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決断
その夜、ホテルの部屋。
カヨが訪ねてきた。
「今日も撮影、お疲れ様」
「…ああ」
「シュピーガーから、プロデューサーのオファー、もらったわ」
「聞いた」
「どう思う?」
「…カヨが決めることだろ」
「そうね」
カヨは、ソファに座った。
「でも、日本に帰らないといけないわ」
「え?」
「トシキのジュニアオリンピック。来月よ」
「…そうか」
「だから、オファーは断るわ」
カヨは、あっさりと言った。
「トシキが優先。仕事は二の次」
「…そっか」
俺は、少し安心した。
カヨは、やっぱりカヨだ。
家族が一番。
それは、変わらない。
「でも、シュピーガー、残念がるだろうな」
「残念がらせておけばいいのよ」
カヨは、平然と言った。
「私は、私のやるべきことをやるだけ」
「…すごいな、お前」
「当たり前でしょ」
カヨは、少し笑った。
「あんたと、トシキを守るのが、私の役目だもの」
「…ありがとう」
「何を今更」
カヨは、立ち上がった。
「じゃあ、おやすみ。明日も撮影、頑張ってね」
「ああ」
カヨは、部屋を出ていった。
俺は、一人、ソファに座っていた。




