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反逆者  作者: つゆさき
第二章 〜風花中学校2年生編〜
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第二十二話 隙がない

◇2032年2月13日 風花中学校???◇


 蒼井爽馬は偵察係になったことを後悔していた。まさか、自分が死にそうになるなんて思ってもいなかったからだ。


     △▼△▼△


 僕は、偵察係になって”勝野智哉(かつのともや)”という人物を探している。アンジュちゃんの話によるとこの学校で一番強いらしいね。


 まぁ……僕の銃があれば、1発で、倒しちゃうんだけどね。そしたら、僕が一番になっちゃうかも……ははっ。


 アンジュちゃんの情報では、ここら辺で目撃情報が上がってるらしいけど見つからないなぁ〜。武道場なんてへんぴな場所にいるとは思えないし。アンジュちゃんの見当違いかな?


 今にも引き金を、引きそうになる自分の手を押さえて僕は、周りを見渡す。人の気配どころか、虫の声すら聞こえない。


 しかし、異形な雰囲気を醸し出す武道場。僕は意を決して、鍵穴を壊して入ってみることにした。どんな危険があっても、僕には関係ないからね。


「誰もいないみたいですねぇ〜。アンジュちゃんは嘘つきだったのかなぁ〜?まぁ〜気にしないけどぉ〜」


 僕は大声で叫んでしまった。これが間違いだったと今ではすごく後悔している。


「……誰だ?お前」


  首を掴まれて宙に浮かされる僕。目の前には、中学生とは思えないがたいの良い男。僕は、察した。この男には勝てないと……。


「ちょっとぉ〜迷い込んじゃって、てぇ〜。す、すぐでるんでぇ許してもらえない、で、で、ですかぁ〜?」

 

 珍しく冷や汗が出る。珍しいと言っても思い返せば、一度も出したことなかった。つまり、初めての冷や汗と絶望。


「……迷い込んだから仕方ないな。なら死のうか?」


「ごめんなさい……僕が悪いですぅ〜。……なんでもしますので許してください!!!」


 僕はまるで空中で土下座しているようなポーズをとった。男は笑ってくれたようで少しは機嫌をなおしてくれたと期待するしかない。


「おいおい、智哉!こいつ今、なんでもするって言ったよな?……洞海湾に沈めてみようか」


「……やめておくべきだ。近藤真彦こんどうまさひこ、こいつは”反逆者”のメンバーだろう。対戦相手が減るのは面白くない」


 奥から出てきたのが智哉。つまり、勝野智哉というわけか。そして僕を掴んでいる男は近藤真彦というらしい。口ぶりからして副リーダーポジションってことかな?


 深雪みゆきちゃんと圭吾けいごさん、2人がかりでも絶対に勝てない。……2人とも隙がなさすぎる。


 僕は逃げるための手段を見つけるため、思考を巡らせた。……一つだけ、たった一つだけ、思いついた。失敗すれば死ぬ……。そのリスクもたまらないけど。


「アンジュちゃんは、……シオンさんのことが好きですねぇ〜!!!」


「…え?」


「まじか」


 2人が動揺している間に僕は、銃口に煙玉を詰めて逃亡した。智哉さんとアンジュちゃんは元仲間だからかなり効いたんじゃない?結果はわからないけど。


 近くにあった体育館の倉庫に隠れた。外からしか鍵を、開けれないので見つかったら終了。でも、僕は動揺なんてしてない。だって、近藤のポケットからこれを手に入れたからね。


