夢
その日、私は夢を見た。
そこはどこか、よく知らない土地。
そして、目の前では魔女として火刑に処されている人がいた。
「火を放て」
軍隊の指揮官が命令すると、兵士はすぐに持っていた松明をその人の所に近寄せる。
そこで目が覚めた。
「んー、魔女狩りかなぁ」
友人にそのことを話してみると、軽い口調で話す。
ここは国立手野大学、私はそこの魔術学部にいる。
日本の中で生まれ育った特定の種族は、ここに入学することになっていた。
そして、私は魔女として入校したわけだ。
目の前にいるのは、大学でできた友人で、精霊族の菅山牧子だ。
歴史に興味があるらしく、こういう話は好きらしい。
「1600年から1690年ころまで続いた人類以外の弾圧のこと。宗教的なことが原因だと言われているけど、あまり資料が残っていないっていうことと、魔術師は当時から必要不可欠な存在だったからね。ほとんど何も行われなかったらしいわ」
いちおう言っておくと、人類以外の種族というのは、精霊、魔術師、化狼、獏、吸血鬼の5つの種族を指している。
法的には、他種族とか、魔術族とか、精霊などと呼ばれている。
魔術師は、魔女と魔法使いからできている種族で、私が属しているのも魔術師だ。
「ということは、やっぱり夢なだけなのかな」
私が聞くと、わずかに間が空いて。
「そうだと思う。ともかくそれだけだと何が何だかわからないからね。また夢を見たら教えてよ」
「分かった」
その日は、それで終わった。