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異世界神話奇譚  作者: 玉梓
石器の王国
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 狂言回し視点

 ふむ……頑張ってると思うのだがねぇ。


 ?やあ。

 また来たのかい?


 見たまえよ。

 銅も鉄も無い。

 緑溢れる原始の世界を。

 

 そしてあそこで草を編んだ服を着て、棒の先に石を枯れ草で巻きつけた槍を持ってるのが、迷い人の生れ変りだ。

 ……そんな顔をするのは失礼ではないかね?

 今の君の姿に比べれば確かにみすぼらしいが、ああして必死で生きてる姿は美しいと思うのだ、が。


 ちなみに、今彼は生れ変わって十五歳になる。

 知識を持って生れ変わっても、思い通りには行かなくて苦労してる様だよ?

 残念ながら、彼の生まれた王国はなかなか大きくなっていない。

 何せ農業を始めようにも、食べれるだけのモノを見つけなければ始められないだろう?

 林檎も芋も、米も。

 品種改良する前の姿になってはなかなか見つけられないようでね。

 ただまぁ、森の恵みは豊富だからそこまで困ってはいないようだが……やはり食べ物の確保が出来ないようで夏に冬に死者が出ているようだよ?


 ん?アレでも王国なんだよ。

 子供含めて五十人。東西は山、南北に森。あまり土地には恵まれてもいないようだがね。


 もう一つの理由がアレだ。

 見てごらん。

 豊かな自然の中に、捕食者がいる。


 貧相な武具ではなかなか太刀打ち出来ないのが、自然界の生き物というものだ。

 狼に巨大鳥に大蜘蛛、猿に鬼。

 影に日向に、虎視眈々と人を狙っている。

 彼等はそれが出来るように進化し続けたのだから。


 人がそれにかなう 道 理 は 無 い。


 が、幸いな事に。

 人には味方がいる。

 人の絶滅は、自分の死に繋がるという関係からの協力者がね。


 彼には狩人の女神が味方している。

 気配を殺し、匂いを消す。

 元の世界で狩りの経験などなかったのに、最近は随分と達者になったものだ。

 こないだは狼を相手に果敢に立ち向かった。

 賞賛するに値すると思わないかね?


 獲物を村に。

 食料を得られる男は英雄だ。

 

 そして神に。

 捧げた分だけ、彼は加護を得る。


 そしてより多くの貢物を神へ捧げるというわけだ。


 それにしても?


 信賞必罰は確かに良い主従の関係を齎すだろう。


 だが。


 ここの神は随分と俗物的だ。


 そうは思わないかね?くくくく。


 おぉっと。


 っくく。毎度の失言失礼?女神殿。


 さぁ、君も怒りの矛先を向けられないうちに今日の所は帰りたまえ。


 ん?私のせいだって?


 ははは。では次はもう少し違った手法で彼を覗きにいこうか。

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