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反逆者  作者: つゆさき
第三章 〜風花中学校3年生編〜
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第二十六話 後輩

◇2032年4月22日 風花中学校・武道場◇


     △▼△▼△


 俺たち元“反逆者”は、武道場に集まった。櫻田圭吾、蒼井爽馬、大海羅瞿、細井篤樹、そして深雪野乃の5人しかいない。そして新しくチームを作る必要がある。


 シオンが死んだあの日、校長が言った。「お前たちには解散してもらう。新しいチームを自由につくってくれたまえ」と。俺は否定しようとしたが意味がないと悟った。


「シオンくんの遺言通りにしますかぁ〜?僕はその通りでもいいとおもうんですがぁ〜」


 爽馬が静寂した空気に一点の光をくれた。あの日から俺たちの会話は少ない。だからこいつのテンションはある意味いいかもしれない。


「俺はそれに賛成するぜぇ!!シオンが言うなら俺はリーダーになれなくてもいいしな!!」


「僕も賛成します。しかし、野乃さんはリーダーになれるのでしょうか?僕には廃人のように見えます」


 篤樹と羅瞿は、シオンから反逆者の副リーダー的ポジションになれと言われた。野乃はリーダーになれと。


 一方、俺と爽馬は新しくチームを作れと言われた。反逆者を継ぐのは俺じゃなかったのは残念だが、まぁいい。爽馬もそれで良さそうだ。


「やっぱり篤樹と羅瞿は、野乃を支えてやってくれ。このままじゃ……いや、もう壊れているか」


「……」


 俺は冗談のつもりで野乃に問いかけた。いつもなら、叩きながら「あなたもね!!」とか言ってくるのに……。やっぱりもうダメかもしれない。


 野乃は、かつての明るさも毒舌も全部、シオンと一緒に燃えてしまったみたいだった。返事もせず、うつむいたまま拳を握りしめている。


「……次の戦いは7月の16日らしい。チームの強さによって2年生と戦うやつが決まるらしいから恨みっこなしな」


 俺はわかっていた。どうせ俺は弱いから自分が2年生と一番最初に戦うことになることを。……だったら強くなるしかないだろ!!


 仲間は作れるらしい。1年生の頃は、1人がカッコいいと思っていた。本来なら3年生の今も1人だっただろう。でも、“反逆者”に入ってしまったからには仲間を作るしかない。


 ……仲間集めから始めなきゃな!


◇2032年7月14日 風花中学校・化学教室◇


 2ヶ月前、俺は新しくチームを作った。”櫻絆サクラン”。仲間は、総勢40人。幹部クラスのは4人。桐生楓木きりゅうふうき滝本流唯たきもとるい黒羽真冬くろはねまふゆ綿貫星羅わたぬきせいら


 楓木を仲間にするかは迷った。一年生の時は、“狂者”のリーダーで俺が作った“役者アクター”の敵だった。まぁ戦ったことないけど。


 そして、俺が“反逆者”に所属してからは実際に戦って勝った。俺は楓木と直接戦ったわけじゃないけど。とにかく、「俺を仲間にしてくれ」と言われたからしょうがなく仲間にした。


 流唯は秀才だ。野乃には、悪いが彼はスナイパーを使って戦う。やっぱり勝負を決めるのは距離でリーチを取れるスナイパーだと思ったから入れた。


 真冬と星羅は、俺の大ファンだったから入れた。強さには期待してなかったけど、実際俺よりも強い可能性がある。……まずい。


 そして、野乃は“反逆者”を受け継ぎ、“反逆者”のリーダーになった。幹部として、細井篤樹、大海羅瞿、芝ななみ、真緒治郎まおじろうの4人。全体メンバーは40人くらい。


 メンバーを誘い、編成したのは羅瞿と篤樹だ。シオンの遺言通り、野乃の下についたらしい。野乃はリーダーであるが、今は廃人のようになっているので実質2人が動かしている。


