プロローグ
史上最強と言われる女冒険者がいる。
彼女はたった1人でこの世に溢れる数多くのダンジョンに挑み、腰に佩いた2本一対の双剣を振るって、それこそ無限といって差し支えないほどのモンスターを倒してきた。
年は若く、成熟した体つき。
それだけ聞けば麗しの美女を想像するだろう。
しかし、軽装越しにも見える部分・・・そこには、数多の傷が連なり、それは日を追うごとに増えていく。
ある者は言う。
「惜しいな。あの傷さえ無けりゃ・・・」
しかし、当人がそれを気にすることはない。
モンスターに挑むとは・・・すなわち殺すということ。
ならば、相手だってこちらを殺しに来るのは必然。
傷ついた身体で帰還するということは、傷だけで済んだということ。
自らの身体に着いた傷を勲章だと自慢することも無く、さりとて、恥ずかしがるわけでも無い。
まるで生まれた頃からあった黒子や蒙古斑のように、それを扱う彼女。
そんな彼女に打算から言い寄る者は数知れず、しかし、それを視線で・・・それが出来ねば、手に入れた権力で・・・それも通じない馬鹿は暴力で一蹴する・・・そんな彼女に今まで、浮いた話など一切無かった。
独りにして最強。
孤独上等。
天上天下唯我独尊。
そんな風に思われていた最強の女・・・デュランはある日、恋に落ちた。
これは、最強と謳われ、それ故にどんな男も寄せ付けない孤高の女、デュランの初恋の物語である。




