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3-15(タツヤ).

 昨日1話から10話辺りを見直してくどいとか、説明的すぎると思われた部分を少しだけ削ったりしました。ただ、世界観とか設定の描写を少なくし過ぎると自分の書きたいものと違ったり本作らしくなくなるのではといろいろ迷います。

 今後もより良くなるように頑張りますのでよろしくお願いします。

「メイヴィス、この火龍ってそんなに強いんですか?」


 俺とメイヴィスは、アニメとかで見たことがあるやつにそっくりな赤いドラゴンに乗って空を飛んでいる。こいつは火龍というらしい。


「強いなんてもんじゃないわ。個としてはこの世界最強の一体といってもいいでしょうね」


 俺の前にはその火龍を操っているメイヴィスがいる。

 火龍はイデラ大樹海で死体を見つけてメイヴィスが俺と同じように蘇生させて眷属にした。俺がメイヴィスの眷属になったとき、ほかの眷属はいなかったので、こいつは俺に続くメイヴィスの2番目の眷属、俺の後輩ってわけだ。


「個としては最強・・・か。そんなものを眷属にできたなんて、相当運が良かったですね」

「そうね」


 俺とメイヴィスは、いろいろとごたごたがあったこともあって、結局魔王エリルに約9ヶ月遅れて、メイヴィスの一族が治めている領地からイデラ大樹海へ転移した。メイヴィスの領地にある魔法陣を使ってだ。現在この魔法陣の存在を知っているのはメイヴィスだけだそうだ。魔王エリルも他の四天王も知らない。ちなみに、メイヴィスの一族は代々の四天王を輩出している魔族の中でも最も歴史ある一族だ。


 魔王エリルは、予定の半年を過ぎ9ヶ月経ってもまだ魔王城に帰還していないかったが、メイヴィスは「まあ、龍神湖は広いからから注意していれば見つかることはないでしょう」と言って、あまり気にしてなかった。

 メイヴィスの一族がイデラ大樹海に持っている拠点は、魔王エリルの拠点と同じく龍神湖畔にあったが、かなり離れていた。それに龍神湖は広くイデラ大樹海は広大だ。


 俺とメイヴィスが、俺の訓練のため魔物と戦闘していると、なんと火龍の死体を発見した。メイヴィスが蘇生魔法を試すと成功し火龍は俺の後輩になった。火龍は単体ならこの世界で最も強い生き物の一体だ。 

 火龍がメイヴィスの眷属になったおかげで、俺とメイヴィスはイデラ大樹海を越えて大陸の南側にある人族国家に行くことができるようになった。火龍は大きすぎて転移魔法陣でゴアギールに送ることはできそうにないので、俺とメイヴィスはこのまま火龍に乗ってゴアギールまで帰るつもりだ。


「火龍はね、地龍や氷龍と並んで最上位の魔物の一体よ。死体を見つけて眷属にできたのは運が良かったわ」

「やっぱり、倒したのは魔王様ってことですかね」

「あの場所で見つけたんだから・・・そうなんでしょうね」

「なにか、気になることが?」

「タツヤの言う通り、倒したのはおそらくあの小娘でしょう。火龍を倒すことができる存在なんてそうはいない。そもそもあそこはイデラ大樹海の最深部なんだから。死体を見つけたときの鱗の状態から見て闇魔法でやられたんでしょうね。ただ・・・」


 魔王エリルは、修行のため魔王城からイデラ大樹海に転移していた。修行の一環で火龍を討伐したのだろう。それでもメイヴィスは何か気になっている様子だ。


「やっぱり魔王って最上位の魔物より強いんですね」

「そこよ、私が気になっているのは。私はね、あの小娘が火龍を倒したことに驚いているのよ。あの小娘はまだ魔王に選ばれてから3年も経ってないの。魔王としては成長途上なのよ。だからこそイデラ大樹海まで来て修行してた。イデラ大樹海は代々の魔王が修行した場所よ。それが火龍を一人で倒せるほどすでに成長しているとは正直予想外よ。サリアナもゴアギールに居たし、闇魔法が使われていたんだから、魔王が・・・あの小娘が一人で倒しことは間違いない」


 闇魔法・・・混沌の神バラスの加護受けた魔王だけが使える魔法だ。魔王とは創生の神イリスの加護を受けた勇者と対極にあるものだ。


「メイヴィスは魔王様が強くなることが不安なのですか?」

「そうね、人族と和解なんかされたら大変だからね。でも、あの小娘がいくら強くなろうと、あなたがもっと成長すれば・・・そう、何も心配することはないわ」

「火龍もいますしね」

「そうね。それもあるわね。でも私が頼りにしているのはあなたよ、タツヤ」


 まあ、美人のメイヴィスが俺を頼りしてくれるのは男心をくすぐられる。俺もイデラ大樹海での修行で少しは強くなったと思う。だが、まだ、個として最強だという火龍以上とは思えない。だいたい、まだメイヴィスより弱い。

