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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

どっちが勝つかチート自覚の無いモブ少年VS勘違いヒロイン

作者: 雪月花VS花鳥風月
掲載日:2023/07/20

新作を投稿します。

チート自覚の無いモブ少年とヒロインだと勘違いしている少女の戦いの話です。

2023年07月21日にエピソードを追加しました。

僕はウェル。

前世は自衛隊で兵器開発をしていた。

今世では山奥の隠れ里で暮らしている。

僕には二人の師匠が居る。

魔術の師匠イッカク。

武術の師匠ニカク。

赤子の時に隠れ里の近くの森に捨てられていたのを師匠達に拾われて、今日まで育ててもらった。

ウェルという名前も師匠達が付けてくれた。

十二歳になった僕は旅に出る決心をした。

「イッカク師匠、ニカク師匠、今日までの御指ありがとうございました」

「ウェル、本当に旅に出てしまうのか」

「これからも私達と一緒に暮らそう」

「申し訳ありません。どうしても旅をしてみたいのです」

師匠達に引き止められたが、決心は変わらない。

「・・・・分かった」

「・・・・仕方ないか」

「ありがとうございます」


「それじゃ出発します」

「「「「「ウェル、身体には気を付けて」」」」」

「分かった。皆も元気でな」

隠れ里の皆に見送られて、僕は旅立った。


「あれ、保存食が切れてしまった」

近道をしようと森の中に入ったのだが、どうやら迷ってしまい、うっかりと保存食を切らせてしまった。

何処かで木の実でも調達しないと、このままでは飢死してしまう。

必死で木の実を探したが、見つからなかった。

「お腹が空いた。もう動けない」

「ドサッ」

遂に体力が尽きてしまい、倒れてしまった。

「大丈夫ですか」

いよいよ餓死寸前になった時、優しい女性の声が聞こえた。


私はプラチナ帝国の第一皇女セシアンナ。

留学の為に隣国シルバー王国の王都へ向かう途中で倒れている少年を発見した。

話を聞くと空腹の為に倒れたらしい。

彼に食料を渡したら、凄い勢いで食べ始めた。

「ありがとうございます。もう大丈夫です」

「それは良かったです。申し遅れました。私はプラチナ帝国の第一皇女セシアンナと申します」

「貴女は皇女様なんですか。僕は、いえ私はウェルと申します」

「無理に敬語で話さなくても、私は構いませんよ」

「不敬罪になりますので、敬語はやめません」

ウェルは年下とは思えないくらいに大人の雰囲気を漂わせた少年だった。

どうやら見聞を広める為に旅をしているらしい。

「付近の町まで送ってあげるわ」

「ありがとうございます。助かります」

セシアンナ皇女に付近の町まで送ってもらう事になった。


「盗賊の襲撃だ」

「かなりの大人数だぞ」

その夜大勢の盗賊に襲撃されてしまった。

護衛達がとても苦戦している。

「僕も闘います」

「ウェル、危険です」

「大丈夫です。任せて下さい」

僕は盗賊達に突撃した。

「ち、ガキが粋がりやがって」

「生意気だぜ」

「そんなに死にたいのか」

「「「ぎゃあああ」」」

そして盗賊達を次々と瞬殺していった。

「何だこのガキは化け物か。野郎共、さっさと始末しろ」

「お前が頭か。覚悟しろ」

「ふざけるな。返り討ちにしてやる」

