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ありふれたクラス転移  作者: たまふひ
第1章(クラス転移)
1/207

1-1(プロローグ1).

 初めて書いている小説ですが一生懸命書きます。


(追記)

 これまで短編が人気になったり。レビューをいただいたりで、本作のPVが一時的に増えることはあるのですが、それがブックマークや評価になかなかつながらず、結局PVも元に戻るという繰り返しになっています。原因はもちろん作者の力量不足なのですが、特に本作の最初の方の話で、少し説明的すぎたりして、せっかく第1話を読んでくれた読者を掴み切れていないのではと思い、1話から10話辺りを見直してくどいとか、説明的すぎると思われた部分を少しだけ削ったりしました。ただ、世界観とか設定の描写を少なくし過ぎると自分の書きたいものと違ったり本作らしくなくなるのではといろいろ迷います。

 今後も本作がより良くなるように頑張りますので、是非最新話まで物語を追ってみて下さい。

 借りてた本を図書室に返して戻ってくると、教室にはまだ何人かのクラスメイトが残っていた。


「ハル、今日は部活お休みなんでしょ? 久しぶりに一緒に帰ろーよ」


 そう言って、小走りで駆け寄ってくるのは、僕の幼馴染の香坂唯、ユイちゃんだ。

  僕は、小島ハル。とりたてて特徴のない普通の高校2年生だ。


「ユイちゃん、今日委員会とか無いの?」

「うん。今日はお休み。」

「そっかー、じゃあ、久しぶりに、一緒に帰るかー」

「うんうん。どっか寄り道しちゃう?」


 甘えたようにすり寄ってくるユイちゃんは、めっちゃ可愛い。


 ユイちゃんは、僕たちのクラスの副委員長で最近は文化祭の実行委員会で忙しい。実行委員会にはクラス委員長の御神光輝くんと一緒に参加している。

 僕とユイちゃんは幼馴染で家も近いので、前は良く一緒に帰っていた。でも、最近は文化祭が近くてユイちゃんが忙しいのと、文芸部の幽霊部員である僕も、さすがに文化祭の準備くらいはしなくちゃってことで、文化祭に出品する「善人の星」って短編を仕上げたりしていた。そんなこんなで、最近はあまり一緒には帰っていない。


 それに、ユイちゃんと一緒に帰ろうとすると、御神くんがあれこれなんか邪魔しようとしてくるんだ。曰く「幼馴染だからって香坂さん、そんなやつに無理に気をつかわなくてもいいんだよ」とか「小島くん、あんまり香坂さんに迷惑かけないようにね」とかそんな感じだ。

 御神くんは、勉強もできるしサッカー部のキャプテンで、その上、悔しいけどすごいイケメンだ。絵に描いたようなモテ男で、取り巻きの女の子も多い。委員会とかで一緒になることが多いユイちゃんも周りからは、その一人と思われている節もある。実際、二人が並ぶと絵に描いたような美男美女のカップルに見えるので、そう思われるのも仕方がないところもある。


 御神くんとしても、ユイちゃんみたいな明るくて可愛い女の子は、自分にこそふさわしくて、僕みたいな平凡で目立たない文芸部の幽霊部員を相手にすべきではないって思ってるのかもしれない。

 いや、これは僕の僻みだ。僕は御神くんのことをそれほどよく知っているわけじゃない。反対に、幼馴染だけあってユイちゃんの考えていることなら、ちょっとした表情とかでなんとなく分かる。少なくともユイちゃんのほうはそれほど御神くんのことを特別には思っていないと思う。

 正直に言えば、その理由が僕の存在にあるんじゃないかとか、図々しいことを思ったり、うーん、ちょっと分からないような、そんな感じだ。


 そんなことを考えながら、隣のユイちゃんを見ると、何?って感じで僕の方を見てニコっと微笑んだ。


 うーん、やっぱり可愛い。 


「相変わらずお前ら仲いいなー」

「もう、私たちみたいに、公認のカップルになっちゃえばいいのにー」


 話しかけてきたのは、同じ中学の出身で親友というか僕の唯一の友達といってもいいヤスヒコ、村尾康彦とヤスヒコと同じ陸上部の牧野茜、アカネちゃんだ。二人が付き合っているのは、みんな知っていて、いわゆる公認のカップルってやつだ。

 陸上部だけあって二人ともしなやかで、すらっとした体形している。見るからにお似合いのカップルだ。アカネちゃんみたいなさわやか美人を彼女にして、あんまり僻まれないのは、ヤスヒコの人柄だろう。


