そうは言ってもこれは不味い
時は更月涼治がセナリア・ベイグラントを殺した頃より少し前。
所は愛の国、その昔愛知県と呼ばれていた県の内の西尾という市。
誰か、御剣爽である。
「……。」
一体何処だ此処は。
いや、一体此処は何処だというのが正解か?
……ま、何だって良いがHAJACKじゃねえのは確かみてえだ。
建物の造りが古すぎる。
老朽化が激しい訳じゃない。
見た目で言えば綺麗すぎるくらいだ。
造りが古いのであって新品其の物の様な家、と言うと合っているな。
「……造りが古い建物か。大体予想は付いたが、そこにいるてめえに答えてもらおうかな?」
誰だか知らないが、俺から約100m程離れた建物の影から誰かが見ている。
「なあ聞こえてんだろ?これくらいの距離なら間違いなく認識出来んだよ俺は。だから大人しく出て……来い……よ。」
……マジかよ。
出て来いよなんて言っておいて何だが、戻ってはくれないだろうか。
確かに、確かにだ、俺はあの世界では主人公でそれなりの強さを持っていた。
持っていたが……そうは言ってもこれは不味い。
「成る程。中々良い感性を持っているな御剣爽。これは意外と楽しめそうだ。」
「……俺は全く楽しめそうだとは思えねえよネフィリム。」
そう、出て来たのはネフィリム。
俺が勝てるレベルを確実に、大幅に、そしてどうしようもない程超えている人間だ。