「ぎゃあああああ」

頭も瞬殺してやった。

怪我をした護衛全員を魔術で治療した。

「もう大丈夫です」

「怪我人を治療してもらい、感謝します。私は護衛隊長のガードです。ところでウェル殿は武術士なのですか。それとも魔術士なのですか」

「違いますよ。多少武術や魔術を習っただけの普通の平民ですよ」

「「「「「絶対に普通の平民じゃない」」」」」

何故か護衛の全員がハモって否定した。

本当に普通の平民なのに。

「隣国の王都まで護衛に加わって欲しい」

ガードさんから隣国の王都まで護衛に加わって欲しいと頼まれた。

「良いですよ」

急ぐ旅でないので、取り敢えず引き受けた。


「そうだわ。私の留学する王立高等学園に通ってみない」

セシアンナ皇女から留学する学園に通わないかと誘われた。

話によると聖騎士科、聖女科、武術士科、魔術士科、召喚士科、錬金術士科があるらしい。

「是非とも通わせて下さい」

学園に興味があるので、直ぐに承諾した。

こうして僕はセシアンナ皇女の推薦で王立高等学園に通う事になった。

取り敢えず召喚士科を選択した。


「遂に乙女ゲーの開始か」

私は乙女ゲーのヒロインのアスカ。

シナリオ通りに王立高等学園に入学した。

必ずハーレムエンドを達成してみせるわよ。


「君達は今日から召喚士科の新入生だ。よって召喚士としての素質を調べさせてもらう。各人が得意な召喚魔法を発動してくれ。まぁ簡単な試験だと思って、気軽にしてくれ」

【召喚】

最初の男子はオークを召喚した。

【召喚】

二番目の女子はコボルトを召喚した。

【召喚】

三番目の男子はゴブリンを召喚した。

【召喚】

僕が召喚魔法を発動させたら、白真珠の指輪と黒真珠の指輪が召喚された。

「アイツ、魔物じゃなくて、二つの指輪を召喚したぜ」

「落ちこぼれは早く自主退学すれば良いのに。恥ずかしくないのかしら」

「全く恥知らずだよな。さっさと死ね」

三人から僕を侮辱する声がしてきた。

教官も呆れた視線を向けている。

「主様を侮辱したな」

「絶対に赦さん」

激昂した声がしたと思ったら、指輪から白虎と黒狼が出現した。

白虎はオーク、コボルト、ゴブリンを瞬時に爪で切り裂いた。

黒狼は殺気を放ち、三人と教官を威嚇した。

その場に居た全員が腰を抜かして、気絶してしまった。


「「主様、契約を結んで下さい。契約方法は指輪を嵌めて、私達に名前を授けてくれるだけです」」

二匹が甘えるように契約を懇願したので、仕方なく指輪を嵌めて、二匹に名前を授けた。

白虎をブラン、黒狼をノワールと名付けた。

名付けた直後にブランが白髪ショートカットのグラマーな美少女の姿に、ノワールが黒髪ロングヘアーのスレンダーな美少女の姿になった。

しかも全裸だった。

どうして全裸なんだよ。

早く服を着てくれ。

「主様、身体を密着させても良いですか」

「主様、匂いを嗅いでも良いですか」

ブランが身体を密着させてきて、ノワールが匂いを嗅ぎ始めた。

「「「「「「「・・・・」」」」」」」

目を覚ました者達が驚愕して、周囲が静寂に包まれてしまったが、直ぐに大騒ぎになってしまった。

ブラン、ハグするな。

ノワール、クンカクンカするな。


「君の召喚魔法は規格外で、私達の想定を超えています。つまり君の召喚魔法は危険過ぎます。よって校内での召喚魔法の発動を禁止とします。そして他の科に転入してもらいます。良いですね」

