3 狂言幕間劇
興がのったのでもう一話。
男の名前が出ない狂言視点で
古来より権力者というものはそれに溺れるものが多い。
自らは何もしなくても言葉一つで人が動き、それが叶う。
ここの王もそうだ。
他者の獲物を差し出させて腹を満たし、
特に指示も出来ないくせに土地を練り歩き、
若い美女を見れば連れ帰って何人でも寝室に囲う。
危機に際して誰かを守る事無く、
他人を盾にわが身を守る。
確かに、年上や目上の人間は敬うべきだ。
だが、それに値しない人間はどうする?
それでも守らなければ、と思うのは日本人特有の儒教的思想らしいがね。
信念を持って生きる職人。
あるいは誰よりも先頭に立つ青い血というものは、
例え相手が格上の権力者であっても己を曲げぬものだ。
ちなみにここの王は何かを為して認められたのではなく、先祖が土地の所有を主張したが為。
つまりは、何の実績も無い。
実績を奪われ、危険を押し付けられ、ありもしない失敗に責任を問われる。
あまつさえ妻を娘を。自分の寝所に来いと言う 醜 い 豚 を。
君ならどうするかね?
無能な権力者の末路というのもは大抵相場が決まっている。
そうら。
英雄殿のお出ましだ。
彼には力がある。
仮にそれが神の加護であっても、その実力は誰もが認めるものだ。
獲物を分け与えて飢えから救い、
命を狙う獣から身を呈して守った。
柵で村を囲い、横穴を掘って夜にも雨にも悩まない家を提案した。
彼がかつてから妻にと願った少女は明日、王に迎えられる。
それが彼の大義名分だ。
攫われそうな姫を守る英雄。
実に絵になる話だと思わないかね?
素晴らしい。
さぁ?
君ならどちらにつくかね?
壁を叩く準備は万全かな?
次回クーデター編。
名前が無いから本気で募集中w