閉幕
「あ……ああ……。」
そんな馬鹿、な。
“神の代理人”の強度は、“千刃の谷-祢々切丸”を、装甲の薄い箇所で受けても貫かせない堅牢さを誇る。
……それが、手を左から右へ、ただ“動かしただけ”で消し去る、なんて……。
「……っ!有り得ないだろ!お前……私に何をした!」
「……成る程。ネクローシスが感情的になり本能を現すのは、自らが理解不明の事象により窮地に陥った時、という訳だな。中々どうして人間くさくていいじゃないか。
」
「喧しい……ぶっ殺す!」
[おいおい……落ち着いてよ。]
煩い!
「はあっ!な……!」
高く掲げ、轍に向け振り抜いた筈の“炎の柱”すら、消えた。
「無駄だ。本来こんな卑怯な使い方はしたくないが、くくく。お前の本性を露呈させるにはこれが一番手っ取り早いんでな。」
「……っ!」
ぶち殺す。
腰からパイファーツェリスカを引き抜く。
“強化”星五万千を掛けたパイファーツェリスカから、更に“強化”星十万を掛けた弾を轍に向け発砲する。
弾は轍の右脇腹をごっそり奪い、ついでに轍の背後の地面をこれでもかという程破壊した。
脇腹の傷は、全開にした水道の如く血を流している。
それでもやはり、奴は苦しそうな顔一つしない。
……ふん。余裕ぶっていられるのも今の内だ。
「……ま、これくらいなら受けてや、ぐ……う?」
「馬鹿が。ただの弾を、お前みたいな人外に撃つと思ったのか?だとしたらお笑いだぞ。」
「これは、“腐食”か。」
「違う。“腐食”よりも強力な私の個呪文だ。」
「そう、か。……中々どうして酷い事をする。ワレラにも痛覚はあるんだ。腹を吹き飛ばし、剰え段々と腐らせるとは、人のやる所業とは思えんな。」
「人にはよっぽどの事がない限り撃ったりしません。貴方は人外で、無限とは言わない物の有限とは言えない数の命を持っている。なら撃っても構わないだろ?痛覚
は神が人に握らせた一欠けらの罪悪感だ。良かったな、人だと認識されていて。」
ふらふらしている轍に近付き、額に銃口を押し付ける。
「一つ疑問何ですが、不死身の者、若しくは傷が瞬時に治る者をを殺す時に“脳を一撃で破壊しなきゃダメだ”と、対峙する者は考えるよな?なんで脳を破壊すれば死
ぬんだ?根本的な事を言えば、腕だろうが脳だろうが体の一部だ。だったら破壊されても修復する可能性はあるんじゃないですか?……ああそれとも、脳が再生、そして不死身をコントロールしているんでしょうか?」
「さあ、な。饒舌になるのはいいが、早い所殺してくれ。結構辛い。」
「そうですか。では―――」
パイファーツェリスカの引き金を引き、ただの弾を頭に撃ち込む。
「……誇れ。俺がワレラになってから、俺を初めて殺した事をな。」
「さようなら。」
そして轍醍醐の体は消失した。
人物:ライノセンス勢 ライノセンス
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