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東日本大震災 被災地訪問記  作者: 放浪日和
6/10

2011年9月25日②  気仙沼市~南三陸町(宮城県)

 気仙沼と言えば、潮吹き岩で有名な岩井崎がある。震災よりだいぶ以前に見学したことがあったが、海を臨む眺めの良い景勝地だったことは良く覚えている。

 あそこは今、どうなっているのだろうか。

 カーナビで検索してみるとさほど遠くない場所を示したので、私はその場所を目的地に設定して車で向かうことにした。

 しかし…結論から言えば、目的地に辿りつくことはできなかった。

 道が、途中で途切れていたのだ。アスファルトの道路が途中で崩れてなくなり、その先は例によって瓦礫の山の状態。

 カーナビを見る限りは、ごく普通にこのまま道路が続き、およそ2kmほどで岩井崎、と示しているのだが。

(注:後から聞いた話では、別のルートで岩井崎に行くこと自体はできるらしい。しかし、その風景は陸前高田の道の駅とさほど相違がない、との話だった)

 土台だけが残った家(厳密には、元住宅だったらしい場所)の前で車を停め、途切れた道路の際まで少し歩いてみた。海がよく見える場所だった。

 昨日と同様に本日も晴天で、海は穏やかな凪。

 これほどまでに穏やかなこの海が、あの日、広範囲にわたって牙を剥いたのか。

 今まで見たあの光景は、本当に全てこの海によって作り出されたものだというのか。

 目を疑って、改めてそんな風に思ってしまうほどに、今の海面はどこまでも碧く美しかった。


 気仙沼市を後にして、私と愛車は国道45号をさらに南下した。

 今回の震災で壊滅した街は多くあるが、ここまで見て来た以外の場所で私がすぐ思い出したのは「南三陸町」だった。確か、宮城県だったはずだ。

 ここから近いのだろうか。道路地図を取り出し、場所の確認を行う。

 …ない。

 索引を見ても、南三陸町がない。そんなハズはないのだが…。

 …おや。この展開、確か昨日もあったような。

 気付いた私は、昨日と同じく携帯電話でGoogle検索。

 予想通り、南三陸町は志津川町と歌津町の合併によって2005年に誕生した、「平成の大合併」による産物だった。

 古い私の地図では旧町名で載っていた。ここ(気仙沼)からさほど遠くない。国道をしばらく南下すれば、勝手に到着するようだ。そのまま国道を走り続けることにした。


 ほどなく、南三陸町に到着。

 そこで見た風景を、改めて詳細に記述するつもりはない。あえて言うならば「陸前高田市の街並みとほぼ同じ」としか表現のしようがない旨だけ、述べる。

 ただひとつだけ、違うことがあった。国道沿いに営業しているコンビニ(セブンイレブン)があったのだ。

 プレハブの仮設店舗だった。もの珍しさも手伝い、思わず立ち寄ってみた。

 内部は通常店舗とほとんど相違ない。冷蔵庫やホットスナック類の保温庫、レジなどもきちんと完備されている。ただ手洗いだけは、外の仮設トイレのみだったが。

 そして、買物をして受け取ったレシートには、「セブンイレブン○○(地名)仮設店舗店」と記載してあった。

 駐車場で車に乗り込んだところで、団体客の来店があった。カラフルなゼッケンのようなものを付けた、作業着姿の人々。どうやら震災ボランティアの団体のようだった。昼近い時間だった為、休憩に入り、昼食を買いに来たようだ。

 私のような物見遊山の輩とは違い、自分の貴重な時間を割いてボランティアに従事している方々であった。

 そう思うと何だか後ろめたい気持ちになり、私は早々にコンビニを出た。

 …どうか、安全に作業なさって下さい…。

 帰ったらせめて、もう一度募金でもしようか。


(続く)

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