 前は、僕、ユイちゃん、ヤスヒコ、アカネちゃんの4人でよく遊びに行ったりもしたけど、最近はあまりそういうこともない。僕以外はみんな部活や委員会で忙しいし、僕のあまり目立つ事をしたがらない性格のせいもある。ユイちゃんを連れて遊びに行けば、どこに行っても目立つことは間違いないからね。


 そうそう、ヤスヒコの彼女であるアカネちゃんは、実は御神くんの幼馴染でもある。アカネちゃんはヤスヒコの彼女ってこともあって、最近では御神くんからは距離を置いている。でも、僕の見るところでは、アカネちゃんは、取り巻きの女の子に囲まれてちょっと自信過剰気味な幼馴染の御神くんのことを心配しているように見える。 


「えー、公認だって、どうするハル、みんなの前で宣言してくれるの? ユイは僕のものだ! とか」


 ユイちゃん、なんかうれしそうだ。

 でもなんて答えるのが正解なんだろう?


「えっと、その・・・揶揄ってるんだよね?」

「フフッ・・・」


 我ながら情けない。ヤスヒコとアカネちゃんの表情が、何やってんだこいつ、って言ってる。  


 そういえば、御神くんもまだ教室にいる。これから部活動なのだろう。御神くん以外にも部活組と思われる生徒がまだ何人か教室に残っている。

 御神くんは、同じサッカー部で隣のクラスの友人・・・確かタツヤって呼ばれてた背の高い生徒だ・・・と何か話している。背が高いからゴールキーパーかな? それを、4人の女の子が取り囲んでいる。みんな美人だ。

 中でも一番目立つのは、三条万都里だ。美人だけど、冷たい感じで、僕はちょっと怖い。長くてきれいな黒髪で、前髪は真っすぐ切りそろえている。どっかいいとこのお嬢様だったはずだ。いかにもって感じだ。御神くんの彼女の座をユイちゃんと争っていると思ってる人もいるようだ。そのためか、三条さんがユイちゃんに向ける視線はいつも冷たい。さっきもチラリと横目でユイちゃんのことを見ていた。

 でも三条さん、心配することはないよ。ユイちゃんが僕を好きかどうかはともかく、御神くんを好きってことはない。たぶんないと思う。うん、ないはず・・・そう思いたい。


 御神くんも友人たちとの話に夢中で今日は絡んでこないし、とりあえずなんか言われる前にユイちゃんと帰るか。


 ・・・ん? 


 教室の中がやけに薄暗い。

 パラパラと雨が窓を叩く音がしてきた。


「こりゃあ、今日の練習は中止かな」

「そうだな」


 急いで窓際まで行って、空を見上げると、黒い雲が、瞬く間に空を覆いつくしていく。

 雨が窓を叩く音もどんどん大きくなってきた。


 そのとき、一瞬あたりが真っ白になったと思ったら、どーんと腹の底に響く大きな音がした。


「きゃー」

「えー、今日、雷雨になるとか天気予報で言ってたっけ?」

「ううん、言ってなかった気が・・・」

「なんかすごい急だな」

「なんか不気味ー」


 女の子たちの中には、ほんとに怖がっている子もいるみたいだ。


「もうちょっと早く帰っとくんだったねー」


 ユイちゃんがちょっと失敗したなーみたいな顔をしている。でもそんなに怖がってはいないみたいだ。


 こんなときでも可愛い。


「天気予報でも何にも言ってなかったし、すぐ止むんじゃないかな」

「だといいねー。 今日は、久しぶりにハルと一緒に寄り道して帰ろうと楽しみにしてたのになー」


 しかし、僕の言葉とは反対に空はますます暗くなってきた。 

 いや誰か電気つけろよ。ほんとに何にも見えないじゃないか。

 また白く光って、凄い音がする。


「これ、なに。どうなってんの?」

「怖いよー」


 あちこちから悲鳴にも似た声が聞こえる。


 ユイちゃんが僕の手にしがみついてくる。さすがに怖くなってきたみたいだ。


「これ、おかしいよね?」

「うん」


 ユイちゃんの顔すら見えない。

 ほんとに真っ暗じゃないか。

 絶対おかしい。


 突然あたりが、光に包まれた。また雷か? いや違う。

 なんだこれは? この光は一体何なんだ!?