「・・・・分かりました」

学長室に呼ばれて、校内での召喚魔法の禁止と他の科への転入を言い渡されてしまった。

どうやら僕の召喚魔法が相当に危険視されてしまったようだ。

色々と考えた結果、前世の知識を活かせる錬金術士科への転入を決心した。


「いよ、天才召喚士」

「美少女を二人も従えているなんて、俺は羨ましいぜ」

「完全にハーレムだよな」

「俺は妬ましいよ」

召喚士科では無視されていたのに、錬金術士科では好意的に受け入れられた。

親しい友人が四人も出来た。

アーサー、ランスロット、パーシヴァル、ガラハッドの四人だ。

何故か男子ばかりで、女子の友人は出来なかった。

アーサー達には親しい女子の友人達が大勢いるのに。

ちなみにアーサーとランスロットはギネヴィアという聖女科の女子を巡って、三角関係らしい。


絶対におかしい。

シナリオでは王太子のルイモンド様と悪役令嬢のギネヴィアが婚約している筈なのに、何故かギネヴィアとアーサー様とランスロット様との三角関係になっている。


錬金術士科では錬金術、属性魔法、強化魔法、以上の三つを優先的に学んだ。

校外で密かに召喚魔法を発動させていたら、地球の物品をランダムに召喚出来るようになっていた。


「今日は野外実習です」

全ての科が合同で行う、野外実習の日になった。

主な内容はサバイバル訓練と魔物討伐だ。

僕はアーサー達とグループを組んで、野外実習に挑んだ。


「彼はウェル。召喚士科から錬金術士科に転入してきた元召喚士です」

「彼女はギネヴィア。聖女科トップの才媛です」

アーサーとランスロットからギネヴィアを紹介された。

確かに物凄い美人だが、僕からしたら年の離れた妹か可愛い娘という感じだ。

友人のアーサーとランスロットからウェルを紹介された。

セシアンナから聞いていた通りの同年代とは思えない程に大人の雰囲気を漂わせた男子だった。

しかも私の父と同じようにスリムなのに筋肉質だった。


森の中で野草やキノコを採取しながら、魔物を討伐後に解体して、貴重な肉を手に入れた。

「ギネヴィア、君の為に野草とキノコと肉を取ってきたよ」

「皆で苦労して採取したのでしょう。そんな食材は受け取れません」

「お願いだ。俺達の気持ちを受け取ってくれ」

「・・・・分かりました」

二人にゴリ押しされて、ギネヴィアは渋々食材を受け取った。

アーサーとランスロットがギネヴィアに食材を貢ぎやがった。

「「「アーサーとランスロットは飯抜き」」」

僕達は二人を飯抜きの刑に処した。


「ゴブリンの襲撃だ」

「ゴブリンキングも居るぞ」

真夜中にゴブリンキングに率いられたゴブリンの襲撃を受けた。

「ゴブリンなど私達の敵ではありません」

「直ちに殲滅しますので、ご安心下さい」

ブランとノワールがゴブリン達を次々と瞬殺して、ゴブリンキングさえも簡単に始末してしまった。

「主様、褒美にハグさせて頂きます」

「私もクンカクンカします」

「・・・・分かった」

二人が怖いので、仕方なくハグとクンカクンカを了承した。

「・・・・」

何故かギネヴィアが睨むような視線で、僕達三人を見つめていた。


「貴女達はウェルと男女の関係なのですか」

「主様と私達は男女の関係ではありません。主様の逞しい筋肉にハグしたいだけです」

「あくまでも主と従者の関係です。主様の麗しい体臭をクンカクンカしたいだけです」

どうやらブランは筋肉フェチで、ノワールは匂いフェチだけのようだ。

「・・・・そうですか。多少看過出来ない部分もありましたが、取り敢えず納得しました」

