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プロローグ どうしてかしら?

よろしくお願いします!

――はて?どうしてかしら?



フランチェスカは首を傾げた。


何故、市井のこんな下町の小さなアパートの一室にこの国の王太子がわざわざ来たのか、フランチェスカは理解出来ずに只々首を傾げていた。


実際に可動域ギリギリまで首を傾げているフランチェスカに、この国の王太子であるレンブラントが言った。


「なんで勝手に城から出て行ってるんだ?しかもこんなボロアパートで一人暮らし?フラン、お前気は確かか?」


顔は穏やかな微笑みを浮かべているのに目が笑っていない。


これは相当怒っていると長い付き合いなので分かる。


フランチェスカは答えた。


「殿下こそわざわざどうされましたの?もしかして視察か何かでこちらまで?」


「俺に断りもなく勝手に城を出て行ったお前を迎えに来たとは思わんのか?」


「???」


「……思わんのだな」


「だってわたしはもう殿下の妃には…「もういい」


フランチェスカの言葉を遮ってレンブラントは徐に立ち上がり、そしてフランチェスカを抱き上げた。


「へ?殿下?」


いきなり横抱きにされてフランチェスカは呆気に取られてレンブラントを見た。


「殿下、どちらに?「それやめろ、以前と変わらず“レン”と呼べ」


「でもわたしはもう……「お前が妃候補から外れる事はない、諦めろ」


何度もフランチェスカの言葉を遮ってレンブラントが言う。


そしてスタスタとアパートから出て行く。


「ちょっと待ってレン様、わたしはもうここで暮らすと決めたのよ」


「却下だ。ロング侯爵家の者としてお前もちゃんと務めを果たせ」


「えーー……無理寄りの無理ですわーー……」


「苦情は受け付けん。俺の前から居なくなる事は許さん」


そう言いながらも歩みを止めないレンブラントの顔をフランチェスカは横抱きにされながらまじまじと見た。


――少し痩せた?


そしてどこか安堵したような表情にも見え、フランチェスカは余計に首を傾げた。


自分はもう、レンブラントにとって不要な存在であるはずなのに。


それなのに何故わざわざ連れ戻されるのだろうか。


体裁のため?

幼馴染としての惰性?


それとも……わたしの事、少しは大切に思っていてくれたのかしら?


そんな事を考えているうちにフランチェスカはレンブラントに馬車に押し込まれ、やっとの思いで出て行った王宮へと再び戻されたのであった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


本編はこれより少し過去に遡った時点から始まります。




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