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仲間
「まあ、その可能性はあるだろうね」
渡島は、私たちにあくまで可能性だけどと前置きしてから話し出す。
「獏だとしても、完全に痕跡を消し去るということは困難なんだ。高位の獏であれば可能だろうけどね。逆に、何の痕跡を残すかということは、とても容易いことなんだ」
「ということは、超越次元の魔女は、わざとその痕跡を残したっていうこと?」
「あくまでも可能性だけどな。あり得る話だっていうこと。ただ、話を聞いていると、降霊術の範囲外の人みたいだから、直接話を聞くっていうのは、無理だろうね」
渡島の話はもっともだ。
数百年前の人の魂は、すでにいろんなところに分かれているだろう。
ただ、これで道は見えた。
「それでさ、相談なんだけどさ……」
友達が言いづらそうに切り出す。
それを渡島は制止した。
「もう話は聞いてるよ。同族が苦しむのは、僕だってごめんだ」
どうやら、仲間ができたようだ。