ギネヴィアとブランとノワールが密談をしていたので、気になって内容を聞いたら、『『『乙女の秘密です』』』と言われた。


「ウェル、アーサーとランスロットを止めて下さい」

放課後図書室で復習していたら、突然ギネヴィアが図書室に駆け込んで来て、アーサーとランスロットを止めてくれと懇願された。

どうやらアーサーとランスロットがお互いの開発した武器で決闘して、勝った方がギネヴィアと付き合うという愚行を犯したらしい。

現場に向かうと、多くの野次馬が集まっている。

「二人共、落ち着け。ギネヴィアは物じゃない。彼女を賞品のように扱うなんて、嫌われても知らないぞ」

「邪魔をするな」

「お前には関係無いだろう」

しかし二人は説得に全く応じようとしない。

「・・・・分かりました。私は貴方達とは絶交します。そしてウェルと付き合います」

遂にギネヴィアがキレてしまい、とんでもない爆弾宣言をして、僕の腕に寄りかかった。

僕の腕に豊かな胸が当たっていた。

「嘘だよな」

「冗談だろう」

「私は本気です。私を賞品扱いする貴方達には愛想が尽きました。そしてウェルの誠実な性格に好意を抱きました」

「「・・・・」」

二人は絶望的な表情をして、無言で立ち尽くした。

「主様、彼女ゲットおめでとうございます」

「主様、彼女強奪おめでとうございます」

ブランとノワールが煽るような祝福をしやがった。

「ブラン、ノワール、煽るような祝福をするな。アーサーとランスロットが気の毒だろう」

「あの二人は自業自得です」

「勝手に自滅しただけです」

「アーサーとランスロットを見てみろよ」

「あれの何処が気の毒なんだ」

いつの間にかパーシヴァルとガラハッドが背後に居た。

アーサーとランスロットの方を見ると、複数の女子に囲まれている。

「アーサー、フリーになったのなら、私と付き合ってよ」

「ちょっと抜け駆けしないでよ」

「ズルいわよ」

「ランスロット、前から好きだったわ」

「私もよ」

しかも彼女達から告白されて、だらしない表情をしている。

「・・・・」

「ウェルは知らないだろうけど、あの二人は女子にかなりモテるんだ」

「二人がギネヴィアに夢中なので、誰も告白しなかっただけだ」

「だから私と付き合っても、何の問題も無いわよ」

「・・・・そうですね」

僕は困惑してしまい、頷くしかなかった。

「「おめでとう」」

パーシヴァルとガラハッドからも祝福された。


どうして王太子ルート悪役令嬢のギネヴィアとモブの平民が付き合う流れになるのよ。

何でシナリオ通りに進まないのよ。

ちゃんと悪役令嬢の役目を果たしなさいよね。


「ふむ、私と同じようなタイプの男性を選ぶとは、流石は私の自慢の娘だな。ウェル君、ギネヴィアの事をヨロシク頼むぞ」

後日ギネヴィアの父親と面会させられたが、何故か気に入られてしまった。

「ギネヴィア、ウェル、おめでとう。二人が付き合うなんて、とても嬉しいわ」

しかもギネヴィアとセシアンナ皇女は知り合いだった。

外堀は完全に埋められた。

こうして僕とギネヴィアは正式に付き合うようになった。

赤熊のアカネ、青豹のアオイ、二匹の魔物と契約をして、彼女達にギネヴィアの護衛を任せる事にした。

ちなみにアーサーには伯爵家令嬢のロザリア、ランスロットには子爵家令嬢ベルリーナという彼女が出来た。


どうやら侯爵家令息ルート悪役令嬢のロザリアと伯爵家令息ルート悪役令嬢のベルリーナはシナリオ通りの行動をしているようね。


