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あんたの自由は、今日で終わりよ

数日後、契約書が届いた。

分厚い英文契約書。

DHL国際便で。

「重っ…」

テーブルに置いて、パラパラめくる。

全部英語。

「AI翻訳、頼むわ…」

スマホのカメラで、ページを撮影。

AIが、リアルタイムで翻訳してくれる。

「ふむふむ…」

報酬、撮影スケジュール、権利関係…

一つ一つ確認していく。

その時、カヨが後ろから覗き込んできた。

「何それ?」

「ハリウッドの契約書」

「ふーん」

カヨは、パラパラとページをめくった。

そして、ある一文で止まった。

「…ねえ、これ何?」

「ん?」

カヨが指差した部分を見る。

スマホで翻訳。

『In the event that the actor becomes unable to perform due to illness or injury, the actor shall be liable for damages incurred by the production.』

『俳優が病気や怪我により撮影不能になった場合、俳優は制作に生じた損害を賠償する責任を負う』

「…まあ、よくある条項だよ」

「よくある!?」

カヨの声が、急に大きくなった。

「あんた、倒れたらウチが破産するじゃない!!」

「大丈夫だって…」

「大丈夫じゃない!!」

カヨは、俺の肩を掴んだ。

「ねえ、損害賠償、いくらになるの?」

「え、えっと…」

契約書を確認する。

ページをめくって…

「…1日あたり、500万円」

「500万!?」

カヨは、目を見開いた。

「撮影期間、半年でしょ?」

「ああ…」

「1週間倒れただけで、3500万円!?」

「…まあ、理論上は」

「理論上じゃない!現実よ!」

カヨは、深呼吸した。

「…分かった。今日から、徹底管理するからね」

「管理?」

「健康管理よ。あんたに億単位の賠償金なんて払えるわけないんだから」

カヨは、そう言ってスマホを取り出した。

「まず、血圧計買う。それから、カロリー計算アプリ。あと…」

「ちょ、ちょっと…」

「黙って。あんたの自由は、今日で終わりよ」

カヨの目が、本気だった。

俺の人生は、ここから大きく変わることになる。


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