 篤樹と羅瞿元々”狂者”のメンバーであり、幹部だったから、同じ元“狂者”の幹部であるななみや治郎を誘ったのだろう。


 楓木だけ仲間はずれみたいで面白いな。


 最後に、爽馬だ。爽馬は1年生の頃に、大庭大和おおにわやまとを殺したことから変なやつだと思われている。実際、変なやつだし。


 でも、20人くらいは集まったらしい。同学年は、約100人くらいだからこれで全員がチームに加入したのかな?実際のところは計ってみないとわからない。


 爽馬は“嘲夢団ドリームスカーというチームを作った。幹部クラスは3人らしい。三条灯理さんじょうあかり天際狂也てんさいきょうや、烏丸ひづる。


 彼彼女らは爽馬に似ていて変人ばかりだ。灯理は変な仮面をつけているし、狂也は常にハイテンション、ひづるは俗に言うドMというものらしい。


 そして、2年生と戦うのは、“嘲夢団ドリームスカー”らしい。人数ふりのせいで一番弱いと認定されたんだろう。可哀想に。……でも、爽馬が負けるなんて思ってない。変人だけど強いはず!


◇2032年7月16日 風花中学校・校庭◇


 本来なら、俺たちは見るべきではない。試合を見ていることがバレれば、相手の情報を与えることにつながる。そして、敗因にもなる。


 けど、俺は負けよりも自分の興味を優先してしまった。あの吉満校長に頼んで専用のスペースを作ってもらった。とても見下ろせる良い場所だ。


 3階の空き教室の校庭側の壁を壊して、マジックミラーに置き換えた。そうすると、俺たちだけ試合の様子を楽しめ、戦っている奴らには情報を渡さない。……やっぱり俺って賢いな!


 目の前には、“嘲夢団ドリームスカー”のメンバーの名簿と2年生のチーム“蒼淵そうえん、総勢30名だが精鋭集団だと俺は見込んでいる。


 リーダーは海神凪士わだつみなぎし。プロフィールを見るとの真面目らしい。……俺のチームで言えば黒羽真冬っぽいやつだ。


 そして、幹部は3人。鮫島鋭牙さめじまえいが波留美汐はるみしお貝沼真珠かいぬままじゅ


 プロフィールでそれぞれの強みはみれるが、実際の強さを目の当たりにして肌で感じよう。きっと面白い試合が見れるはずだ。


 校長が校庭に現れた。いつもよりやつれている感じがする。無理もない、校長はシオンに期待していたからだ。ある程度演説してから開始の合図がなされた。


 一番最初に動いたのは爽馬だった。……え?爽馬!!


 あいつ何してんの!?リーダーなんだから攻めるのは後にしろよ!!お前が負けたら終わりなのに!?


     △▼△▼△

 

 僕はやっぱり大人しくできるタチじゃないんですよね。前線に出てバリバリ活躍する。それが僕ってものじゃないですか。


「ご主人さまぁ♡ひずるもついていきますー!一緒に敵を倒しましょうー!ついでにひずるもいじめてください♡」


「ついてくるのはいいですよぉ〜。でも、邪魔しないでくださいねぇ〜。僕は僕のやり方で戦いますからぁ〜」


「さっすがご主人さまぁ♡ひずる一生ついていきまーす!」


 烏丸ひずるは仲間になりたそうな顔をしていたから仕方なく入れた。まさか、マゾだとは思っていたなかったけど……まぁいっか。


 仲間にしてからはひずるの頭にりんごを乗せ、ゴム弾を使った銃の練習をしている。ひずるに当たったときはめちゃくちゃ喜ぶので僕も気持ちがいい。


 校庭の端から端まで近い。約100mくらい。僕はそこまで脚が速いわけじゃないけど、十分動ける。


「お初にかかります。”蒼淵”の幹部、貝沼真珠と申します。……わたくし、よく言われるんです。綺麗だけど近づきたくないって。なんででしょうね。……私にはわからないです」