「ギネヴィアが公爵家令嬢だったなんて」

父親との面会の時にギネヴィアが公爵家令嬢だと知った。

「本当に知らなかったのか」

「学園中の全員が知っているぞ」

「てっきり知っていると思ってた」

「ウェルらしいな」

「・・・・」

僕は無言で佇むしか出来なかった。

ちなみにアーサーは侯爵家令息、ランスロットは伯爵家令息、パーシヴァルは子爵家令息、ガラハッドは男爵家令息だった。

平民なのは僕だけだった。

平民なのに公爵家令嬢と付き合っても良いのだろうか。

「ウェルが功績を上げて、貴族になれば良いのよ」

ギネヴィアが僕に貴族になれという、むちゃくちゃな要求をしてきた。


簡単に貴族になれるとは思えない。

耐性機能を備えた魔物の皮膚や鱗を既存の鎧に錬金術で張り付けたら、呪い、毒、炎、冷気などの攻撃に効果があるかもしれない。

それを聖騎士科に採用してもらえば、功績になるかもしれない。

早速バジリスク、サラマンダー、コカトリスを討伐して、皮膚や鱗を丁寧に剥ぎ取って、鎧に張り付けた。

目的通りに耐性機能を備えた鎧が完成した。


「確かに耐性機能を備えているが、このような鎧は聖騎士科の生徒の装備には相応しく無い」

聖騎士科に持参したが、教官からは鎧の採用を拒否された。


「素晴らしい鎧だ。是非とも冒険者ギルドに納品してくれ」

次に冒険者ギルドに持参したら、鎧を納品してくれと言われた。

「ところで鎧の登録商標は何にする」

「着るぬいぐるみというイメージで開発したので、武装着ぐるみです」


「この武装着ぐるみは良いな」

「耐性機能を備えた鎧なんて、本当に画期的だよな」

「高等魔法学園の聖騎士科の教官は採用を拒否したらしいぞ」

「馬鹿な奴だよな」

武装着ぐるみは冒険者達に好評みたいだ。

買い取り出来ない冒険者の為にレンタル業を始める事にした。


私は大聖女シュミナ。

最近ウェルとかいう錬金術士の噂を耳にしました。

その者は耐性機能を備えた武装着ぐるみと呼ばれる全身鎧を開発しているらしく、副業としてレンタル業も営んでいるらしいです。

それも複種類の武装着ぐるみだという話でした。

何故か武装着ぐるみの事が気になって仕方がありません。

とても良いことを思い付きました。

武装着ぐるみをレンタルして、若手聖騎士達の装備として採用しましょう。

善は急げと言いますし、直ちに通達しましょう。


「「「「どういう事だ」」」」

大聖女シュミナがとんでもない事を思い付いて、本当に実行してしまった。

聖騎士エイは白猿、聖騎士ビイは黒羊、聖騎士シイは茶馬、聖騎士デイは紫猪、若手聖騎士達が武装着ぐるみを装備する事になった。


「若手聖騎士達が可愛い武装着ぐるみになって、私は大変嬉しいです」

「「「「大聖女様、元の装備に戻して下さい」」」」

「駄目です。元の装備には戻しません。絶対に拒否します」

若手聖騎士達が元の装備に戻してくれと必死に懇願したが、大聖女は頑なに拒否した。


「ハハハ、猿だって。お、可笑しい。お腹が痛い。あんまり笑わせないでよ」

「・・・・そんなに爆笑しないで下さい」

聖女ゲラに爆笑されて、エイは不貞腐れてしまった。


「羊をモフモフするのは気持ち良い」

「・・・・そんなに触れないで下さい」

聖女サワにモフモフされて、ビイは不機嫌だった。


「馬なら調教して良いよね」

「・・・・ムチで叩かないで下さい」

聖女ムウにムチで叩かれて、シイは痛い目に遭っていた。


「猪なんてキモい。みっともない。聖騎士なら恥を知れ。恥知らずはさっさと死ね」

