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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第八章-愛の国-
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殺人の期待値

「……。」


セナリアに続きネフィリムまで殺られたか。

全く、更月涼治とジェイカー・リットネスの強さには脱帽だ。

C.D.C勢で死んだのは爽と紳。

これで残りの人数はこっちが2、あっちが4。

と言っても、毬は恐らく戦わないだろうから、実質俺一人か。


「人を殺す事によって得られるものってなぁーんだぁ?」


「憎しみ、かな。俺もお前を殺す事でそれを得られるのか芽部?」


「残念だけどそれは無理ね。あたしは死なないし。」


愛星芽部がいた。

真後ろに。

俺の真後ろに立っているが、一体どんなトリックだ?

俺の真後ろは“空中”だ。

テレビ塔とか言う塔の上で戦闘を眺めていたのさ。

つまり、芽部は今浮いている。


「存在自体がこの世の中で浮いていると思っていたが、本当に浮けるとはな。」


「何馬鹿言ってるのよ。もう分かってるでしょうがぁ。」


勿論分かっている。

今芽部が使っているのは“静止(トリック)(スター)”。

アルマロスの術式兵装で、更月涼治がセンマイカを殺した時に芽部が奪った物。


「説明ご苦労!」


「何、大した事じゃない。……それより痛くないのかそれ。」


「それ?」


どうやら痛くないらしい。

忘れているかもしれない……いや忘れられていると考えて当然なので改めて説明しよう。


「神金属のフリソスで出来た“静止線”は、触れた対象の皮膚に食い込み“回復”を掛ける事で皮膚の中に糸を埋め込む。“静止線”は元々動きを止める術式兵装で、切ったりする事に優れている訳ではないので骨まで侵食する事はない。つまり骨まで届いたら糸の進行は止まる。お前は今足の裏から“静止線”を食い込ませている。つまりだ、足の骨で糸に立っているって事になるな。痛いだろ普通に考えれば。」


「普通ならね。でも残念ながらあたしは普通じゃないの。ただそれだけよ。」


「成る程。痛くないならそれでいい―――」


1と7。

2と6。

3と5。

残る数字は一つにして絶対なる死の蜜。

私はそれを愛し尽くす。

栄光の手(カウェア)”。


「―――切り掛かるのを躊躇せずに済むからな。」


「そうねー良かったわねー。」


“栄光の手”を右手に召喚し、“攻撃”を掛けてはいないにしても、その状態で出せる最高の力でそれを振り切った。

避けるか、それとも“慄然する十二の咆哮”で防ぐかと思ったが、彼女が取った行動はそのどちらでもなかった。


「人差し指と中指で白刃取りとはな。そんなもの漫画かアニメでしか見たことがない。」


「そうね。あたしも初めてやったわぁ。それに、その台詞も漫画かアニメでしか聞いたことないわね。」


「言われてみればその通りだ。」


……やはり良い。

一等良いぞ愛星芽部。

―――殺せるのはお前しかいない。


「ではお約束が出た所でそろそろ始めようか芽部。」


「あーちょっと待ってよ。さっきの答え、教えたげる。」


「さっきの?」


「殺人したら何を得るかーってやつよ。」


「ああ。」


そういえばそんな話をしていた。


「答えはね―――」


「っ!」


……しまったな。

油断していた事を後悔しても時既に遅し。

後悔先に立たずというが、この言葉を作った奴は天才だな。

正にその通りである。


“答えはCMの後って演出うざったいわよね。こっちは大して期待してないのに無駄に引き延ばされると苛々するわぁ。”


「それには完全に同意だな。それで、お前もその例に倣うのか?」


“あたしはそんなみみっちい事しないわよ。殺人を犯して得る物、それはね―――”


と、芽部が言いかけた所で俺は後ろに飛び退いた。

これは……ワレラの“千刃の谷”か。


「よく躱したなライノセンス。……しかし、現世にいると言うのにまさかこんな所に呼び出されるとは。さすがに想定外だ。」


「……よう。久しぶりだね深部。」


“―――先ず得るのは優越感。じゃあじゃあラウンドワーン。スタート!”

……あれ?主人公交代してね?

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