「う〜ん、これはめんどくさい敵ですねぇ〜。無駄な時間を使いたくないので、ひずるちゃんお願いしますねぇ〜」


「はーいご主人さま♡ひずる、ぼこぼこにされながら倒しまーす!」


 爽馬はリーダーがいる方へ走った。真珠とひずるをその場に残して……。


「烏丸ひずるでーす!えっと、ひずると戦ってくれるんだよね?めちゃくちゃ嬉しいなぁ♡強かったらひずるのことおもちゃみたいにして欲しいなー♡」


「……気持ち悪いを通り越して、尊敬しますわ。こんなのが先輩だなんて信じたくありませんわ……ふふ」


「あーー!今、ひずるのことバカにしたでしょー!もっとやって!言葉責めしてー♡」


 普通の人間なら、こんな気持ちの悪い変態を目の当たりにしたら逃げ出したくなるものだ。しかし、真珠は違った。なぜなら……ドSだったからだ


 つまり、ドMのひずるとドSの真珠はとても相性がいいっていうこと。どちらの性癖の方が強いか証明される気がする。


「……ふふ。気持ち悪い。だけど、こういうの、嫌いじゃないわ。貴方、今から遊んであげる」


 真珠は制服の中からムチらしきものをするりと引き抜き、それを地面に打ちつける。その動作に、一瞬で空気が張り詰める。


「ひ、ひぃ……♡♡♡」


 ひずるは、目を潤ませて震えた。恐怖や緊張ではない。明らかに陶酔したような笑み。よだれが口元からつぅっとこぼれ、彼女は床に膝をつく。


「ふふ、そんなに欲しいの?」


「ん゛っ……♡その音だけで、イけそう……っ」


「変態……本当に、どうしようもない先輩ですね」


 そう呟く真珠の表情は笑っていたが、目だけが冷たく光っていた。その瞬間、ムチが宙を舞った。


 パァン!!


「ッっしゃああああああ!!キマしたよコレ!!今の一撃、たぎってきました♡!!」


 痛みと快楽で覚醒したひずるは、全身に電気が走ったように覚醒し、目の前にいた真珠を殴り飛ばす。威力は申し分なく、軽く気絶した。


「やっぱりダメです。ひずるにはご主人さま♡がいないと。待ってくださーい!!」


 


 

 天際狂也と三条灯理は戦いとかめんどくさそうにお茶をしていた。それも、校庭の真ん中で。しかし、全くやられない。


 それもそうだ。敵は油断していると錯覚してくるので、弱い。つまり、カモだ。狂也と灯理は近づいた敵を一瞬で倒し、お茶をしている。やっぱり変人だ。


「うそっっぅっっ!?なにあれ!?!?!?!?!?そこ戦場だったんじゃないの!?!?!?」


 パニック状態で茶会の周りを見ていたのは、波留美汐。地面に這いつくばってスナイパーように観察する。


「どーしよどーしよどーしよ!?もしかしてこれ、死のティータイム!?あっやばい!あっやばい!しかもアフタヌーンティーの段が3段もある!!豪華すぎる!!」


「……うるさいなぁ。いちいち騒がれると面倒なんですね。もうちょっと静かにしてくれると助かるんですが」


「まぁいいじゃないかー☆オレ楽しめるならいくらでもばっちこいって感じ!!血ィ出んの見えたらテンションあがっちゃうなぁ〜」


 どちらかといえば、2人は爽馬の考えによっている。ひずるのようにおかしいわけではない。……いや、おかしい。


 最初に気づいたのは、灯理だった。ティーカップを置いて席を立つ。目の前にいる実力者に対抗するために。


「……ふふ、実力者って良いわね。強くてプライド高くて面白い。それを壊せるのが私の生き甲斐だから、ごめんね」


「さあ、行こうぜ〜〜〜!ヒュ〜〜〜〜ウッ!!」


 それに続いて狂也も立ち上がった。なぜか背中についてあるマントから、鋭利なスパナのような金属を取り出す。


 2人はゆっくり、美汐を囲むように立つ。そうしないと勝てないとわかっているからだ。2人の実力は爽馬よりは強いがそれ止まりだ。


 言ってしまえば、爽馬はそこまで強くない。銃の才能に傲ってろくに、修行をしてこなかったので当たり前である。それでも、一般人よりは強い。


「気をつけなさい、狂也。あの子、強いわよ」


「そんなの見たらわかるって〜〜♪だから楽しみじゃんか〜!!」


「えっ!?!?!?もしかしてこのまま戦う感じ!?やっちゃって良い感じ!!!じゃああたしいっーきます!!?!?」


 美汐は拳を軽く構えて、2人が来るのを待った。狂也が先に近づいて腹を殴られる。


「いっでぇぇぇぇ!!ましがよ〜〜?バカつよいじゃん!!」


「バカだね、狂也。忠告したのに、本当に馬鹿」


 2人はまた、ゆっくりと近づいて美汐の隙を狙う。美汐も対抗して隙を産まないように全方位に全力を注いだ。






 僕は早くリーダー倒して終わらしたいんですけどね。でも、リーダーの見た目知らないからわからないですよ。資料くらいくれても良いんですよ?変な校長さん?


