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誹謗中傷
その頃、SNSで騒ぎになっていた。
『田所健一の息子、裏金で合格?』
『ハリウッドマネーで不正入学疑惑』
『ジュニアオリンピック2位も怪しい』
誹謗中傷の嵐。
「…何だこれ」
俺は、スマホを見て、青ざめた。
カヨも、記事を見ていた。
「くだらないわね」
「でも、これ…」
「気にしない。トシキは、ちゃんと努力して結果を出したんだから」
カヨは、平然としていた。
でも、トシキはショックを受けていた。
「父さん、僕、裏金なんて…」
「分かってる。お前は、ちゃんと頑張った」
「でも…」
トシキは、俯いた。
カヨが、トシキの肩に手を置いた。
「トシキ、聞いて」
「…うん」
「他人が何を言おうと、あなたが努力したことは変わらない」
「でも、信じてもらえないよ…」
「信じてもらう必要はない。あなた自身が知ってればいいの」
カヨは、優しく言った。
「あなたは、毎日5時に起きて、練習して、勉強して、頑張った」
「…うん」
「それは、誰にも否定できない事実よ」
「…母さん」
トシキは、カヨを見た。
「私は、あなたを誇りに思ってるわ」
「…ありがとう、母さん」
トシキは、少し泣きそうな顔をした。
でも、泣かなかった。
カヨの教え。
『感情に支配されない。自分が感情を支配する』
トシキは、それを実践していた。