 そう、”覇者コンカラー”の名簿!リーダーと副リーダー、そして幹部やその他……全てが書いてある。これはもう偵察する必要はないねぇ。僕の勝ちだ。


◇2032年2月16日 風花中学校部室◇


     ▲▽▲▽▲


 土日が開けて私たちは、爽馬に呼ばれて部室に集まった。私は、どうせ失敗したと思い、春先シオンが大好きなマカロンを持って行く。もちろん手作り。


 シオンは目を輝かしながらお礼を言ってきた。……可愛い。


 櫻田圭吾は副リーダーになるために、ものすごく鍛えているようで今もダンベルを持っている。正直言って邪魔だ。細井篤樹と大海羅瞿は仮眠している。 


「みんさんねぇ〜せっかく、僕が情報集めたのにぃ〜だらけているんですかぁ〜?とても、とってもぉ〜大事なんですよぉ〜」


 爽馬は笑いながら言ったが、確実にキレている。普段の爽馬なら、すぐにゴム弾をみんなに放っているところだった。……つまり、そこまでキレていない?なら、大丈夫か。


「ふわぁぁぁ……あれ?もう話し合い始まってんじゃん!!おい、篤樹起きろよ!頭脳がいないと話が成り立たないだろ!!」


 爽馬のキレにいち早く気づいた羅瞿は、すぐさまに状況を判断して篤樹を起こした。懸命な判断だ……私ならそうする。


「よし……みんな集まったな。こうやって、みんなで敵チームについて議論をするのも久しぶりだ。ゆっくりしようか」


 やっぱり話をまとめてくれるのはシオンだ。さすが“反逆者”のリーダー!かっこいい!イケメン!優しい!


「野乃はそこまで期待してないけど……いいもの見せてよね」


 私は辛辣に言った。爽馬は、圭吾に比べてやらかしは少ないけど、逆に成果も少ない。期待と不安が半々だ。


「野乃さん……驚かないでくださいよぉ〜?実は、敵チームについて全員知っちゃったんですよねぇ〜。この紙でぇ〜」


 爽馬は、人の名前が書かれた紙を私たちが囲んでいる机に置いた。おそらく、“覇者コンカラー”のメンバーだろう。だって、勝野智哉がいるから。


「爽馬くん、やるじゃないですか!これはお手柄ですよ!僕はやるって信じていました。これで千円ゲットです。ね?……圭吾くん?」


「うっ……やっぱり無しにしよう。篤樹しか得しないじゃんか。そうだろ羅瞿」


「俺はどっちでもいいぞ!圭吾の五千円と俺の三千円がなくなるだけだからな!!そんな、高額かけたお前が悪い……はははは」


「ふざけやがって!まぁいいや、俺と羅瞿がかけたお金の残りは“反逆者”の貯蓄にしよう。それがいい……そうしよう」


 馬鹿3人はやっぱりいつも通りだ。爽馬は、失敗に2人……そして高額な賭け金を掛けられていることに絶望している。爽馬もちゃんと人間なんだなぁ


「えっと……リーダーは勝野智哉だよね?そして、副リーダーが近藤真彦って言うんだね……なんか強そう」


 私は話をリセットするために読み上げた。近藤は、私が倒さないといけない。倒したら副リーダーになれるのだから。そして、シオンの横を歩いても不自然じゃない!合法!!!


「幹部にめぼしい奴がいないな。少し気になるのは……この姫原香夜莉ひめはらこよりと言う人物だ。横にチェックマークが付いている。多分彼女だけしかついてない」


「怪しいですねぇ〜。僕が倒しましょうかぁ〜?」


「いや、俺たちがやるぜ!前回、ボロ負けした名誉を晴らさしてくれ!!なぁ篤樹」


「そうですね……この方は僕たちに任してください」


 大体の配役は決まった。あとは私か圭吾のどちらかが早く近藤を倒すかどうかだけ。負けるわけには行かない。


 その日は、圭吾の五千円と羅瞿の三千円でお菓子パーティーをした。ポッキーを咥えて、シオンのことをずっと待っていたが、もちろんしてくれるわけがなかった。ポッキーゲームしたかったのに……。


