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東日本大震災 被災地訪問記  作者: 放浪日和
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2011年9月24日①  栗原市(宮城県)

 以前、東日本大震災が発生した時の体験日記を書きました。

 いつも通りの何気ない週末が一転した「あの日」のことは、今でも忘れ得ぬ記憶となって脳裏に残っています。


 その後の、震災から半年ほど経過した頃、私は休暇を取って被災地を訪問しました。

 「実際に被災地に足を運び、自分自身の目で被災状況を確かめたかった」という気持ちがあったからです。

 ボランティアができるほどのまとまった時間は取れなかったので、本当に「見学」しただけだったのですが。

 公共交通機関は寸断されているところも多くあったため、自家用車によるドライブ旅としました。

 また、宿の確保も難しかったため、全日程を車中泊としました。


 一部の人たちからは「物見遊山で見学に行くのは不謹慎だ」などとお叱りを受けました。

 もちろん、そういったご意見があることは重々に承知しています。

 しかし、ただ各メディアを通してあの状況を遠巻きに見ているだけでは、このモヤモヤした気持ちがやがて風化してしまうことは想像に難くなく、そうなるのは嫌だ、という気持ちがありました。

 最低限の配慮として、現地被災者の全ての方々が仮設住宅への入居を終えた(避難所が閉鎖された)9月に実行に移しました。


 今回は、そのときの記録を日記風にまとめたものです。

 気が向いた時にでもお目通し頂ければ、幸いです。

 ガソリンを満タンに給油し、いざ出発。

 ルートとしては、自分の住む群馬県から東北自動車道で一気に東北まで行き、一般道で太平洋側を南下する予定でいた。

 ご存知の人も多いと思うが、各メディアのこれまでの震災報道内容は、津波や放射能の被害を受けたいわゆる沿岸地域が大半だった。映像的にインパクトがあると思われるので、これはやむを得ないのかも知れない。

 しかし、実は今回の地震で最大の「震度7」を記録したのは、宮城県の栗原市だった。海沿いではなく内陸部の街のようだったためか、あまり報道されていないこの場所を、まずは見ておこうと思ったのだ。

 余談だが、ここは某お笑いタレントの実家の神社がある街とのことだったので、そこにも参拝をする予定でいた。単に神社参拝が趣味なだけであり、特にファンという訳ではないのだが。


 宮城県の、だいたいどの辺りなのか。おおまかな地域を道路地図(注:当時搭載していたカーナビの年式が古く、機能にかなり制限があったため、アナログな道路地図を併用していた)で確認する。

 …ない。

 索引を見ても、栗原市がない。そんなハズはないのだが…。

 仕方なく、携帯電話(当時はいわゆるガラケー)で検索。

 その結果、栗原市は2005年に築館町、若柳町などをはじめとした10町村が合併して誕生した市であることが判明。いわゆる「平成の大合併」による産物のようだ。

 ちなみに、私の道路地図は学生時代に購入した2002年モノであった…。

 せっかくなので、目的の神社である「櫻田山神社」も検索し、カーナビにその住所を入力してルートガイドを開始。

 築館I.Cから下りて、あとは一般道を行く。

 目に見えて、道路状況が悪くなってくるのが分かった。道路はいたるところで隆起、陥没、ヒビ割れが生じていて、ひどい部分はカラーコーンで囲われていたりした。


 ようやくたどりついた櫻田山神社は、かなり奥まった場所にあった。聞くところによると、1500年の歴史を持つかなり由緒正しい神社とのことだった。

 急な階段を上り、境内を見渡す。

 看板の説明を読むと、この辺りの地域は過去にも岩手・宮城内陸地震の被害を受け、境内の損傷があったそうだ。再建が大変だったらしい。

 そう言えば、件のお笑いタレントは神主になってココを継ぐ予定だそうだが。いろいろ紆余曲折はあったようだが、それなりのネームバリューのある彼が神社を継げば、神社も安泰なのかも知れない。

 参拝したのち、ご寄付代わりに開運のお守りを購入(正式には「授かる」と言うらしい)。と、いっても巫女などの姿はなく、お守りや破魔矢のたぐいが並べられている横の箱に代金を入れて、持っていくシステムだった。

 …いささか不用心な気もするが、参拝客を完全に信用しているのだろうか。ざっと見まわした限り、防犯カメラのようなものも見当たらなかったのだが。


 街の復興を軽く祈り、次なる場所を目指して神社を後にする。

 …ちなみに、この神社のご祭神は「武烈天皇」。

 現状、私には全く縁のない「安産、子育て」の神であることを知ったのは、その後のことであった…


(続く)

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