 さっきまで真っ暗だったせいか、今度は眩しくて何も見えない。


 頭がくらくらする。


 ああー だんだん意識が遠くなってくる・・・。


 ・・・・・・・・・・。




 ★★★





 気がつくと、どう見てもそこは教室の中ではなかった。床はひんやりして石でできているみたいだ。起き上がって周りを見渡すと、僕以外にも何人かのクラスメイトが倒れている。

 僕たちが倒れている床には何にか模様が描かれている。これって、あれか、よくアニメとかで見る魔法陣ってやつなのかな。


 だとすると、これって・・・。


「うーん、・・・ハルここどこ?」


 僕が起き上がったせいで僕の腕にしがみついて倒れていたユイちゃんも目を覚ましたみたいだ。周りを見て、見慣れない風景に戸惑っている。他のクラスメイトたちも次々目を覚ましている。


 ここにいるのは、8人? いや9人か。

 教室には、もっとたくさん生徒がいたような気もしたけど・・・。


 僕とユイちゃん、ヤスヒコとアカネちゃん、御神くんに三条さんに、浅黄加奈と如月沙耶か。浅黄さんと如月さんは親友で、御神くんと一緒にいるとこを良く見かける。御神くんの取り巻きと思われている女の子たちだ。どちらか一方が御神くんを好きでもう一人は親友に付き合っているのかもしれない。僕は二人のことはよく知らないので、その辺は分からない。それに、あれは・・・僕以上に目立たない・・・えっと、確か中島くんだ。

 

「ここって、どこ?」

「何が起こったの?」

「え!? なんなの!?」

「いったい何が・・・」

「・・・」


 みんな、何が起こったのかと戸惑っている。それはそうだろう。

 僕はユイちゃんと顔を見合わせた。


「ユイちゃん。・・・この床の模様を見て」

「これって・・・」

「うん、魔法陣じゃないのかな?」

「魔法陣? アニメとかでよく見る?」

「そう、その魔法陣」

「まさか、私たち・・・」

「うん。僕たち、異世界に召喚されたんじゃないのかな」


 そのとき「勇者諸君。ようこそルヴェリウス王国へ!」と威厳に満ちた偉そうな声が広間に響いた。


 声のした方を見ると、いつの間に入ってきたのか、今喋った椅子に座った白いあご髭のおっさん、その隣に立っている水色の髪を肩まで伸ばしているきれいな人、そして二人を囲むようにやはり立っている数人の人たちが見えた。

 白いあご髭のおっさんは王様、隣の女の人は王女様だろうか。王女様らしき女の人が着ているドレスは白を基調としたもので、なんか天使みたいだ。年は僕たちとそんなに変わらない感じだけど、品がある。二人ともアニメなんかでよく見るなんちゃって中世の王族らしい恰好だ。


 この部屋はそこまで広くなく、魔法陣がその三分の一くらいを占めている。おそらく王様の謁見の間とかではなく、召喚専用の部屋なんじゃないだろうか。


「我は、ルヴェリウス王国の国王グノイス・ルヴェリウスである」


 予想通りすぎる!


 まるでアニメかラノベの世界だ。だいたいなんで言葉が通じるのだろうか? この国王だという男が喋っているのは明らかに日本語ではない。なのに、僕には、おそらく他のみんなにもまるで日本語と同じように聞き取れている。


「ここは、勇者諸君が元いた場所とは違う世界である。ルヴェリス王国の秘術である異世界召喚魔法によって、諸君等はこの世界に召喚されたのだ」


 勇者・・・やっぱりそうなるのか? いや、その前に勝手に召喚するなよ!

 僕たちはまだ未成年だ。両親にも許可取らないとダメだろ。普通・・・。


「今我が国は、魔王軍に攻撃されている。200年ぶりに魔王が現れたのだ。魔物の動きも活発化している。魔王や配下の魔族たちは魔物を操るのだ。どうか我が国の民を魔族や魔物から守ってくれ。そして、魔王を倒すのに力を貸してほしい」


 やっぱり魔王を倒すのかー。

 王道っていうか、捻りのない展開だ。

 剣と魔法の世界よコンニチハって感じなのだろうか。


「魔王! なんなのそれ?」

「このおじさん、なに言ってるの? 意味分かんないよ」

「いや、これって転生した俺は◯◯で◯◯したと同じ展開じゃ・・・」

「さっさと家に帰してよー」


 みんな混乱している。

 泣いてる子もいる。

 それはそうだ。 

 でも、僕は意外と冷静だ。


「待って下さい。国王陛下。突然そんなことを言われても、すぐには判断できません。そもそも、断った場合、元の世界に、日本に帰れるのでしょうか?」


 みんなを代表して、そう御神くんが質問した。僕には御神くんが日本語を喋っているように聞こえるけど、見たところ国王は御神くんの言葉が分かっているようだ。この国の言葉と日本語の間に何かお互いに自動翻訳されるような力が働いているかのようだ。いずれにしても言葉に困らないのはありがたい。


