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始まりと計画

 いつも、苦痛だった。毎日ずっと、勉強、勉強。「あなたはこの国の女王になる素質がある。そして、海の向こうの世界を支配するの。」今まで大人たちは私にそう語りかけてきたし、私もその言葉を信じて疑わなかった。

 だけど、その生活が15年続いた今も、それは変わらなかった。それどころか、私の家庭教師たちは、話すばかりで「海の向こうの世界」とやらを一度でも見たことがある人はいないらしい。私は誰のために何をしているのだろう。世界ってなんだろう。そう疑問に思った私は、王国内で唯一、国外に関する情報を得ることができる王国図書館へ足を運ぶようになった。

 そうはいっても、私は新しい書物は信用できないということに気が付いた。その書物は、大人たちの教えがぎっしりと詰まった想像の物語であるかもしれないからだ。だから私は、国の歴史について書かれた本を、古い順から読むことにした。普通の人なら何日も時間を使う書物でも、今まで数々の苦労を成し遂げてきた私ならハイスピードで読み終えることができる。だから私は、この図書館にあったそれらしいものは数週間で全て読み終えた。

 そして、それらの書物にあったことを踏まえて、私が出した結論はこうだ。『遠い昔、私たちは他の国の住民であり、彼らと対等に、分け隔てなく接していた。あるとき、その国の一部の人間、つまり私たちの黒かった髪の毛先が多種多様な色に染まり始めた。それを気味悪く思った黒髪の人間は、少しでも自分たちと髪色が違う人々を国外に追いやった。』おそらくこれで間違いないだろう。色々な書物と照らし合わせても矛盾はない。今だって、私たちの髪の毛先の色は多種多様だし、私の家系、つまり王家の髪色は代々青色だ。

 だがひとつ、気にくわない点がある。私たちの先祖は国外追放されてここへたどり着いたのだ。そして、大人たちはいまだにそれを憎んでいる。これはおかしいのではないか。だって、先祖が追放されたのは、約170年も前。当時生きていた人々はもうこの世にはいないのだ。  

 だから、私はこの矛盾だらけの国から脱出する。このままではずっと、ずっと、誰かに洗脳された生活を送ることになってしまう。難しい試験を受けて、厳しい運動もして、完璧な王女になって海の向こうを支配するだなんてばかげたことはしない。亡くなったおじいさまも、王になったことを悔やんでいた。「君は王にはなってはいけない」そう言っていたのはおじいさまだけだったな。あのとき子供だった私は、まるで自分を否定されたかのようで悲しくて、そこから女王を目指した。今更だけれど、おじいさまに謝りたいと思う。

 国からの脱出を決めたはいいものの、いつ、どこでどうやって脱出すればいいのかがわからないから、側近のメイドに話を聞いてみた。

「私たちの国と外国には、少しでも繋がりはあるの?」

そうするとメイドは

「ないでしょう、おそらく。私には分かりません」

そう答えた。

頼りない回答だ。答えになっていない。その後、数人に話を聞いてみたが、同じような返事が返ってきたため、最終手段として、この国の現女王であるお母様にお話を聞くことにした。そうすると、

「ひと月に一度だけ、満月の夜にやってくる定期便。それだけが私たちと、他の国との繋がりです。」

とお母様は言った。これに乗れば、他の国へたどり着ける。そう思った私は

「それは次の満月にもくるのですか!?それを見に行っても良いですか!?」

と聞いた。すると、お母様は

「いいですよ。ただし、皆の邪魔にならぬよう、一人で行くこと。いいですね。」

答えた。都合のいいことに、一人で行ってよいと言われたのだ。いつも、私は図書館以外には護衛をつけられる。満月の夜、すなわちあと3日後の夜は、初めてのひとりでのおでかけができるのである。わくわくしてきた私は、お母様に軽くお礼を言い、その場を去った。

 そして、私は次の満月の夜までに図書館で資料探しをし、旅立ちの準備をすることを決めた。もうすでに満月が楽しみだ。

初投稿となります、、、!物語を書くのは初めてのことでしたので、お手柔らかにお願いします!

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