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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第五章-通り魔的螺旋階段-
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言葉を忘れる塔

「此処は……ビルだよな?」


誰もいない空間に質問する。

当然誰も答えてくれないが、俺は別に空間に質問した訳じゃない。

[“血塗りと血染めの(カロス)螺旋階段バベル”と言っていたな。]


「……えええ!もしかして知らないのか?」


[もしかしなくても知らん。奴が空間の術式兵装を持っているなど初耳だ。]

という事は……未解決ダンジョンかよ……。

[何を腑抜けている。敵の情報は基本的に入らぬ物だと言ったのは貴様だろう。]

そりゃそうだけどさ。

今はそんな事言ってる余裕が……と、そうだベレトと代わってくれないか。

[構わんが?]

よろしく。

[何でしょうか。]

さっきは血が上って冷静な判断が出来なかった。

そのせいで、“影の王冠”を危険な状態に置いてしまった事を謝る。

[何を言っておられるか貴方は。]

え?

[武器の本望とは、それ即ち戦う事。それをしない、出来なくなった武器などは死んだも当然。砕けた所でまた召喚出来るのが術式兵装の強み。主はそれを実行しただけです。なんら謝る必要は無い。]

そう、か。

ははは、何かベレトには諭されてばかりだな。

[儂は主よりも目下故、その使い方は間違っております。では主と代わります。]

はい。


「さて、止まっていても仕方ないし取りあえず探索してみるか。」


ま、見渡すだけで大体は分かったけど。

つまりはビルなんだ。

デスクがある。電話がある。ファイルを収めたラックがある。

何処からどう見ても普通の会社のビルだ。

おかしい事と言えば、何処を見ても同じ景色だという事くらいだな。

窓の外には、緑の空間が広がっている。

森、丘、そして草原。

凡そビルが建っている場所とは思えない。


「窓は……開かないか。」


どうやら空間は屋内に限定された物の様だ。

外は言わばついでみたいだな。


「さりとて、僕に此処を出る術は無い。大体俺は此処での生成物の様な物で、私に権限などそもそも無い。」


「あ……えっと……?」


突如響く声。

それは俺の真後ろから聞こえた。

……この支離滅裂な話し方。

俺は知っている。

知っているが、有り得ないだろ。

だって……。


「ドルイトス・ポーカー・レイヴァンは俺が殺した、か。さっきも言ったが僕はただの生成物だ。君は確かに俺を殺した。それは変えがたい真実。しかし、こうしてお前の前に僕がいるのは真実。そして私がヘベルメスを再び体に宿したのも真実。」


……やはりこいつはドルイトスだ。


「追う追われる。見る見られる。語る語られる。逃げる術は無く、堕ちる。“睥睨する七万の瞳(ストーカー)”。」


俺が、最初に殺した人間だ。

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