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龍王様の半身  作者: 紫月 咲
2章 半身と番【つがい】
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龍の生態と衝撃の出会い





「サーナは僕の(つがい)です、叔母上。そのように泣かせないで頂けますか。」

「まあ!女嫌いのあなたの(つがい)が、サーナ様ですって?ああ、なんてお労しいのかしら…サーナ様。」

「…それはどのような意味ですか、叔母上。」

「あら、そのままの意味よ。」


目の前で交わされる2人のやり取りを、傍を離れたシェリアさんの代わりに、レイの足に横抱きにされて涙を拭われながら聞く。

よしよしと慰めようと撫でてくれる手に甘えながらも、私は衝撃に固まっていた。






「ね、レイ…?シェリアさんは、ライナスさんの叔母さんなの?」

「うん、そうだよ。その辺りの関係は、まず僕達龍の生態から教えないといけないね。」

「どういうこと…?」

「まず僕達龍には、6つの属性があるんだよ。水・炎・地・氷・雷・風――それぞれ違う。そして、それぞれに最上位の龍がいるんだ。」

「レイは…?」

「僕?僕は龍王だからね、全属性が扱えるよ。」


にっこりと微笑みながら当然のように言われてしまい、その仕草に思わず滲んでいた涙が止まる。

そんな私の様子に苦笑いを浮かべながら、レイは話を続けた。





「ちなみに、ライナスが水龍の最上位に属するとは話したよね?」

「う、うん…」

「その最上位の龍と、龍王と半身に共通するのは――先代が亡くなったその日に、次代が生まれるということなんだ。」

「!」

「親もなく、魂が新たな肉体を持って、別の人格となって生まれてくる――それが僕達龍の起源なんだ。」

「な、なんか凄いね…」


聞いた話の壮大さにありきたりなことしか言えず、私は俯くしかない。

そんな私の頭を慰めるように撫でて、レイは続ける。





「そしてシェリアは、前水龍クエイクとつがいとの間に生まれたの娘。ライナスは、クエイクが亡くなった日に生まれた。血の繋がりはないけれど…親族ではあるから、叔母のようなものだね。」

「な、なんか複雑ね…」

「そうかな?…ああ、そうか。サーナにはシェリアもライナスも、お互いに歳が変わらないように見えているんだね?でも、気づいていないようだけど、シェリアは君より年上だからね?」

「え…?」

「僕達龍は、寿命がとても長いんだ。成人年齢は20歳だけど、そこからの青年期がとても長いんだよ。」

「え、じゃ、じゃあ…ち、ちなみにライナスさんとシェリアさんの年齢は?」

「ライナスが30歳、シェリアが42歳だったかな。」

「!!!」


レイから聞いた衝撃の答えに、目を見開くしかない。

だって、明らかにライナスさんとシェリアさんも私やレイと同い年くらいに見える。


ある意味ではカルチャーショックを受けている私に、ライナスさんを責め立てていたシェリアさんが、意味深にレイに向けて微笑みかけてくる。





「まあ、陛下。そのように女性の年齢を断りもなく口にするものではありませんよ。」

「ふふ、それはすまない。それで気は済んだかい?シェリア。」

「まだまだ足りませんわ。…久しぶりに、稽古をつけるのもいいかもしれませんわね。」

「それは助かるな。ライナスを、どうにかしてサーナから遠ざけたいからね。君がそうしてくれるなら僕も安心だ。」

「まあ、陛下。お戻りになったサーナ様を、今は独り占めしたくて仕方がありませんのね。」

「王も叔母上も、勝手に話を進めないで頂けますか…」


2人の会話に、疲れ果てたような様子で力なくライナスさんが拒否の姿勢を見せる。

そんな彼に構わず、くすくすと楽しそうに笑うシェリアさんは、やっぱり年上には思えなかった。

どこかぼんやりとそんな3人の様子を眺めていた私に、シェリアさんは柔らかな視線を向けて口を開いた。





「サーナ様、わたくしの年齢は陛下の仰る通りで間違いありませんわ。わたくし達龍は、500年から1000年は生きますの。陛下やサーナ様は恐らく、1000年近くは生きられるかと。」

「!1000、年…?」

「そんなに驚くということは、サーナのいた世界は違うの?」

「私の世界は、長くても100年前後が限界だよ…」

「まあ、随分と短命でいらっしゃるのですね。」


私の答えに逆に驚いた様子でそう言われると複雑な思いにかられて、私は衝撃を受けすぎてくらくらする頭を押さえた。


1000年、1000年って途方もないよ…。

日本でだって、100年生きればご長寿って言われて、住んでる市町村で表彰されたりするのに。

…あれ?じゃあ、私があのまま日本にいたらマズかったんじゃ…?