 それにしても、もう国王陛下とか呼んで、御神くんは思った以上に適応力がある。それに落ち着いている。ここは素直に感心しとこう。それとも、案外僕と同じでアニメとかラノベとかが好きなのかな。


「申し訳ないが、今のところ元の世界に帰る帰還魔法は発見されていない。魔王軍と戦っても、戦わなくても勇者諸君はこの世界で暮らしていくしかない」


 日本に帰る方法がないと聞いて「なんだって」、「そ、そんな・・・帰れないの・・・?」、「勝手なこと言うなよ」など悲鳴のような声が次々にあがる。泣いている声も聞こえる。そんな中、御神くんが落ち着いた口調で質問を続けた。


「帰れないのですか・・・。だとしても高校生である僕たちが魔王を討伐できるものなのでしょうか?」

「うむ、高校生が何かは知らぬが、そう思うのは無理もない。だが心配することはない。異世界召喚魔法で召喚した異世界人は高い身体能力や優れた魔法適正を持っているのだ」


 身体能力? 魔法? やっぱりここは剣と魔法の世界なのか。周りを見るとみんなも魔法と聞いて少し興味を惹かれたようだ。


「なるほど。ということは、この世界のことを何も知らない私たちとしては、その優れた能力を使って魔王討伐に協力にするのが最も賢い選択ということですか?」 

「うむ。さすが勇者、理解が早くて助かる」


 そういえばこの王様、最初から僕たちのことを勇者と呼んでいたな。魔王に勇者か・・・ほんとにファンタジーの世界に転移したのか・・・。


「いきなり、異世界で、なんの後ろ盾もなく生活するのも無理でしょうし、まあ、民を守って平和を取り戻すっていうのもやりがいはありそうですしね」

「うむ」


 王様は満足そうに頷いている。

 いや御神くん、理解ありすぎだよ! さっきすぐには判断できないとか言ってたよね?

 だいたい、王様の話が本当かどうかも分からないよ。


「だが、我とて、例え魔王討伐に協力しなくとも、いきなり放り出したりはせぬ。こちらが勝手に召喚したのだからな。そのくらいは理解しておる。ただ、魔王討伐に協力してくれればそれに見合う褒美と名誉が手に入り、この世界での生活もより良いものとなろう」


 理解しているとか言いながら、なんか偉そうだ。

 このまま御神くんに任せておくと、大した説明も無く魔王を討伐に行くことになりそうだ。

 ここは少し情報収集してみるか。


「僕たちは、いきなりこの世界に召喚されて、右も左も分からない状況です。もう少し、この世界こととか、召喚魔法のこととか、説明してもらえませんか?」

「もちろんだ。もう少し詳しくいろいろ説明しようと思っていたところだ。クラネス、後は任せる」

「はい、お父様」


 お父様!

 やっぱり、王様の隣の天使みたいな美女は、王女様だったみたいだ。


 その後、僕たちはこの国の第三王女クラネス・ルヴェリウスと名乗る水色髪美女に案内されて、召喚された広間を出て会議室のような部屋へと移動した。最初にいた場所はやはり召喚専用の部屋だったらしく建物の地下にあったみたいだ。 

 第1章は毎日投稿する予定です。

 最初は説明も多めですけど、どんどん面白くなりますので(作者自身が宣伝してちょっとはずかしい)、ブックマークをお願いします。


(追記)

 文芸部のハルが文化祭のために書いた短編という設定の「善人の星」投稿しました。

 SFなのですがいかにもハルが書きそうな文芸ものっぽく仕上げたつもりです。

 とっても短い話なので良かったら読んでみて下さいね。


 本作とは別に投稿している『心優しき令嬢の復讐』シリーズの短編(ジャンルは異世界恋愛ものにちょっぴりミステリーテイストを加えたもの)もよかったら読んでみてくださいね。作者としては、図々しくも悪くない出来だと思っていて、どれもちょっとしたオチのある作品になっています。最後にあっと言いたい方に特にお勧めです。

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