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龍王様の半身  作者: 紫月 咲
1章 出会い
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繰り返し見る夢





薄暗い部屋に、無機質な音が響き渡る。

規則的なその音は、鳴り響くにつれ大きくなり、早くなる。

その音がけたたましく鳴る前に、もぞりと動いた手が、それを止めた。



しかしその手はそれ以上動きを見せず、暫く微動だにしなかったが、ふと何かに気づいたように、その手が動く。






「………また、か。」


そう呟いた声は、若さを纏いながら、どこか大人の女性を感じさせた。

そして声を漏らしながら彼女は、自分の目許を指で撫でる。



そこには、冷たい水の感触。





「最近、見る頻度が増えてきたような…」


そう漏らして、彼女は疲れたように瞼を伏せる。

目許に溜まっていた涙の粒は、その動作に耐えきれず、流れていく。


それは、ある夢のせいだった。








響く叫び、何度も胸を突き刺す…切ない慟哭。


姿ははっきりと見えないのに、その瞳の色だけは鮮やかに思い出す。

まるで輝くエメラルドを思わせる、緑色の瞳。

その瞳から溢れる涙を見る度に、胸が詰まって。


届かない声を、それでも張り上げてしまいたくなる。





どうして泣いてるの?

泣かないで、泣かないで。

悲しまないで、苦しまないで。


あなたが悲しいと、私も悲しい。

あなたが苦しいと、私も苦しい。


泣き止んで、泣き止んで。

どうしたら泣き止んでくれるの?私はあなたのために、何が出来る?



届かない声がもどかしい。

抱きしめられないことが、こんなにも歯がゆくて。




そんな私に構わず、その瞳を持つあなたは、いつも最後に叫ぶ。


『会いたい』と。



それが誰に向けての言葉なのかは分からない。

なのに私はいつも、その叫びに。

嬉しくなって。


手を伸ばしかけて、目が覚める。

そして、そのあまりに鮮明な夢に、またいつものように涙を流すのだ。








「あなたは、いったい誰なの…?」



物心ついた頃から、繰り返し見る夢。

その度に浮かぶ問いと疑念は。


この日、思ってもみない状況に陥ることで解決する。





そして、それは。

私という存在と、彼と彼を取り巻く存在や、世界。

ずっと感じていた違和感がなんなのか、明らかになることでもあった。






ヒロイン、登場です。

次回、たぶんトリップ…出来るかな?

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