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6-1(プロローグ).

 「第6章(迷宮編)」の始まりです。迷宮やダンジョンの攻略は異世界ものにはよくあるイベントですが、本作ならではのものになるよう頑張ります。

 実は、前話がちょうど200話でしたので、これが201話となります。まさか200話を毎日投稿できるとは自分でも思っていませんでしたのでびっくりしています。これも読者のおかげです。感謝しています。

「エラス大迷宮に?」


 エラス大迷宮に寄ってみたいという僕の言葉にユイが訊き返した。


「うん。ダメかな?」


  僕は帝都ガディスを出る前にユウトと話をしたときから、エラス大迷宮に寄ってみたいと考えていた。迷っていたけど、思い切ってユイとクレアに提案してみた。


「ダメじゃないけど、何か理由があるの?」

「この世界の秘密を解くヒントがあるんじゃないかと思って。僕たちが日本から召喚されて、勇者と魔王がいて、人族と魔族が千年単位で争っているこの世界。その成り立ちに失われた文明が関与しているんじゃないかと思うんだ」


 そう、なんでもありの失われた文明がこの世界の鍵を握っていると僕は考えている。


「そっか、ユウトともそんな話をしてたよね。ハルの意見では迷宮は失われた文明によって人工的に造られた施設だもんね」

「うん。その目的はなんなのかな」

「ハル様、すでに攻略された迷宮もあります。攻略された迷宮の最深部には凄い宝物があるのが普通です。例えば万能薬であるエリクサーとか、あとは今では国宝とされているような武器とかです」

「うん。僕もそんな話を聞いたことがある」


 迷宮は攻略したものに報酬を用意している。それによって人を引き付けている。迷宮の魔物を倒すと魔石になる。その他にもお宝を得られることがある。


「考えてみると、迷宮って人を、もしかして魔族もなのかな、を引き寄せる仕掛けがしてあるって感じだよね」とユイが僕が思っていた通りのことを指摘した。

「うん。迷宮の試練を乗り越えたものには報酬が与えられる。それでだよ。エラス大迷宮って凄く大きいんだよ。それこそ他の迷宮とは一桁も二桁も規模が違うんだ」


 そんな迷宮を攻略したものに用意されている報酬ってなんなんだろう? 何かこの世界の秘密を解く鍵がありそうな気がする。


「ハル様は、迷宮が失われた文明の遺物の一つだと考えると、ガルディア帝国のガラティア闘技場やブリガンド帝国のアルデハイル監獄を凌ぐ世界最大の遺物だと、そう言ってましたね」

「うん」


 ユウトたちとそんな話をした。あのときからエラス大迷宮に寄ってみようかという考えが頭に浮かんでいた。 


「そうそう、そんなこと言ってたよね。ハルは失われた文明の遺物どころから遺跡としてもこの世界で一番大きいのがエラス大迷宮で、それだったらエラス大迷宮の最深部にはそれに見合う何かがあるって、そう言いたいんだよね」

「うん。それは決して僕だけが思っていることじゃない。この世界の人たちだってそう思っている。えっと、武闘祭で戦ったドロテア共和国の剣聖のケネス・ウインライトさん、あの人のお兄さんのイネス・ウィンライトって人はジークフリートさんと同じSS級の冒険者でエラス大迷宮の攻略に憑りつかれてるって聞いたよ」


 そう、当然この世界の人だってあれだけ巨大な迷宮だから、その最深部には凄いお宝が眠っていると思っている。誰だってそう思うだろう。


 だけど・・・。


「僕は、お宝っていっても宝石とか武器じゃなくて、この世界と僕たちを繋ぐ何か、この世界の成り立ちに関する何かヒントになるようなものが隠されているんじゃないかって、そんな気がするんだ」

「それってさー、なぜ、この世界は私たち異世界人が転移するのにこうも都合よくできているのか? アニメやラノベになんでこんなに似ているのか? だよね」

「うん」

「ハル様、ユイ様、アニメとかラノベとはなんなのですか?」

「クレア、架空の物語みたいなものよ。そこでは勇者とかが活躍するの。それに迷宮みたいなのを攻略したりもするんだよ」


 クレアはちょっと考えると「本になっている英雄譚のようなものですか?」と聞いた。


「そうなんだクレア。そんなよくある物語の世界と似ているんだよ。この世界は」


 そう、なぜ僕たちはこんなにも()()()()()()()()()()に巻き込まれたのか・・・。


「確かにそれは不思議なことですね」

「うん、凄く不思議なんだ。僕はこの世界に来た時から不思議で仕方がないんだよ。元の世界には魔力も魔法もないのに」

「魔力も魔法もない・・・。それは不便そうですね」


 僕の言葉を聞いたクレアは「私も物語の登場人物なんでしょうか」とまた考え込んでしまった。しばらくすると急に顔を輝かせると「もしこの世界が英雄譚の舞台ならハル様とユイ様こそ英雄に違いありません。それならこの世界が物語のようなものだとしても納得です」と言って大きく頷いた。


