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異世界神話奇譚  作者: 玉梓
石器の王国
12/21

4 俺、結婚する!

 さぁ。壁を叩く準備は出来たかな?

「俺と結婚して子供を産んでくれ!」


 決まった。

 大量の赤と黄色の花束。

 その真ん中にはガゼルみたいな奴のぶっとい後ろ足を丸々燻した燻製肉。


 花は『確かに美しいがこんな花よりお前が欲しい』

 肉は『一生食わせてやるから俺の嫁になれ』


 ふ……。

 ここじゃ一番洒落た求婚方法(プロポーズ)だぜ。

 特に肉の大きさがポイントだ。

 何せ子供の分も含めて、養える事を証明しないといけないんだ。


 ……たぶん。

 

 隣のおっちゃんが言ってたから間違ってない。ハズ。


 異論はあるが。


「タカト……」


 おぉ。ミューの目が潤んでる!

 体が震えてたわわな果実がぷるぷる揺れておる!

 やったよおっちゃん!


「バカ……遅いんだから……!」


 まさか告白する前から惚れさせていたとは。

 流石俺。狩人。

 人の心まで狩っていたとは。正に愛のハンター。


「スマン……どうしても一番の獲物を見せたかった」

「そんな事でずっと待たせて……バカバカ」


 うおおおおおおお! 抱きつかれた!

 柔らかいな畜生!これを毎日好きにしていいってか!

 頑張って狩った甲斐があったぁあああ!


「ミュー」

「バカ……こんな時くらいちゃんと呼んで」

「ミユ」

「うん……タカトぉ」


 ミユの目ェ潤んでます。

 なんて破壊力だ……まさかコレが噂の「何してもOKの目」!?

 そんなCMのチワワみたいなウルウルな目で上目遣いで見つめられたら……く……静まれ俺!

 やめてくれ!俺のライフはもう限界なんだ!


 「ずっと待ってたんだから……ね?」





 ……よろしい。


 ならば戦争だ!

 各々方ご油断めさるな!

 今宵の虎徹は血に餓えておるぞおおお!





「ふぅ……燃え尽きた……真っ白だ」


 ……主にミユが。

 張り切りすぎました。

 ごめんなさい。

 いつもの空が違って見えるぜ……。


「バカタカト……」


 あれ? そこはア・ナ・タじゃないのかな。

 でも真っ赤な顔が可愛いぞ畜生!


「タカト……ゴメンね」


 ん? 何が??


「私……明日、王様に呼ばれてるの」



「……へ?」


 ………………


 …………


 ……


「俺に狩られるか森に逃げるか選べ! 豚め!」


 いや、死ぬ気になれば何とかなるもんだ。

 っていうか、相手を獲物だと思ったら本気で強気になれるって女神様の力かな?


「ひ、ぶひいいいいいいい!」


 ホントに豚みたいに逃げていきやがった。

 まぁいいや。

 これで晴れて! ミユと幸せな結婚生活が!


「良くやったぞタカト!」

「お兄ちゃんカッコイイ!」

「さすが英雄! スッとしたよ!」


 はっはっは。そうだろそうだろ。

 ちょ、待って。イタイイタイイタイ!

 そんな力一杯叩かないで!


「「「新王バンザーーーイ!」」」


「え?」


 俺王様?ミユとの毎日が忙しいんですけど。


「お兄ちゃん。私もお嫁さんにして……?」


 喜んで!


 ………………


 …………

 

 ……


 はっはっは。

 なかなか洒落た求婚ではないか。

 うむ。

 未知の文化というのは実に面白い。

 そうは思わないかね?


 うん?どうしたね?鼻血など……。

 あぁ、彼の夜を体験してしまったのか。

 少々刺激が強すぎたかね?

 とはいえ、厳しい自然の中で生きるにはアレくらい逞しくないといけないのだろう。

 そういう意味では、彼の妻は幸せ者だろう。


 これこれ。

 そう壁を殴っては拳をいためてしまうぞ?

 しかし、最初はどうなるかと思ったが……なかなか面白い事になって来た。

 私も俄然興味がわいた。


 君も興味があればまた来たまえ。

 あぁ、幾ら壁を叩いたところで、こちらへは来れんよ。

 次元の壁を越えられるのは、神のみだ。


 うん?面白い事を考える。


 確かに。


 『そういう神を信仰したら』君の前に現れるやも知れぬな?


 では、そうなる事を私も願っておこうか。

名前ありがとうございました!

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