないよ。頑張りなさい」
そこで目が覚めたそうだ。