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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第四章-赤い死と永遠の生-
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祢々切丸

「轍さん。」


「なんだ。」


「刃を私に向けるのは止めてください。戦う気など、私にはありません。」


「そうだろうな。」


「……。」


「……。」


無言の、睨み合いと言うにはあまり目に力が入っていない状態で、火花を散らす。

……轍醍醐が私に刃を向ける理由。

私と彼に接点などない。

とすれば、私が関わろうとする事に関係があると考えるのが普通でしょう。

つまりウィールハート関係。

確か更月君は、奴に襲われた時に轍醍醐に助けられたと言っていた。


「知っているかジェイカー・リットネス。不死身の怪物を倒す時にあると便利な力を。」


「さあ?私はそんな物を持っていないので分かりかねます。」


「正解は不死身か、それに相当する数の命だ。」


成る程。

目には目を、刃には刃を、不死身には不死身を。

[不死身を倒すには……必然時間が掛かる。だとすればこちらも不死身に……。当然の考え方だね。]

それはそうですが。

……はあ。やはり轍醍醐の狙いはウィールハートで間違いなさそうです。


「不死身ですか。一体誰と戦う気何ですか貴方は。私は不死身でも何でもありませんが。」


「そんなことは知っている。君がワレラでない事もな。分かるだろう?私が誰と戦うなど。だからさっさとそこを退け小僧が。」


「……そういう訳にはいきませんね。」


殺気とも違う。怒気とも違う。

あるとすれば、有り得ない事ですがこれは……。

いや、あの顔を見れば一目瞭然か。

彼は眉を潜める訳でもなく、こちらを睨む訳でもなく。

ただただ“笑って”いる。

つまり彼は“歓喜”している。


「嬉しそうですね轍さん。何が、そんなに面白いんでしょうか。」


「ウィールハート。」


「……!」


さすがに驚いた。

その呼び名を知っているのは三人だけだった筈。

私、ベルサ、そして赤沢颯太。

それだけの筈だ。


「渦の心臓。永遠の命。実に良い。面白過ぎるぞジェイカー・リットネス。あれだけの物は此処二世紀程見ていない。なれば、奴と戦わずにはいられないだろう?……


さてジェイカー・リットネス。君が奴とどんな関係かは知らんが、私と奴の果たし合いを邪魔する事は許しがたい所業だぞ。」


やはり歓喜、か。


「……私からも言わせてもらいましょう轍醍醐。あれは面白い物でも何でもない。醜悪醜怪醜態醜聞。それら全てを集めた醜い存在です。なれば、奴を生かしておく訳


にはいかないでしょう?さて轍醍醐、貴方がウィールハートとどんな関係かは知りません。しかし、私が奴を制裁する事を邪魔するのは許しがたい所業ですよ?」


私が言い終えると同時に、轍醍醐は堪えていた笑いを解放した。


「あははははははは!なんだなんだ、礼儀正しい奴かと思ったが、中々どうして無礼千万!面白いじゃないか。」


「それはどうも。では私の勝ちという事で失礼。」


「はははは。“千刃の谷-祢々切丸”。」


私の右腕と両足、そして腹の一部が削がれた。

……やれやれ、戦闘開始ですね。

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