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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第二章-日々日常-
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CASE:如月薫

俺か。

って言ってもさ、俺はこの話、この世界ではあまり主要な立場にあるとは言えないんだけど。

いつか、俺の世界の話が語られる日が来るかもしれんが、その確率はこの話の人気度と、それ以上に作者のやる気に沿うからな。

ま、なんでもいいか。

じゃあ始める。

言っても前の続きみたいなもんだけど。

行くぜ。

掛け声は、ない。

噂、よりも酷くはっきりとした、言わば予感とでも言うか。

いや予感にしても噂並に胡散臭いといえばそうなのだが。

前々回の『権限者』の余韻が残っている俺にはそれが分かった。

世界が、俺が変えた後に、何かがあって、そしてまた変わったという事に。

最近学校での話題に於ける約2割を占める、『更月涼治』という生徒がそれに関わっている事にも。

どうやらそいつは『悪魔』とか呼ばれているらしい。

凜から女子……って20歳で女子とか馬鹿げてるな女性になれ。

とにかく、女ルートからの情報によれば、更月涼治はかなりいびられているらしい。

……それらから推察するに、そいつが今回の世界の権限者である事は殆ど確定だろう。

だとするなら、魔術が発達した世界か。

悪魔ってのもあながち間違いじゃないのかも、ん?

噂、言っても一人でだが。

何にしてもすればなんとやら、更月涼治が俺の目の前を駆けていった。


「……。」


やれやれ。

声を掛ける間も無かったな。

威勢の良い奴だ。

その割に泣いていたが。


「Quick“光よりは遅い。でも速い”。」


あんなものを見せられては気になって仕方がないじゃないか。

7倍速で走る俺は、それでも完全に更月に近付く事は出来なかった。

“攻撃”による移動か。

流石は悪魔の力だ。


「あ!薫さん!廊下をQuickを使って走っちゃダメですー!」


「悪い頼子ちゃん!今急いでるんだ!」


掛けられる声に返事をして先を急ぐ。

そのちょっとの間にも、俺と更月の間は2m程距離を足して開いていた。

早いな。

Quickで追いきれないなんて。

……この先にあるのは、階段だな屋上に続く。

そこまで考えが至れば、答えも自ずと出るか。

先に屋上に着いた更月が何かで南京錠と鎖を切り裂いた。

やるな。

取りあえず、中に入った、いや外に出た更月を扉の内側から眺めてみる。

ポーカーフェイスで感情が読めない奴だ。

飛び降りるかとも思ったが、どうやらそんな気はないようだ。

と、更月がぼそぼそと何かを呟く。

瞬間、右手に短刀が。

同化している悪魔の術式兵装か。


「……いやいやこれは不味い。Speed“時間を加速させろ”。」


時が止まる。

故に風景も止まる。

当然目の前の更月の動き……マジかよ。

じりじりとその腕が動き、胸に短刀を突き刺そうとしている。


「どんな力だ……。更に不味い。Light“原点の光”。」


時が元に戻る。

短刀は今までの7倍近くのスピードで持ち主の胸に突き刺さろうとしている。

だが、問題ない。

こっちは地球を、1秒間に7周半回るスピードを持っているんだからな。


「悪いな。」


意思を阻む事に一言詫びをいれ、“光の剣”で刃を遮った。

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