「・・・・ごめんなさい」

聖女バトに罵倒され続けて、デイは落ち込んでしまった。


「私はゲラ様に爆笑された」

「ゲラ様は笑い上戸だからな」

「俺はサワ様にモフモフされた」

「サワ様はモフモフするのが大好きだからな」

「自分はムウ様にムチで叩かれた」

「ムウ様は調教フェチだからな」

「僕はバト様に執拗に罵倒され続けた」

「「「・・・・御愁傷様」」」

「「「「これというのもウェルとかいう錬金術士のせいだ」」」」

どうやら聖騎士達から恨まれてしまったらしい。


「男爵ですか」

公爵、大聖女の推薦で、僕は男爵になった。

「これで正式に婚約出来ますね。次は子爵を目指して、もっと頑張って下さい」

ギネヴィアと婚約出来る資格を得たが、子爵を目指して、もっと頑張れと要求された。


何故かモブの平民が男爵になって、ギネヴィアと婚約する資格を得てしまった。

そもそもギネヴィアは王太子ルイモンド様の婚約者の筈なのに、絶対に変だ。

未だにルイモンド様、アーサー様、ランスロット様に接触さえも果たせていない。

何とかしてギネヴィアとモブの婚約を阻止しないと不味いわ。


「あの、錬金術士科のウェルさんですよね」

「そうですけど」

「ちょっと主様に近付かないで下さい」

「主様にはギネヴィア様という立派な彼女が居るんです」

モブに接触しようとしたが、従者の二人に邪魔されてしまった。

桃色髪の変な女が主様に接触しようとした。

あの女は絶対に何か企んでいる。

決して主様に接触させてはならない。

ギネヴィア様、アカネ、アオイ、アーサー様、ランスロット様、パーシヴァル様、ガラハッド様、ロザリア様、ベルリーナ様にも忠告しておこう。


「あの、聖女科のギネヴィアさんですよね」

「はい」

「ギネヴィア様に近付くな」

「この不審者がさっさと消えろ」

ギネヴィアに接触しようとしたが、今度も従者に邪魔された。

ブラン、ノワールの忠告通りに桃色髪の不審な女がギネヴィア様に接触しようとしたので、激しく恫喝してやった。


「あの、錬金術士科のアーサー様ですよね」

「・・・・」

不審者を見るような視線で睨まれた。

「あの、錬金術士科のランスロット様ですよね」

「・・・・」

完璧に無視されてしまった。

ロザリア、ベルリーナも同様だった。


「王太子のルイモンド殿下と婚約しました」

「婚約おめでとうございます」

セシアンナ皇女が王太子と婚約したと嬉しそうに話してくれた。

「ウェルもギネヴィアと早く婚約しなさい」

ギネヴィアと早く婚約しろと言われてしまった。


王太子のルイモンド様が隣国の皇女セシアンナと婚約してしまった。

完全に手詰まり状態になっていた。


独学で召喚術を極めて、地球の物品を自由自在に召喚出来るようになっていた。

機関銃を召喚して、開発した魔道具として売り込もう。

「これは危険過ぎる。よって王宮にしか納品しないようにしてくれ」

しかし機関銃を公爵に見せたら、危険過ぎるので、王宮にしか納品するなと言われた。

どうやら反乱などに悪用される可能性があるらしい。


「王太子殿下と謁見ですか」

公爵から王太子ルイモンド殿下と謁見をするように要求された。

どうやら魔道具に興味を持ったらしい。

「お前が魔道具を開発した錬金術士か。セシアンナから聞いていた通り、年齢の割には大人の雰囲気を漂わせているな。おっと話が逸れたな。そろそろ本題には入ろう。あの魔道具は大変役に立つ。開発の報酬として、勲章を授ける事が決定した」

