作るのも一苦労
「ただいま。」
「おかえりー。寒かったでしょ。」
家にはお姉ちゃんが来ていた。
永田3姉弟の長女の暁子が。
ちなみに私は次女。
お姉ちゃんは専門学校2年生で、今は家を離れて1人暮らしをしている。
今日が金曜日ってこともあって帰ってきたのだろう。
「暁姉、帰ってきてたんだ。」
「うん。明日しん君とお出掛けするから、うちからの方が近いからね。」
しん君とは暁姉の彼氏さんで、筒井 晋治が彼の本名。
もうあれこれ2年もつき合ってる。
そんなことを考えてると
「咲生は渉君と?」
「・・えっ!?」
ボケッとしていて反応が遅れた。
「あら、渉君のこと考えてたの?(笑)」
「ちっ違う!!」
「そんなに照れなくてもいいのよ☆姉妹じゃない。」
「だから本当に違うんだってば!!」
「そう。」
残念そうな顔をしているんだろうけれども、顔が笑っている。
「そうそう、咲生はもう作った?チョコ。」
「ううん。まだ・・・」
「・・・間に合うの??」
「危ないかも・・・」
普通の子だったら間に合うのだろう。
でも私は論外なのだ。
自分で言うのもなんだが、私が料理を作って食べさせたら、病院送りにするほどに・・・。
実際、お父さんが救急車で運ばれた。
救急隊員に聞かれたときは、家族全員が私を見ながら
「食にあたったのかも」
と口を揃えて言った。
そしてお母さんは
「娘が殺人なんていやよ。」
と言っていた。
・・・私もしたくないよ。
懐かしい苦い思い出を思い出して沈んでいると、今思い出したことを察してか暁姉が
「一緒に作る?」
と言ってきてくれた。
これなら安心!!と思い
「うん!!」
と返事をしたら、笑っていた。
そして、さっそく取り掛かることにした。
作ってる途中で、こうだろうと思ってやろうとしたら、あわてて止める姉がいた。
「あんたは大雑把過ぎるのよ。」
と溜息と一緒に言った。
何とかチョコも作り終え満足している私と、くたくたになっている姉。
当分私とは、料理を作らないことを宣言した暁姉は、自室に戻っていった。
・・・ううっすみません。
そんなこんなで次の日を迎えた。