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ExtraMaxWay-NaturaProdesse-  作者: 凩夏明野
第一章-得難いは愛すべき焔業-
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酔えや騒げや果たし合え

「ワハハハハ。いやー愉快!愉快ですね!ワハハハハ。」


「……。」


騒いでいるのは紳さんだ。

笑い上戸なんだろう。

普段の礼節は完全に引っ込んで笑っている。

それはいい。

問題なのは……。


「聞きたいんだが爽。」


「なんだよ。」


「紳さん、彼はもしかして、いや、もしかしなくても酒に目茶苦茶弱いんだろ?」


「ま、百聞は一見に如かず。見たまんまだ。」


紳さんが飲んだのはビールでもなければ焼酎でもなければウイスキーでもない。

梅酒だぞ梅酒。

しかも梅酒の水割り。

そんなもん聞いた事がない。

梅酒のロックなら分からんでもない。

しかし、梅酒をわざわざ水で薄めるなんて意味不明、いや不必要と言った方が良いだろう。

そんなもんは無意味で滑稽で、何より金の無駄だ。


「紳は昔からこうなんですよ更月君。最も、これでも強くなった方なんですけどね。なんたって昔はアルコールランプに火を点した程度で酔っていましたからね。」


はははと笑うジェイカーさん。

彼もまた赤い顔をしている辺り軽く酔っているんだろう。


「大人達はいつもそう。例えば、パーティーなんかを開くでしょ?そういう場はやっぱり色々な人、言ってしまえば赤の他人でとても関係を泥沼で包む様にどぼどぼな関係でとても醜い関係の方々がいらっしゃるのね。だったら、お酒は話を進ませる程度に適度に薄くお酒を飲むのよ。でも、身内の席となるとそうはならないの。飲めや騒げや酔えやでくちゃくちゃ。それこそ泥沼みたいにね。」


「……。」


此処にも酒に弱い奴が一人。

飲んでない。

だと言うのに顔はジェイカーよりも赤く紅潮している。

いつもより話すし、言ってる事がくちゃくちゃだ。

それこそ泥沼みたく。


「これは、言わば喋り上戸で迷走上戸かな。


「その見解は間違ってない。俺もそう思う。」


「さて、君達は林檎を食べるかな?」


「……あれは剥き上戸だな。」


「その通り。」


もうなんだかな。

爽は酒を飲んでいるが全く酔っている気配は無い。

彼は既に大ジョッキ十杯を軽く空けている。

だと言うのに顔に赤みが差していない辺り相当強いんだろう。


「全く、酒に弱い奴は居酒屋に入らないべきだ。とは思わないか涼治。」


「いや、まあそうなのかな。」


「大体未成年がいるのに居酒屋に入るってどうだ。お前はもう18で良いけど、あの子、セナリアは15でまだ未成年だ。」


「つっても酒を飲むのはオーケーじゃん。15じゃ煙草は駄目だけど。」


「ふむ。お前は20歳未満が酒を飲んじゃいけねえ時代を生きてないからそう言えるんだろう。」


「はあ?」


それ百年以上前の話じゃん。

一体幾つなんだって話になるぞこれ。


「俺は基本的にルールは守る主義なんでね。過去の事とは言っても実際にあったルールだ。なら守らねえといけないと思うし、だったら破るのだって勿論やっちゃいけねえ。だろ涼治?」


「ま、そうだけどさ。あ、でもさ、なら殺人はどうなんだ?紳さんと一緒にいたんだから人殺しも、だろ?」


「俺が産まれた頃既に殺人は許可されていた。俺は人が定めたルール、倫理にのみ則る。神さんが定めたそういうもんはガン無視結構なのさ。」


「それについては完全に同意せざるを得ないな。」


神なんて俺の想定の範囲外であり、だとするならそんなもん存在が無いのと同義であり、だからそんなもんに従う必要はまるで無い。

違うか悪魔?

……。

悪魔?

[……む?悪い。何か用だったか?]

……。

此処にもいた。


「さて涼治。隠れスモーカーの更月涼治。俺はこの禁煙である腐った居酒屋の外に出て一服しようと思っている。どうだ?」


「……俺が煙草吸ってるなんて誰にも言ってないぞ。」


「俺は中々どうして鼻が利くんだよ。おら行くぞ涼治。」


なかば引きずられながらも居酒屋の外に出る。

この季節にしては爽やかな夜だ。


「……ふー。」


不意に点った火が別の物に移っていく。

その先からは白い煙が天に昇るべく発生している。


「別にヘビースモーカーって訳じゃない。喫煙欲を抑えるくらい余裕のよっちゃんだ。だけど、話を始める切っ掛けとしてこれ程共通の嗜好はないだろこの場合。」


「ふー。つまり話がしたい訳か。」


酔ってアホになった奴らにも聞かれたくない話を。


「人は今まで体験していなかった事をその身を以て経験した場合、進化したり退化したりするもんだ。退化した場合そいつは死ね。」


「え?」


「いや違うな。退化した場合そいつは必要以上に鬱陶しくネガティブかつ死体みたいになるもんだ。」


確かにそうかも。


「逆に進化した奴だ。それはとてもポジティブで、とても綺麗になる。お前はそれなんだよなどう見ても。つまり、お前は確実に進化している。ならよ……。」


煙草に点いていた火が消えた。

……有り得ないだろ普通に。


「それは見せてもらわねえとな涼治。万物を赦したい。それ故に燃やす。“得難いは(ショウ)全てに説き伏す烙印(キャク)”。ついでに『凪』。」


爽の右手に大鎌、左手に日本刀。

大鎌の刃には炎の様な模様があり、柄には赤い帯がぐるぐると巻き付いている。

日本刀の方は……なんだろうか。

見た目は凄く綺麗な日本刀なんだが、なんだろう。

凄く綺麗としか形容出来ない。

[ふん。成長したと思っていたが、そういう方面はてんで駄目だな貴様。]

お、復活したか。

[あ?]

いやすみません何もないですはい。


「戦わなきゃ駄目なのか?」


「別に殺し合う訳じゃない。言わば模擬果たし合いだ。」


「さいですか。集約、結合、実現。影に形を。“影の(スキア)王冠(ステマ)”。」


「はっはっは。いくぞ涼治。」

天使:熾天使『ウリエル』

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