神の代理人
「ぐ……。」
痛い。
右腕両足腹の一部を削がれれば当然だな。
「戦闘終了。面白いと言ったが、やはり脆いな普通の人間は。」
「……普通の人間じゃない。私は魔術師。人外の端くれだ。」
「ほう。それが君の本性かネクローシス。自らの体が傷付けられた時にのみ深部から出て来る素の感情、と言った所だな。」
「ふん。結局の所、私は何処まで行っても破壊が源流だ。だったら本性も破壊的になる。」
[……自分の体が傷付けられた時にのみって……なんか究極のナルシストみたいだ。]
黙りなさい。
こうでもしないと私は本気になれないんだよ。
制裁するウィールハートと違って、轍醍醐とは戦う気がない。
傷付けられない限りは、だが。
丁寧な言葉遣いが崩れるからあまり好きじゃないが、仕方ない。
通常のテンションで勝てるとは思えん。
「しかし、その格好で言われても説得力が無いなネクローシス。出血は止まっている様だが、その様では何も出来まい。」
「……確かに。両脚を削ぐとはお前も中々酷い事をしてくれますね轍。ま、私にはこの程度の傷は苦にもなりませんが。」
「ふむ。“修復”とやらを使うか。待っているから早く使ったらどうだネクローシス。」
「その渾名で読んでいいのは魔術師だけだ。」
“修復”なんて脆弱な物使うはずがない。
何故なら私は、最強の鎧を持っているのだから。
[……見せてあげなよ。僕の力を。]
言われずとも。
「刮目しろ深部。人ならざる血。人ならざる力。人ならざる姿。降り立つ白よ紅に染まれ。“神の代理人”。」
「……ほう。」
白く輝く鎧が発現し、私の体を飲み込む。
それと同時に失った部員は元に戻り、私は轍醍醐と視線を対等に交わせる様になった。
「傷を癒す鎧か。それは良い。最近、大人気ない事この上ないのだがむしゃくしゃしていてな。ワレラ意外で何度斬り捨てても復活する者と矛を交えられるとは素晴らしい。」
「ふん。不死身の赤と矛を交えたんだろ?だったらそれで満足すれば良いものを。……成る程、むしゃくしゃの原因はそれか。」
何度斬っても立ち上がる者と戦うのは良い。
だが、幾ら斬っても死なない奴を相手にしても面白くない。
恐らく轍醍醐はウィールハートを圧倒していただろう。
轍醍醐にとってウィールハートなどカスにも劣る相手だろうからな。
しかし、やはり倒せなかった事で勝負には負けた。
負けることは誰にとっても嫌な事です。
つまりむしゃくしゃしてしまう。
「私を挑発しようとしても無駄だ。大体、そんな事をされなくても私はお前を斬りたくて仕方ない。今日だけは、自らを辻斬りとして貶めよう。」
「戦闘意欲が無くなるまでお前の魂補充を狩ってやる。」