◇2032年3月12日 風花中学校校庭◇


 これが最後の勝負。負けてしまえば、ここで私たちの物語が終わる。でも、勝てば絶対的な未来が約束される。この日のために鍛えたんだから……。


「みんな、気合いを入れていこう!これが終わったらビュッフェでも連れてってやるか」


 シオンは優しい♡でも、負けフラグになりそうだから言わないで欲しかったなぁ。シオンがいれば負けることはなさそうだけど。


 吉満校長が出てきた。みんなの前に、姿を表すのは半年ぶりだっけ?どうでもいいや。長々と開始の宣言をしているが興味はない。


 校長が笛を鳴らして試合が始まった。一番最初に動いたのは圭吾だった。圭吾は近藤について知らないのでしらみ潰しに探すしかない。


 私も急いで近藤を探す。敵のチームの人数は、ざっと20人程度……1人ずつ倒しても間に合うはず。

 

 爽馬も私が走り出したぐらいに、銃を磨いて誰かを探している。私にはわからないので無視をすることにした。


「こんにちは。“覇者コンカラー”幹部の1人、自分の名前は黒田嶺清正くろだれいきよまさって言います。自分のこと探しているみたいだったので会いに来ました。悪かったですか?」


「よくわかりましたねぇ〜。そうです……僕はあなたを倒したい……なぁ」


 圭吾は、敵が多くいる道を駆け抜けて強そうな奴を探す。正面に1人、左に1人見つけた。正面の敵に直進する圭吾。……それは悪手だった。


「お前が副リーダーか!?……違っても倒してやるよ。お前強そうだから!」


「はぁ〜めんどくさいなぁ。俺はリーダーを倒して後、全滅させたかったのに……。まぁ売られたら返さないと」


 正面の男は圭吾に向かって軽くパンチを放つ。圭吾は胸を殴られると思い、両手でガードをしたが意味なかった。……威力が桁違いすぎるから。


 吹っ飛んだ圭吾は、頭を強く打ち、血を流しているがなんとか気を保っている。男は少し笑いながら圭吾に距離を詰める。まるで、戦闘狂のように。


「意外とやるな?まぁ“覇者コンカラー”のリーダーに仕掛けるならこれくらいじゃないと」


 圭吾は絶望した。自分が戦っている相手が、目標の副リーダーではなかったこと。最強と謳われている勝野智哉とエンカウントしてしまったことに。


 ボヤボヤした頭で、少し距離を空けたほうがいいと判断した。……すぐに無理だと悟った。だって、“反逆者”で一番早い深雪野乃より確実に早いからだ。


「おい待ってくれ!俺が倒したいのは近藤なんだよ!一回ここは見逃してくれ。……近藤を倒してから相手をするから」


 そう言いながら圭吾は、反撃の機会をうかがっていた。どんなに強いやつでも必ず隙は生まれる。典型的な例がシオン。……シオンはデザートに弱い。


「いや、お前には近藤真彦には勝てない。ましてや、この体で。残念だが、命乞いするならリタイアだ」


 勝野はゆっくりと歩きながら後ずさる圭吾に、距離を確実に詰めていく。圭吾はもう勝てないとわかっていた。でも、悪あがきしたい……それが圭吾の思いだった。


 圭吾はバレないように右手に力を込め、左足に重心を置く。そして勝野が近づいた時、それは放たれる。


重重重撃拳トライアンジャイアントブローっっ!!!!」


 今あるすべての力を放ち、人の骨をも砕く威力。圭吾はそう計算していた。……しかし、強者の前では意味がない。勝野は片手で軽く受け止める。


 もう圭吾は立つ力すら残っていない。そのまま圭吾は、倒れ……いや、倒れなかった!最後の力でなんとか踏ん張った。もう戦意喪失しているが。


 勝野は戦意喪失している相手には、敬意を払う。つまり、ワンパンで終わらせる。圭吾を吹き飛ばした時と同じ威力を顔面に当てた。もちろん、圭吾は気絶し、情けない姿になった。


 これはまだ、試合が開始されてから10分の出来事。こんな相手に誰が勝てるのだろうか?


 



 

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