王太子が開発の報酬として、僕に勲章を授けると言われた。


武器の召喚はやめて、娯楽品の召喚をするか。

この世界は中世欧州みたいだから、チェスを召喚しよう。

チェスと解説本を召喚して、公爵に渡したら、国王陛下と王太子の分も用意してくれと頼まれた。

それどころか貴族達の分も用意させられた。

新たな娯楽品を開発したからと、特別に開発室を与えられた。


あのモブがチェスを開発したという噂を耳にした。

やはりアイツは地球からの転生者だった。

何としてもシナリオから退場してもらわなくてはならない。

確か聖騎士達がアイツへの恨みを漏らしていた。

聖騎士達を利用して、あのモブを排除してやる。


「おい、ちょっと付き合え」

「逃げようとしても無駄だぜ」

「絶対に逃がさないからな」

「覚悟しな」

何故か聖騎士達に取り囲まれてしまい、危害を加えられそうになった。

「主様に危害を加えるつもりですか」

「どうやら命が要らないようね」

「二人共、やめろ。相手は僕がする」

ブランとノワールが返り討ちにしようとしたが、僕が二人を止めた。

本当に殺してしまうかもしれないからだ。

「爆笑の恨みだ」

「モフモフの恨みだ」

「ムチで叩かれた恨みだ」

「罵倒され続けた恨みだ」

襲撃の理由は不明だが、降りかかる火の粉は払わせてもらう。

「ガァ」

「ギャア」

「グェ」

「ゲェ」

ニカク師匠直伝の秘技を駆使して、聖騎士達を瞬時に倒した。

「主様、流石ですのでハグさせて頂きます」

「主様、素敵ですからクンカクンカします」

「二人共、やめろ」

拷問じゃなくて尋問したら、僕に大怪我をさせろと、桃色髪の女子に頼まれたらしい。

以前に接触しようとした女子だろうか。

恨まれる覚えは無いんだけど。

あの女、必ず探し出して、思いっきり後悔させてやる。

あの女、絶対に見つけ出して、大泣きさせてやる。

ブランとノワールから殺気が溢れていた。

「二人共、穏便に探し出してくれ」


聖騎士達がモブへの襲撃に失敗しやがった。

それにしてもモブなのに聖騎士より強いなんて、もしかしたら隠れ攻略者かもしれない。

意外とイケメンだし。

取り敢えず観察する必要があるわね。

どうやら二人の従者が私を探しているらしい。

アイツらは狂暴そうだった。

暫くは鳴りを潜めた方が良さそうね。

私は暫く休学する事にした。


せっかく天才召喚士が召喚士科に入学したのに、錬金術士科に転入させたそうね」

「・・・・ラーマ、少し落ち着いてくれ」

隣国に出向していたラーマ王宮召喚士が学園長を詰問していた。

「とにかく私の弟子にして、徹底的に教育するからね」

「・・・・分かった」


「君が天才召喚士のウェルか。私は王宮召喚士のラーマ。そして今日から君の師匠だ」

「嫌です」

「我が儘を言うな」

「拒否しても良いですか」

「拒否は認めない」

「断っても良いですか」

「駄目だ」


「・・・・分かりました」

僕とラーマの押し問答は一時間にも及び、結局は僕が折れた。

こうしてラーマ王宮召喚士が僕の師匠になった。


「彼女達が君の召喚した魔物か。鑑定させてもらっても良いかな」

「「構いませんよ」」

【鑑定】

「・・・・」

ラーマ師匠の顔色が真っ白になった。

「彼女達は魔物じゃなくて神獣だよ」

「「そうですよ」」

「・・・・知らなかった」

ブランとノワールが神獣である事が判明した。

「ウェル師匠、私を召喚士として導いて下さい」

ラーマ師匠が僕を師匠と呼び、召喚士として導いてくれと言い出した。

立場が逆になってしまった。


「神獣様、ハグさせて下さい。クンカクンカさせて下さい。モフモフさせて下さい」

「「「・・・・」」」

ラーマは極度の神獣フェチだった。

客観的に見たら、とんでもない変態かストーカーだ。

僕達は呆れるしかなかった。


ギネヴィアの誕生日プレゼントにオルゴールを贈ろうと思い、僕が居た頃に一番人気のあった曲のオルゴールを召喚した。

「オルゴールを初めて見ました。とても嬉しいです。大切にします」

彼女は初めて見るオルゴールにとても喜んでくれたように見えた。

この曲を何故か知っているような気がする。

思い出したわ。

前世で一番好きな曲で、死ぬ時にも聞いていた。

次々と前世の記憶が甦ってくる。

私は病弱な為に女子高生として生涯を終えた。