 確か敵のリーダーさんって堅物だって書いてるんですよね。つまらないなぁ。……待ってください。わからせ展開ありってことですよね?最高じゃないすか。


 リーダーのように佇んでいる人物を僕は見つけた。腕を組んで足を開いて仁王立ちしている。僕は急いで銃を構えて近づく。


「ねぇ〜?君、リーダーでしょ〜。僕と戦ってくださいよぉ〜。戦わないなんて退屈じゃないですかぁ〜」


「……風が騒いでいるな。気分がいい」


「格好つけなくていいから戦いましょうよぉ〜。僕にボコボコにされて泣いてくださいぃ〜」


 海神凪士はそんな僕の言葉に一切動揺せず、一点を見つめていた。流石の僕も許せないと思った。


 一応、弾はゴムにしてある。死んでしまったら元も子もないと考えたのこと。だからいくらでも撃てちゃう。


 まずは、1発目と思い、僕は凪士の顔目掛けて発射した。しかし、凪士は機敏に動き、軽く避けた。普通の人なら絶対に避けれないはずなのに。


「へぇ〜すごいですねぇ〜。弾を避けるなんてシオンくんしか見たことないですよぉ〜。もしかして最強ですかぁ〜?」


「戦い方はそれぞれ。……俺は俺だ」


「何言ってるんですかぁ〜?頭おかしいですよぉ〜。早く倒して別の人も倒したいなぁ〜」


 そう言って、僕は銃を構えた。その瞬間、目にも止まらないスピードで僕の前に現れ、消えた。正確にいえば、僕が吹っ飛び上を向いているからだ。


 全身が痛い。今までちゃんと戦闘したことなかったからきついね。でも、逆転できるよね。僕ってかなりの実力者なはずだから。


「い、痛いですねぇ〜。仮にも先輩なのに手加減とかしてくれないんですかぁ〜?ま、まぁ僕は余裕で、ですけどねぇ〜」


「雑魚は強がる。そういうもの」


「今雑魚って言いましたかぁ〜?少し強いからって調子乗るのはよくないと思いますぅ〜。でも、強いからしょうがないかなぁ〜」


 僕はわかっていた。仲間の援護がないと勝てないと。しかし、周りを見渡すと敵にボコボコにされて喜ぶひずる。2人相手なのに幹部に苦戦する灯理や狂也。


 ……普通に考えれば絶望だ。普通ならの話。僕はこういう時は興奮する。ピンチになれば楽しくなるそれが僕だからだ。


「珍しく本気出しますねぇ〜!痛かったらちゃんと悲鳴、あげてくださいよぉ〜」


 僕は銃を二丁構えて凪士に向けた。……銃は軽く空を舞い、地面にぽたっと落ちる。僕は手を挙げた。降参の意味ではない。殴られるとわかっているなら大人しくするべきだ。


「……潔し」


 僕は腹を殴られて吹っ飛ばされた。頭を強く打ったようで意識が飛びそう。全身も痛くて立ち上がれない。


 ……負けかぁ〜。


 僕は珍しく涙を浮かべた。……初めて負けた。今まで負けたことなんてなかった。こんなに悔しいんだ。いつも負けてる圭吾ってこんな気持ちだったんだ。


 ……次はないかもしれないけど。僕は鍛えることにする。……また”反逆者”に戻りたいなぁ〜。


「爽馬が負けたようです。私たちの負けです」


「まっじかよ〜〜!!こいつも倒せてないのに〜〜。まっ楽しかったからいっか⭐︎」


「それもそうです」


 灯理と狂也は僕が負けたのを知ってすぐその場を後にした。3年生チームは負けたらすぐに解体される。つまり僕が作った“嘲夢団”なんてなかったことになる。


 ……はぁ〜。


 ひずるはまだ敵にボコボコにされて喜んでいる。仲間を責めるつもりはないが、もうちょっと活躍して欲しかったなぁ。



 その場面を見ていた。圭吾は急いで新“反逆者”を実質動かしている篤樹に連絡した。「……爽馬は負けた。次に2年生チームと戦うのはお前らだ」と。



そろそろ野乃視点に戻ると思います

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