Nirvira
ある日、撮影中。
隣のスタジオから、ギターの音が聞こえてきた。
重い。
グランジ系のサウンド。
カヨが、少し反応した。
「…今の」
「ん?どうした?」
俺は、カヨを見た。
カヨは、音の方向を見ていた。
「今の音、もしかして…」
「何?」
「…いや、まさか」
カヨは、首を振った。
でも、明らかにいつもと様子が違う。
撮影の合間、カヨは近くのスタッフに話しかけた。
「Excuse me, what’s being filmed next door?(すみません、隣で何を撮影してるんですか?)」
「Oh, it’s a music documentary. About Nirvira(ああ、音楽ドキュメンタリーですよ。Nirviraについての)」
「Nirvira!?(ニルヴィラ!?)」
カヨの声が、急に大きくなった。
俺とトシキは、驚いた。
(カヨが…声を荒げた…?)
「Yes. Chris Novaselic and David Growl are here today(ええ。クリス・ノヴァセリックとデヴィッド・グロウルが今日来てますよ)」
「Both of them!?(二人とも!?)」
カヨの目が、輝いていた。
(え…何この反応…)
「Can we…visit?(見学…できますか?)」
「Sure, I think it’s okay. Let me check(もちろん、多分大丈夫ですよ。確認しますね)」
スタッフが、隣のスタジオに連絡を取った。
数分後。
「Okay, you can visit for a few minutes(大丈夫です、数分なら見学できますよ)」
「Thank you!(ありがとうございます!)」
カヨは、嬉しそうに答えた。
(カヨが…こんなに…?)
俺は、呆然としていた。
エマ、ルピタ、ジェマ、ソフィアも、その様子を見ていた。
「Kayo…is excited?(カヨが…興奮してる…?)」
エマが、小さく呟いた。
「I’ve never seen her like this…(こんなの見たことない…)」
ルピタも、困惑していた。




