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◇第6話◇ ポーカーフェイス
「ちょっと…待って!」
教室を出たアイツ私の小走りよりも速いスピードで歩き出した。
追いかけてもなかなか追いつかない。
「待ってってば!」
「……何?」
やっと追いついて若干息切れしてる私をよそに、
アイツは余裕しゃくしゃくで、不機嫌そうに振り返った。
ここは南階段の踊り場。
滅多に人が通らない薄暗い場所。
もしかしてアイツ、いっつも教室出たらここに…??
「何?なんか用?」
少し眉をしかめて、低くて艶のある声で尋ねてくる。
まるで別世界の人みたい…
「あっあの!その傷!」
「…?」
「昨日はなかったのに…どうして?」
顔をしかめたアイツは手で擦り傷を撫でる。
「…お前には関係ない」
「あっあるよ!」
「どうして?」
アイツの口角が少し上がった気がした。
「同じ…クラスだし…さ」
「今まで話したことはなかったけど?」
「きっ気になるの!あんたのことが!」
「ふーん」