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反逆者  作者: 露崎夏草
第二章 〜風花中学校2年生編〜
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第八話 2年生

◇2031年4月8日 県立風花中学校部活棟◇


 一年生の時に勝ち残って2年生になった新しいチームには、専用の部室が渡される。今はその部室に向かっている途中である。もし中身が古かったら圭吾やシオンをこき使って掃除させてひまりちゃんのグッズ飾ってやるんだ。


 部室の前に立つと緊張で扉に手をかけながら固まる。数分悩んだ末、開けてみると中にはぐったりした圭吾が倒れていた。私がわけを聞くとだるそうに答えた。


「……誰のせいだと思っているんだ。今日の朝に部室片付けないとしばくよと送ってきたのは、野乃だろうがおかげでくたくただよ…。」


「すっかり、忘れてた!まぁ見た感じ最初から片付いてそうだし細かくしてれたのかな?まぁこれでひまりちゃんのグッズが飾れるね♪」


 奥の部屋から爽馬が出てきて嫌そうな顔をしている。私は、ひまりちゃんの魅力がわからない爽馬を部室がある2階から落とそうとしたがひまりちゃんのキーホルダーをくれたことに免じて辞めてあげた。


 部室の真ん中には、細長い机とパイプ椅子が置かれていたので私と圭吾は席に座った。爽馬はお茶を沸かして机に運ぶ途中、急に部室の扉が開かれる。爽馬は、びっくりしておぼんに載せてあったお茶を吹っ飛ばしてしまう。そのコップは、圭吾の頭に直撃して圭吾は「っっつぁああああああっ!!!」と叫んで頭を抑えながら椅子から転げ落ちた。爽馬は、平謝りをし続けた。

 

 扉を開けたのは、シオンだった。シオンは、その光景に驚きながらも冷静に入ろうとしたが何かにつっかえてるようで入れない様子。よくよく観察すると後ろから「痛いって!」「引っ張るな!」と声が聞こえた。シオンはめんどくさそうに両手で誰か2人の首根っこを掴んでいた手を伸ばして部室に順番ずつ投げ込んだ。その正体は、細井篤樹と大海羅瞿だ。


「こんな乱暴に運ばなくてもいいじゃないですか…。あなたに先週挑んで完敗したのでもう反抗する意思はありませんよ。そうですよね、羅瞿。」


「そうだよなぁ、シオンが仲間になれって言うから今日も集まったのに俺たちは掴まれてズルズル引きずられてんの!?いきなり扱い悪すぎだろぉ。」


「いやぁ、悪いな。こうした方がリーダーとしての威厳を見せれると思ってやったが対して効果なかったな。……と言うわけでこれから篤樹と羅瞿が仲間になるのでよろしくね!」


 意味がわからない。あの狂者の幹部を仲間に入れるって言うの!?私が少し狂者に対してトラウマを抱えているかもしれないのに…。ちょっとは考え欲しかった。私は反発した。


「シオンの言うことでも流石に今回は無理っ!あの2人は、元”狂者”なんだから!こいつらの仕打ちは、絶対に忘れないからね!」


 流石に3人は焦り出した。まさか反対されるとは思っていなかったように。


「……不快にさせてしまったことは重々承知しています。でも、僕たちも楓木に操られていたと言っても過言ではありません。しかし、それを言い訳にするつもりはありません。これから友好関係を築いてください。」


 篤樹は、そう言って頭を下げた。羅瞿もそれを見てつられるように頭を下げた。シオンは、その後ろでムフッって顔をしていたから顔を火傷した圭吾に無理矢理頭を下げさせた。


「そこまでしてくれるならしょうがないわね。でも、この”反逆者”の一員としてしっかりと活躍してちょうだいね!」


「はいっ!野乃姉貴!」


 羅瞿が勢いよく叫ぶ。野乃姉貴ってめっちゃいい響きじゃない?私はすっごく気に入った。しょうがなく2人を仲間にして今の”反逆者”は、6人。少ないかもしれないが少数精鋭だと考えれば強いのではないだろうか?


 その後、すぐに圭吾を保健室まで引っ張った。本人は、保健室に行きたくなかったらしい。しかし、顔の上半分が真っ赤だったら連れて行くしかないだろう。それも仕方ない、保健室にはあの人がいるから。


◇風花中学校校舎保健室


 風花中学校の保健室は、もちろんでかい。なぜなら試合で多くの怪我人が出るからだ。しかし、保険医は、1人しかいないのでいつも対応に追われる。そこに、自分は医者の才能を持ち合わせる救世主が現れて今は少し解消している。


「……あらぁ。深雪はんと櫻田はんやないの。今日はどないしたん?ふたりそろって阿保見本市でも開く気ぃなったん?」


 そう……。救世主とは、この京都弁を話す同級生の女子、千歳屋 綾芽ちゃん。身長は、私と対して変わらなくて黒紫のボブショートでてっぺんのアホ毛が目立つ。もともとは、京都生まれの京都人で私たちが入学する何日か前に北九州市にやってきたらしい。


 保健委員でもないのに、なぜか保健室に居座っていろいろ治療してくれる。技術は本物で欠損以外はほぼ治せないものはないと言えるほどすごい腕を持っている。でも、ほとんどの人は、黙っていれば可愛い女医だと思っている。口を開けば、皮肉を込めた京都弁が炸裂する。本人は性格がいいと思っているが心の中の腹黒さが滲み出ている。


「なあ、悪いが火傷しているだ。ちゃんと治してくれよ……!」


 圭吾は、頭を抑えながら心配そうな顔で綾芽にお願いします。綾芽は、笑顔になりながら対応する。


「あらあら……そやけどそれ、火傷したのはあんた自身のせいやろ。うちもせわしなくて手ぇ何本あっても足らへんのやわ。そやさかい、ちっーと雑に治さしてもらうなぁ。」


 圭吾は、泣きながらこちらを見てきた。きっと、やめてあげてと言って欲しいらしい。でも、前に治療を拒んだり、邪魔したりしたら酷い目に遭ったって聞いたことがあるなぁ……。私は、圭吾と目を合わせないように保健室から出た。出る瞬間、「タスケ…テ…」と聞こえたがきっと気のせいだ。私は、そう思いながら部活棟に帰る。


◇◆◇◆◇


「ふふ……うちね、人にお注射さす時−–快感をおぼえるどすえ。この『ぷすっ』て感触が、なんともたまりまへんの。それに…嫌がる人にするのんが一番楽しいんよ。」


 そう言いながら綾芽は、泣いている圭吾の腕を押さえて注射を持つ。圭吾は、火傷のせいで逃げるという発想が浮かんでいない。そのままほぼ無抵抗のままさされてしまう。圭吾は、痛さで気絶する。


「うちが”お注射”好きなんは、ちょっとした趣味どすさかい……♪治療には、全く関係あらへんで?ほな……後で火傷の治療もしたるわ。」


 気絶した圭吾をベットに運び綾芽は、さっきまで座っていた保険医用の椅子に座って作業を始めた。


 5時間、夜の9時をまわる頃に目を覚ました圭吾は、完全に頭の火傷が治っているのを確認して喜びます。そして、保険医から出ようとすると鍵が施錠されていて出られませんでした。――翌日、たまたま通ったシオンに圭吾は、助けられました。



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