ライノセンスサイドの一件
「さて、これでセンマイカとドルを除く全員が集まった訳だ。良い、一等良いぞ。高らかに高笑いをしたいくらいだ。」
……灯台下暗し。
ライノセンス達は理事長室に全員集合していた。
やれやれ、まさかC.D.Cの彼等も今W.W.Sの中にライノセンス勢がいるとは思ってもみまい。
「しかし無口な奴らだな。お互いにぺらぺら話しても良いんだぞ?」
「は。馬鹿言ってんじゃねえよライノセンス。何で俺がネフィリムやらスマタカシやらと話さなきゃなんねえんだ。」
「ふん。同感だな一政。俺も君と話したいなどとは思わない。」
相変わらずネフィリムと草春は険悪だ。
それもその筈、ライノセンスに忠義を立てているネフィリムと違い、草春は言ってしまえば完全に外部の人間だからだ。
彼等二人の、いやライノセンス勢と草春の方向性は真逆。
何故なら、草春は単純にライノセンスを狙っているからだ。
「ライノセンス……いい加減草春は切った方が良いのではないか?無論物理的にな。」
「まあ待てよネフィリム。草春は大切な戦力だ。芽部が加わったC.D.Cを倒すには必要なんだよ。」
「は。分かってんじゃねえかライノセンス。……後始末を終えたら次はてめえだからな。」
「分かっているよ。」
本当に妙な関係である。
有り体ではあるが。
「ねーもう帰っていい?」
「まあもう少し待ってくれよ毬。セナリアの報告を聞いてから帰ってくれ。という訳でセナリア。」
「はいはい。涼治は既に悪魔の術式兵装を全部使える様になっているみたいね。愛星芽部のバベルの塔に入っても精神崩壊を起こさなかった辺り、そうね、ネフィリムと同等の力を持っていると言っても過言じゃないわ。」
それは中々良い。
せっかく元始の悪魔と同化しているのだから、余す所無くその力を発揮してほしいからな。
「……正直な所、こっちは戦力不足ね。ライノセンスと愛星芽部。ネフィリムとジェイカー・リットネス。爽と草春。毬と涼治。私と神杉紳。孝と金石。この組み合わせが戦う上では妥当だとおも―――」
「うおい!なんで俺が魔術師でもねえ奴と戦わなきゃならねえんだよォ!」
「煩いわね。センマイカが生きていた頃ならまだしも、あんただけでC.D.Cの他の連中と戦っても勝てる訳ないでしょうが。」
その通り過ぎてぐうの音も出ない。
「ライノセンスとネフィリム、それに草春の組み合わせは純粋に戦力的な見方で。毬の場合は涼治と仲が良いそうだから。私は余った紳を相手にするけど、多分負けるわね。」
「だろうな。」
と、ライノセンスは一言で切った。
実際問題セナリアでは神杉紳に勝てそうに無い。
彼は主に銃の人工兵装を使う遠距離攻撃型。
“多角鋭式六頭霊影刃”を使う近接攻撃型のセナリアにはあまり向かない相手だ。
本来なら草春かネフィリム辺りが戦うべきだが、ジェイカーはネフィリムかライノセンスでないと対処出来ない。
そして御剣爽は確実に倒さなければならない。
とすれば、やはりこの組み合わせが一番正解に近いのだろう。
言ってしまえば、セナリアは捨て駒だ。
そういう意味で、彼女は戦力不足と言ったのだろう。
「毬、涼治にちゃんと仕掛けておいた?」
「んーまーね。“脳電”は防がれる様になっちゃったけど~“盗みし九十九代の録音”に三回も触ったし十分でしょー。もう本に記述もしてあるし~。」
「そうね十分だわ。」
「ふむ。これで元始の悪魔も捕らえたに同然……と考えたいね。後はネフィリムがしっかりジェイカーを倒し、草春が御剣爽を殺し、セナリアが神杉紳から逃げ切り、俺が芽部に殺されない様にすれば安泰だ。」
……上手く行けばいいがな。
「諸君、後少しで俺達不自然も死ねる。もうちょい頑張ろう。」
そう、世に蔓延る不自然を全て消し去る為に。