今はまだしも、30歳も40歳も過ぎても20代のままの姿だったら明らかにおかしいし…。







“おやおや、戻ってきてみれば…何やら人が増えたものだね”


そんなことを考えていた時、聞き慣れた声が響く。

視線を向ければ、窓辺に優雅に佇む銀色の毛並みの猫。

何やら楽しそうな表情でライナスさんやシェリアさんを見つめて、しっぽをゆったりと揺らしている。





“既にサーナがこれだけの大物を惹きつけてしまったのか…全く、怖い怖い”

「なんですか、この偉そうな猫は…」

「サーナ様の、飼い猫でしょうか…?」

“やれやれ、神を飼い猫扱いとは…。龍王よ、何故説明していないんだ?”

「ああ、すまない。予想外の事態が色々と起こってしまってね。君のことを話すタイミングがなかったんだよ。」

“やれやれ、白々しいな…。まあ、僕もサーナの味方になる者は基本的には拒むつもりはないからね。——水龍に、先代の眷族よ。僕はサーナをこの世界に連れてきた神だよ。長い付き合いになるだろうし、よろしく”


そう気安い挨拶をした彼に、神と聞いた2人は驚いた表情を隠すことなく彼に向ける。

それは神様ということに驚いたのか、私をこの世界に連れてきた神様が、まるでこのままこの世界に留まるような口ぶりだったことに驚いたのか。

そんな2人の様子を眺めてから、彼は私を呼んだ。






“サーナ、キミにお土産を持ってきた。きっと気に入るだろう”

「お土産…?」

“まさか偵察の散歩でこんなことになるとは、予想外だったというのか…牽制していたがために引っ掛かったというのか”

「何の話…?」

“まあ、ひとまず会わせよう。――入っておいで”


そう窓の外に向けて声をかけた彼に導かれるように、躊躇いなく白い影が飛び込んでくる。


音もなく着地する躯。

しなやかな筋肉の動き。

白銀に黒が混じる毛並み、同じ模様の長いしっぽ。

凛々しい顔立ちは、日本にいるそれと変わらないようで、どこか違う。






「虎…?」

“ただの虎ではないよ。——この子は『天虎(てんこ)』の子供だ”

天虎(てんこ)…?」


彼の言葉の意味が分からず首を傾げた私に、私を横抱きにしているレイから、驚きを隠すことなく動揺した息遣いを感じた。





「嘘だろう…?聖獣の子などめったに見かけないというのに…」

「聖獣…?」

「ああ…サーナにはまだ話していなかったね。このルシェラザルト山の聖域には、僕達龍と聖獣――『神の御使(みつか)い』と言われる獣が住んでいるんだ。」

「神の、御使(みつか)い…」

「僕達龍と、彼ら聖獣が結界の役割を果たすことで、この山は聖域として守りを果たしている。けれど彼ら聖獣は、総じて気位が高い。まず龍に関わろうとはしないし、その上個人行動を好む。聖獣は何より子を大切にし、子供だけの単独行動は決して取らせない。だから聖獣の子供がこうして姿を現すなど、以ての外だ。」


そう言ったレイを見上げ、そして今度はライナスさんやシェリアさんを見る。

すると2人もレイと同じで戸惑ったように、彼らを見つめている。





“この子の親に、どうしてもこの子をサーナの傍にと頼まれてしまってね。天虎(てんこ)は、聖獣の中でも圧倒的な力を持つ。まだ子供だからこそ、力の伸びは凄まじいだろうし…サーナの守護に相応しいと思ってね”

天虎(てんこ)が、自ら…?」

「ああ、もう動き出したのか…これは先が思いやられるな。」

“だから言っただろう。彼らを抑えられるのは今日の朝までだと。それでも凄まじい者達で……サーナ?”


そんな会話を耳にしながらも私はもう衝動を抑えきれず、レイの膝から下りて、窓辺へと向かう。

そんな私に首を傾げる彼を無視して、その足下で大人しく座ったまま、ずっと私を見つめていた躯に抱きつく。


その瞬間、部屋の空気が変わった気がしたけど、構うもんか!













「……可愛い!なにこの子可愛いよー!!ふわふわもこもこ、可愛すぎるー!!!」





私、虎が大好きなんです…!!!






分かるよなつなちゃん!

虎はたまらんよね!可愛いは正義!(笑)

そんなわけで、聖獣出してみました。

龍に精霊ときたら聖獣は付きものよね!…とファンタジーを楽しんでみました。

どこまでも自分本位ですみません…_| ̄|○

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