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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第四章-赤い死と永遠の生-
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赤い死と永遠の生

「うおおああぁあぁあぁあああ!」


「ち……。」


「死ね死ね死ね死ね死ねえええぇぇぇええ!」


体をただの刃ではなく、鞭状の刃にし振り回しまくるウィールハート。

しかも二本ではなく数十本……いや十本でした。

指の一つ一つがその形状を成している。

しかも、っ!


「う……!」


「そら死ね死んじまえやあぁぁぁぁああ!」


“神の代理人”に鞭の一つが当たる。

そして傷付く。

[……何て奴だ。僕の鎧に傷を付けるなんて。]

……威力、強度が異様なまでに上がっている。

振るう速度も、鞭状のせいか凄まじく早い。

ベリネでの動体視力上昇をしなければ追いつかない程に。

これでは反撃に転じられない。

況して“ネクローシス”を当てるなんて不可能だ。

大体!一つ前の話では私が完全に有利だった筈なのに、どうしてこうなっているんだ!


「どうしたあああ!動きが止まってるぞジェイカーアアァァァアアアァアアア!」


「止まりたくて止まっている訳じゃない!」


直撃コースの鞭を剣で払う。

切り払えないとは……一体どれだけの強度だ!

こうなったら、若干浅はかだが仕方ない。


「“攻撃”星五十全て脚へ。」


「お!?」


ウィールハートの視界から私が一瞬で消えた筈だ。

何故なら既に後ろに回っているのだから。

いける……“ネクローシス”!

左手に黒い“物質化された”光が灯る。

腐食、破壊を司り、死へと導く負の魔術。

これを作ったのは私ですが、正直あまり使いたくはない。

“腐食”と違ってこれは、医療に使ったり出来ない。

ただ破壊するだけだから。

私は呪いますよ。

“ネクローシス”を生み出した事、そしてウィールハートが“アポトーシス”を生み出した事を。

だから此処で……!


「此処でその連鎖を絶つ!」


左手の光をウィールハートの体に叩きこ―――


「手を抜き過ぎだぞジェイカー。」


「ぐ!?あああああ!」


左腕に激痛が走る。

左腕は動かせない。


「これ、は……!」


地面から出ているウィールハートの体。

それは鋭い針となり、鎧が包んだ私の腕を突き刺していた。

[……有り得ないでしょホント。傷付けるだけじゃなく、貫通させるなんて……。]


「地面に体の一部を入れておいたんだ。こういう場合、後ろに回って来るのが定石だと思ってなぁぁぁ!あひゃぁああはははははぁぁぁぁあああ!見事に引っ掛かりやがったあああああ!」


「く……そが!」


“炎の柱”で腕の下の針を斬る……!

糞!斬れないじゃないか!


「いっつ……。」


不味い。

これは恐れていた事態だ。

ウィールハートの体は腐っている。

いや、今は腐敗臭もしないし体自体は腐っていないのかもしれない。

だが腐らせる力は健在の筈。

これは、針から抜け出した所で回復出来ないかもしれません。

[“神の代理人”の回復力を以てしてもかい?]

確証はありませんがその可能性は高いかと。


「あはははははぁぁぁ……。ま、覚悟の違いってやつだな。我が身の痛みすら厭わず戦った俺の勝ちって訳だ。」


「く……。」


右手から“炎の柱”が滑り落ち、音を発て地面に落ちる。

そして私は、地面に両膝をつける。

当然私の体が沈むのに合わせて、左腕に刺さった針も一層深く刺さっていく。

[……ジェイカー。]

……ふ、なに弱気な声を出しているんですかメタトロン。

良いんですよこれで。

奴は言った、我が身の痛みすら厭わず戦った俺の勝ちだと。

それを覆さなければならないのだから、私も相応の痛みを感じるべきなんだ。

それに、これだけ深く刺さっていれば奴からは見えにくい。

……尤も、今の奴は見ようともしないだろうがな。

戦いに於て最も重要な事は、相手が参ったと言おうが、自分が完全に勝ったと思おうが、相手が生きている限りは油断してはならないという事です。

奴は完全に油断している。

既に私に戦意は無く、完全に自分が勝ったと勘違いしているんだ。

本当に勘違いも甚だしい。

今その勘違いを正してやる。

ウィールハートに気付かれないようゆっくりと右手を動かし、針に触れる。

[成る程ね……。君がやりたい事は分かった。だが、凄まじく痛いんじゃない?]

ええ……大泣きするかもしれませんね。

その時は適当に慰めてやって下さい。

……“ネクローシス”。


「っ!ぐ……が……あ!」


針に“ネクローシス”を流した瞬間、左腕に今まで感じた事が無い強烈な痛みが走った。

さながら、パラポネラ100匹に同時に噛まれた様な激しい痛みだ。

噛まれた事無いですけどね……!


「あはははははははぁぁぁああ!痛えだろ!もっと喚き散らせぇぇえええ!」


「ち……喧しい、野郎だな本当に……。」


ちんたらやっていても埒が明かない。

“ネクローシス”の威力を上げて一気に……!


「ぐ……!うああああああ!」


左腕の細胞がまだもっているのが不思議だ。

“神の代理人”がしっかり作用しているのか……。

何にしても助かるが。

……気合いのおかげで“ネクローシス”は全ての針に行き渡った。

これで本当に終わらせてやる。


「ひゃははははぁぁぁあ!あはははははははぁぁぁああ……な!?」


「死ね。」


“炎の柱”で“傷付けた”箇所から“ネクローシス”を流す事で内部を腐食。

更に他の針にも派生させる事でその強度は地に落ちた。

後は簡単、膝を地につける事を止めて前に走り出すだけだ。

“攻撃”なんて油断しきった相手には必要無い。

ただ、“ネクローシス”が溜まりに溜まった針が突き刺さった左腕を、ウィールハートに届かせればそれでいい。


「うおおおおおお!」


「……ちぇ。」


気合一閃、全てを左腕に込めた私。

それをウィールハートは、まるで詰まらないミスで母親に叱られる子供の様な表情で待つ。


「う……あ……」


「……。」


拳がウィールハートの腹を貫いた。

それと同時に、傷口がどんどん黒くなっている。

そしてそこから更に派生し、体中が一気に黒に染まった。


「く……ふ、くくく。ははははは。……これ、だよこれ……。俺が、待っていたのは。」


それだけ言い残し、ウィールハートの体は砕け散った。

さよならの一言すら置かずに。

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