深部に至るは全てを知った(偽)
「体の損傷を直したくらいでそこまで強気になられても困る。そんな事をした所で私の優位が動かない事くらい分かるだろう。因みに教えておいてやるが、私の魂補充
は13085だ。」
「たったその程度か。問題にすらならない。天高く炎立つ。天蓋を焦がす灼熱の天国。“炎の柱”。」
右手に出現するは火で構成された刃を持ち、天をも焦がす灼熱の剣。
「中々良い刃を持っている。とても喜ばしい事だ。そうでないと退屈になるからな。」
「言ってろ。」
言い終わると同時に前に飛び出す。
……考えるまでもなく、剣技では轍醍醐に敵わない。
なれば、手数で勝らなければ。
「“攻撃”星五十。」
同時に“本物”のパイファーツェリスカに“強化”星五百。
5分毎に“強化”を掛ける様にコントロール出来ますか?
[任せてよ。……これでも破壊に関する事は得意な方だ。ただし……君の奥に勝手に入らせてもらう。]
御自由に。
やるべき動作を終えた後、轍に向けて横薙ぎの一閃を仕掛ける。
が、やはり物理的な状態の“炎の柱”では普通に防がれますか。
「成る程成る程。“攻撃”星五十を一気に解放するとここまでの早さを出せるか。」
「ち……。流石は深部と呼ばれる名うてのワレラだ。普通の人間、いやワレラではこの速度についてこられる者はいないでしょうよ!」
鍔ぜり合いしたままの刃を弾く事で轍を後ろに下がらせ距離を取る。
と見せかけて、“攻撃”星五十全て脚へ。
祢々切丸を弾かれ、構えが崩れている轍に突っ込む。
「これで、一死!」
左下から一気に“炎の柱”を上に振り抜く。
……超人的な体を持つワレラは、自らの体を自由に変え、筋力を極限まで強化させたり出来る。
だが、今の私の速度についてこられるとは思えない。
つまり一死……!
「……く。」
「此処で問題だ。そう対して難しい物ではないから解答時間は30秒だ。今の一連の動作を見ても、まだ私に勝つ事は難しくないと考えるか?」
轍醍醐は私の後ろで、首筋に祢々切丸を当てる訳でもなく突っ立っていた。
「お前がどの様にして私の後ろに回ったか。それが分かれば簡単だろうが、残念な事に分からない。」
しかしそうだとしても、私はお前に勝つ。
降り注ぐ契約の対価。“契約の天使”。
「……しかしそうだとしても、やはり私の勝ちは揺るがない。」
「どこからその自信が湧いてくるかは知らないが、中々どうして肝がすわ―――」
台詞は続かなかった。
契約の天使が放った光の矢が轍の右腕と左腕の肩口を貫通し地面に落としたからだ。
「……っている。」
「そうだろ?」
轍の中から両腕を失った衝撃が消える前に……。
「死ね。」
冷たい一言と共に私は、轍醍醐の首を切り落とした。