 

 それにしてもイデラ大樹海はとんでもない場所だ。魔王が修行の地に選ぶのも納得である。龍神湖畔が安全地帯でなければ、俺たちとて簡単には生き残れないような場所だ。メイヴィスは恐ろしく強いし、再生の魔女という二つ名の通り、その再生能力はイデラ大樹海のような危険な場所ではこれ以上ないくらいに役に立つ。だが、それでも俺とメイヴィスの二人では危ない場面もあった。伝説級の魔物はマジで脅威だ。


「ところでメイヴィス、俺たちって、どこに向かっているんです?」

「特に目的があるわけではないけど、せっかくだからこの辺の人族の国を偵察して帰りましょう。ちょっと脅してやるのもいいわね」

「魔王エリルは、さすがにもう魔王城に帰還してるでしょうね」

「そうね。だからあの小娘も私たちの邪魔はできないわ。とにかく適当に人族の国に嫌がらせでもしながらゴアギールに向かいましょう」 

「分かりました」

「そうだ、タツヤは人族に復讐したいのでしょう。それなら人族を殺すのにも慣れておく必要があるわね。でもルヴェリウス王国の人族はともかく無差別に人族を殺す覚悟はあるのかしら」

「ふん、心配いりません。確かに俺が元居た世界では人殺しは重罪です。でも、俺はこの世界の人族とやらを俺と同じ種類の人間とは思っていません。この世界の人族とやらは元居た世界の人間とは違う存在ですよ。俺にとってはね、メイヴィス、この世界の人族よりあなたのほうがよっぽど近しい存在です。メイヴィスが魔族であってもね」

「フフッ、それを聞いて安心したわ。あなたはとても可愛いわタツヤ。あなたの復讐は必ず達成させてあげます」


 メイヴィスは振り返ると俺を見て目を細めた。

 今俺が言ったことは本心だ。もし俺に特別な力があるなら、この世界の人族より俺を蘇生し復讐の機会を与えてくれたメイヴィスのためにそれを使う。


 俺に迷いは無い。


「あいつも、そうあいつも同じことを言っていたわね・・・」

「メイヴィス何か言いましたか?」

「いえ、なんでもないわ」


 メイヴィスは黙って何かを考えている。


「タツヤ、人を殺すと言ってもいきなり街で暴れるのは時期尚早ですから、街道の近辺で人族に嫌がらせでもしておきましょう」


 ここはゴアギールから遠く離れた場所でメイヴィスと俺しかいない。魔族と人族の戦争において現状はどうでもよい場所だ。だからとりあえず適当に嫌がらせでもしながらゴアギールの帰ろうというわけだ。


 その後メイヴィスは何か思いついたみたいで、イデラ大樹海の中層や浅層で火龍を暴れさせた。俺が「何してるんだ?」と聞くと「この辺りは人族の街にもかなり近い。火龍のような最上位の魔物が暴れれば、他の魔物が人族が住んでいるあたりに押し寄せたりしてちょっとした嫌がらせになるのよ」と答えてくれた。


 さらに街道沿いで人族を襲ったりした。俺は人族を殺しても予想通りなんの罪の意識も感じなかった。俺自身の言葉通り、この世界の人族を俺と同じ人間とは認識していないのか・・・それとも、あのときから俺は狂っているのか、それは俺自身には判断できない。


 メイヴィスは俺と同じで人族には相当の恨みがあり魔王エリルが主張している人族との融和政策には反対だ。だが最終的にどうしたいのか、まだ俺にすべてを話してはくれない。闇魔法を使えるものが魔王ならメイヴィスがとって代わるわけにもいかない。とにかく今は力を溜めようとしている。

 イデラ大樹海で俺を鍛え、おまけに火龍を眷属にした。四天王の中でもメイヴィスの力は確実に上がっている。だが、火龍を討伐したらしい魔王エリルはもちろん、あの得体のしれない四天王筆頭ジーヴァス、伝説級の魔物を2体も使役している妖艶な女魔族サリアナ、筋肉の塊のような巨人デイダロス・・・彼らは誰一人として油断していい相手ではない。


 俺の復讐を叶えるというメイヴィスの言葉を俺は信用している。今の俺にできることは、メイヴィスに従って修行なり訓練をしてもっともっと強くなることだ。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。

 もし少しでも面白い、今後の展開が気になると思っていただけたら、ブックマークへの追加と下記の「☆☆☆☆☆」から評価してもらえるとうれしいです。

 また、忌憚のないご意見、感想などをお待ちしています、読者の反応が一番の励みです。

 よろしくお願いします。

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