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素直な息子
ホテルに着いた。
トシキの部屋は、俺とカヨの部屋の隣。
「トシキ、荷物置いたら、こっちに来て」
カヨが、呼んだ。
「はーい」
数分後、トシキが俺たちの部屋に来た。
「はい、血圧測定」
カヨは、血圧計を取り出した。
「はい、母さん」
トシキは、素直に腕を差し出した。
ピピピピ…
「110/70。完璧ね」
「やった」
トシキは、嬉しそうに笑った。
俺は、その光景を見て言った。
「お前も測られるのか」
「当たり前でしょ」
トシキは、少し呆れたような顔をした。
「母さんの食事管理とスケジュール管理があったから、ジュニアオリンピックの基準タイム切れたんだよ」
「基準タイム?」
「知らないの?ジュニアオリンピックって、基準タイムクリアしないと出場できないんだよ」
「そうなんだ…」
「母さんが栄養管理とトレーニングスケジュール組んでくれたおかげ。基準タイムから0.3秒も速いタイム出せたんだから」
トシキは、誇らしげに言った。
カヨは、平然としていた。
「当たり前のことしただけよ」
「母さん最高」
トシキは、満面の笑みでカヨを見た。
完全なるマザコン。
俺は、小さく呟いた。
「…俺の立場は」
「父さん、何か言った?」
「いや、何も」




