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みんなが夢中になっても、あなただけ
その夜、ホテルの部屋。
カヨが訪ねてきた。
「今日も撮影、お疲れ様」
「…ああ」
「何か言いたそうね」
「別に」
「嘘。顔に出てるわよ」
カヨは、ソファに座った。
「エマたちから、ライフコーチになってほしいって言われたのよ」
「…聞いた」
「どう思う?」
「…カヨが決めることだろ」
「そうね」
カヨは、少し笑った。
「あんた、嫉妬してる?」
「してない」
「してるでしょ」
「…少し」
俺は、正直に答えた。
「俺、主演なのに。なんで、カヨがモテてるんだよ」
「そりゃ、私が魅力的だからでしょ」
カヨは、平然と言った。
「あんたは、勘違い妄想癖がある。私は、現実的で冷静。どっちが魅力的か、明白よね」
「…ひどいな」
「本当のことでしょ」
カヨは、立ち上がった。
「でも、安心して。私は、あんたの妻よ」
「…」
「エマたちがどれだけ私に夢中でも、私が管理するのは、あんただけ」
カヨは、そう言って部屋を出ていった。
俺は、一人、ソファに座っていた。
(なんか、複雑だな…)