この世界が乙女ゲーと似て非なるものだと分かった。

自分が王太子ルートの悪役令嬢だと知ってしまった。

桃色髪の少女がヒロインだと理解した。

驚愕の余り、顔色が真っ青になるのを感じた。

「ギネヴィア、顔色が悪いよ」

「何でもないわ」

ウェルが心配そうにしていたが、何でもないと誤魔化した。


「学園よ、私は戻って来たわよ」

名案が浮かんだので、私は復学した。

あのモブはセシアンナの推薦で入学したという情報を掴んだ。

二人のシークレットラブの同人誌を学園中にバラまいてやろう。

そうすればルイモンド様とセシアンナは婚約破棄になるかもしれない。

他にもアーサー様とランスロット様のボーイズラブ、ロザリアとベルリーナのガールズラブの同人誌もバラまこう。

私は直ちに地球へと異世界転移して、地球の同人作家に同人誌を作成させて、この世界にとんぼ返りした。

そして同人誌を学園中に空間転移させた。

これなら私の仕業だという証拠は残らない。


「この同人誌は何なんだ」

「「「この薄い本は何なんだ」」」

僕とセシアンナ皇女の赦されざる秘めた恋の同人誌が学園中にバラまかれた。

セシアンナとウェルの不倫の薄い本が王立高等学園中にバラまかれた。

俺とランスロットがホモだという薄い本が学園中にバラまかれた。

俺とアーサーの同性愛の薄い本が学園中にバラまかれた。


「この同人誌は何なのよ」

「「「この薄い本は何なのよ」」」

ウェルとセシアンナの浮気の同人誌が学園中にバラまかれた。

私とウェルの赦されざる秘めた恋の薄い本が学園中にバラまかれた。

私とベルリーナがレズだという薄い本が学園中にバラまかれた。

私とロザリアの同性愛の薄い本が学園中にバラまかれた。


「浮気しているの」

「違う。浮気なんかしていない」

ギネヴィアから詰問されたので、浮気なんかしていないと弁明した。

「主様が好きなのはギネヴィア様だけです」

「主様はギネヴィア様一筋です」

ブランとノワールも弁明してくれた。

「・・・・分かりました。貴方を信じます」

取り敢えず信じてくれたみたいだ。


「貴女とウェルは男女の関係なのか。事実ならば婚約破棄だ」

「違います。ウェルとは単なる友人です」

ルイモンドから詰問されたので、単なる友人だと説明した。

「私は二人が男女の関係じゃないと信じています」

ギネヴィアは私達の事を信じてくれた。

「・・・・分かった。二人を信じよう」

ルイモンド殿下とセシアンナ皇女は婚約破棄を回避した。


「貴方とランスロットはホモの関係なんですか」

「貴女こそベルリーナとレズの関係なのか」

アーサーとロザリアは破局しそうな雰囲気だった。

「貴方とアーサーは同性愛の関係なのかしら」

「貴女こそロザリアと同性愛の関係なんだろう」

ランスロットとベルリーナも破局寸前だった。

「四人共、落ち着け。これは誰かの悪意のある捏造だ」

「四人が同性愛者だという目撃者は一人も居ないわ」

「踊らされては駄目です」

「冷静になって下さい」

僕達は悪意のある捏造だと四人を説得して、何とか破局を防いだ。


これはヒロインの仕業に違いない。

必ず証拠を掴んで、断罪してあげるわ。

絶対に赦さない。

ギネヴィアの怒りは限界を超えてしまった。

しかし薄い本を作成しているのも、本をバラまいているのも、どちらも目撃者が一人も居なかった。


非常に残念だけど、全ての計画が失敗してしまった。

今度こそ成功させてみせる。

桃色髪のヒロインは諦めなかった。


今回の騒動で同人誌という新たな文化(?)が誕生してしまった。

しかもボーイズラブ、ガールズラブ、婚約破棄が流行するようになった。


「あの二人がボーイズラブの元祖か」

「別行動にしないか」

「分かった」

アーサーとランスロットは周囲の視線に耐えきれず、別行動をする事にした。


「あの娘達がガールズラブの本家か」

「帰ろうか」

「うん」

ロザリアとベルリーナは速攻で帰宅した。


「不味い言葉を口にしてしまった」

ルイモンドは薄い本に載っていた婚約破棄という言葉を口にしてしまった事を後悔した。

まさか婚約破棄などという愚行が流行するとは完全に想定外だった。

後悔先に立たずである。

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