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トールと師弟関係を結んだその晩・・・いつもの酒場でデュランは友人に大層呆れられた。
「師弟って・・・それ、むしろ恋人から遠ざかってるじゃない!」
とは友人マリアの言である。
「そう言われれば、そうだな・・・」
と、確かに思ったデュランではあったが、だからといって、焦ったり不安になったりするようなことはなかった。
(「トールの意思を大切にすることが出来れば、今は立場なんてどうでもいい!」)
というのが、今の彼女の偽らざる心境だったからだ。
「・・・そんなこと言って、結局はトール君と一緒にいられる言い訳が、欲しかっただけじゃないのぉ?」
という友からの返しには、無言を貫いたのだが・・・。
さて、翌日の朝。
空は快晴・・・物事の始まりにはうってつけの日になった。
前日の酒の余韻は無く、スッキリとした頭でトールを待つデュランは、一足先にギルドに到着していた。
この選択が、吉と出るか凶と出るか・・・。
それは結局のところ、『未来』の自分が過去を振り返ったときに初めて分かること。
(『だから、今の自分がすべきは・・・『『未来』の自分が、『今』の選択を正しかった・・・といえるような、行動をすること』だ!』)
さしあたって、デュランは今日は早速、何をしようかと考える。
とりあえず、冒険者としての基礎的な技量を見るため、難易度の低いダンジョンに潜ってみるか?
それとも1日を座学に費やして、基礎的な知識をたたき込むか?
・・・デュランの中に浮かぶ幾つもの選択肢。
そのどれを選ぼうとも、トールにとって決して楽なものにはならないだろう。
(「師弟はある意味、恋愛から最も遠い関係か・・・。言い得て妙だな」)
今日以後、自信がトールに与える課題は、彼を死なせはせずとも、苦しめることはあるだろう。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・という、異国の文言もある。
厳しい訓練を課す相手に、好意を抱く物好きなどいようはずが無い・・・。
だが・・・それでも・・・デュランはやると決めたのだ。
それが彼の為になるなら・・・
それで私が嫌われたとしても・・・
それが、私が好いた彼の『意思』を大切にするということだから!
「デュランさーん!」
早朝・・・人はまだ少ない大通りを、元気な声と共に掛けてくる、少年の姿。
あどけなく・・・頼りなく・・・誰よりも綺麗な心を持った男の子。
そんな未来に、私は手を振って答えたのだった。