 クレア・・・。


「と、とにかくそういうわけでエラス大迷宮に行ってみたいんだ」

「そうね。私はいいと思うわ。コウキは武闘祭に優勝して勇者としての名声を上げた。だけど王になるのはまだかなり先だと思う。私たちがルヴェリウス王国の外からコウキに協力するとしてもそれは今じゃない。人族と魔族の融和についても時間をかけてやっていくしかないわ」


 ユイの言う通りだ。グノイス王はかなりの恐怖政治を敷いているらしく敵も多いと聞いた。だけどそれだけでコウキが王になれるわけではない。なにより民衆からの支持を得る必要がある。王宮の中でグノイス王が恐怖政治を行っているとしても民衆には関係ない。ある意味もっとグノイス王が失点を重ねる必要がある。そしてコウキが民衆から望まれて王になる。これがベストだ。


「うん。コウキが王になるチャンスを慎重に待つ必要がある。焦りは禁物だ。そしてコウキがルヴェリウス王国の王になれば、エリルの目的も大きく前進する。なんと言っても直接魔族と戦っているのはルヴェリウス王国で、そこの王様が僕たちの仲間になるんだから」

「そうだよね」

「コウキがルヴェリウス王国の王になったときが人族と魔族の融和の最大のチャンスになる。だからこそ慎重に進める必要がある。頭のいいコウキはそこをよく分かっているはずだ」


 そう、コウキのことだ。慎重に事を進めるはずだ。そして機が熟したら何らかの方法で僕たちに知らせてくるだろう。それはおそらく冒険者ギルドを通じての可能性が高い。なんといっても僕たちはS級冒険者だ。

 そしてそれまでの間、やっておくことの一つは四天王サリアナに仄めかされたドロテア共和国のジリギル公国に行ってみることだ。だけどまだ時間はいくらでもありそうなので方向的にはさほど遠回りでもないエラス大迷宮に寄ってみようと思いついた。


「ハル様、ユイ様、その大きな目標のためにはSS級の冒険者になっておくのがいいかもしれません。SS級になるにはパーティーでもなんでもいいので火龍のような神話級の魔物を討伐するか・・・」

「クレアの言いたいことは分かったわ。あとは、例えばこの世界最大の迷宮を攻略するとか・・・だよね」

「はい。ユイ様、それができれば、間違いなくSS級になれるでしょう」


 確かにクレアの言う通りでSS級になればいろいろ便利になる。ジークフリートさんを見れば分かる。SS級の冒険者の権威は侮れない。ただ、SS級冒険者は目立ち過ぎる。本当になるかどうかはよく考えたほうがいいだろう。

 まあ、これまで誰も攻略できていないエラス大迷宮を簡単に攻略できるとは僕も思っていない。それでも異世界人である僕から見て何かヒントになるようなものが得られるのではと期待している。


 こうして僕たち3人はドロテア共和国へ行く前に、エニマ王国に寄ってこの世界最大の迷宮であるエラス大迷宮に挑むことになった。


 まあ、ユイやクレア、それにユウトたちにもあれこれ理屈をつけてエラス大迷宮に興味があるって話した。だけど、理由はそれだけじゃない。やっぱり、冒険者になったからには迷宮に挑んでみたい。もちろん、エラス大迷宮にこの世界の秘密を解く鍵があるんじゃないかと思っているのは嘘ではない。


 ユイとクレアと一緒にエラス大迷宮を攻略する。やっぱり夢がある。


 ヤスヒコとアカネちゃんが一緒だったらもっとよかった。二人のことを思えば本当はこんなことしている場合じゃないのかもしれない。だけど、もし、ここにアカネちゃんがいたら絶対にエラス大迷宮に挑戦してみようって、一番にそう言ってくれると思うんだ。

 ちょっと前に初めてジャンル別の日間ランキングに入ったのですが、結局ランキングに入っていたのは三日間でした。その間、注目度ランキングにも載っていたようで読者が増えPVも伸びました。しかし結局、ランキングに載り続けることは叶わず、今は平常運転です。最初は一度でもランキングに入ればと思っていたのですが、やはり欲が出るもので、ちょっと残念です。

 また、ランキングに載れるよう「迷宮編」が面白いものになるよう頑張りますので、少しでも今後の展開が気になると思っていただけたら、ブックマークへの追加と下記の「☆☆☆☆☆」から評価してもらえるとうれしいです。

 また、忌憚のないご意見、感想などをお待ちしています、読者の反応が一番の励みです。

 よろしくお願いします。

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