異世界から来た騎士団長が、現世にて薬局店で働いています
ーー異世界の戦争…。これは、人間と魔物との戦いが何度もくり返していた。
だが、魔物との戦いで、人間たちはひろうしていた。何十匹、何百匹の魔物がいて、すでに限界だった。
死を覚悟していた兵士達。そんな中、一人の女騎士がいた。彼女は、兵士達を鼓舞してくれた。
「もうすぐ魔物との戦いは、終わりを迎えます!皆さん、諦めないでください!」
彼女の名前は『セレナ・ガーネット』。
兵士達や民からは人気があり、騎士団の憧れの者。彼女からの通り名が『女神の騎士』と、呼ばれていた。
セレナの活躍によって、魔物はついに滅ぶことができた。兵士からや民からなど、セレナのことを、英雄の騎士として、喜んでいた。
そして、魔物との戦いが終結してから、一か月後…。平和な世界にて、セレナにじけんがおこった。
それは、遠征から城へ戻ろうとした時であった。
「ついに、城が見えてきましたよ、隊長」
「そうですね」
「長い遠征でしたね、きっと民も喜んでいるはずですよ」
「ええ」
その時だった。
ーーブォォン!
「⁉」
目の前に、いきなり謎のホールが出できた。
「な、何だあれは⁉」
「目の前に、謎のホールが⁉」
兵士達は、謎のホールを見て驚いた。
「ここは、私が…。」
「た、隊長!」
セレナは、剣を抜こうとする。
すると…。
「⁉」
「隊長!」
「く…っ!きゃあああああああああ!」
セレナは、謎のホールに吸い込まれた。
「隊長ぉぉぉぉ!」
謎のホールは兵士たちの前に、消えてしまった。
「…隊長が、謎の空間に吸い込まれた…!」
「これは大変だ…!急ぎ、王に知らせねば!」
兵士達は、セレナが謎のホールに吸い込まれたことにより、城へ戻ることにした。
「御子柴君、店長就任おめでとう!」
「おめでとう!」
一人の青年が、県内の店長たちに祝ってくれた。なぜなら、彼は『御子柴元春』は、薬局店の『ハトバ』という店の店長になったのだった。
「あ、ありがとうございます」
「どうした、緊張してるのか?」
「あ、いえ…、まさかここに働いて五年で、店長になるなんて、思っていませんでしたから…」
御子柴は、信じられないということに思っていた。
「アハハハッ、大丈夫だ!」
別のハトバの店長が、御子柴を元気つける。
「そんなネガティブなことは、気にしたらダメだぞ!」
別の店長はそういった。
「は、はぁ…、恐縮です」
するとそこへ、御子柴と働いていた店長が言ってきた。
「君からは、明日の朝、その店に行ってもらう。もちろん、わしが紹介した従業員たちも、すでに用意している」
「本当ですか?」
「ただし、あと二週間以内に、商品の品物をすべて揃えるように。いいな?」
新しい店舗の開店は、二週間。
これに、御子柴は…。
「に、二週間以内ですか⁉」
「お前ならできるだろう?」
「……」
御子柴は、おそるおそる店長に尋ねた。
「あの~、従業員って何人ですか?」
御子柴の質問に、店長が答えた。
「四人、君を含めば五人だ」
なんと、店長が紹介したのは、たったの四人だけだった。
(従業員、少なっ!…まあ、確かにそうかもしれない…。でも、いずれにせよ、、また募集すればいいよな)
御子柴は、よくあることだと思っていた。
しかし…。
「ただ、その従業員が、問題児でな…。」
「えっ?問題児…?」
店長はしぶしぶといいながら、御子柴に教えるが…。
「いや、ここまで言ったらアウトだ」
「えっ?アウトって、どういう意味ですか?教えてくださいよ」
さすがにそうなると気になってしまう。だが、店長は…。
「とにかく、その店舗にて君は店長になるんだ!分かったかね?」
店長はそう言うと、行ってしまった。
「な、何…?問題児って…?」
御子柴は、分からない状態だった。
その夜、帰り道にてのこと…。
「ふぅ…、疲れた…。けど、まさか俺が店長就任なんて、思っていなかったよ…。」
自分には、ものすごく嬉しいことだった。別の店舗の『ハトバ』にて、店長となって働くのだから。
しかし、一つだけ気になっていることがあった。それは、店長が言っていた問題児、ということを。
「う~ん、問題児っていったい何のことだろう?気になるなぁ…。」
考えていると、その時…。
ーーブォォン!
「⁉な、何⁉」
目の前に、謎のホールが出できた。
「なんだ、このホール…?」
そこへ…。
「きゃあああ!」
「うわぁ!」
御子柴は、謎のホールから出てきた女性とぶつかった。
「あ、あてて…。…んっ?」
そこに倒れていたのは、水色のポニーテールをして、まるで西洋の鎧をつけていた女性だった。
「…な、何だこの人?」
「う、うぅ…?」
彼女はよく見ると、怪我をしていた。
「大丈夫か?」
御子柴は、彼女を起こそうとした。
「どうしよう…。救急車を呼ぼうか?でも…。」
しかし、大した怪我じゃない様子。
「仕方ない…。」
御子柴は、彼女を家へ運ぶことにした。
「…、…?」
女性は目が覚めて、あたりを見た。あたりは古く、まるで昭和の家だった。
「ここは…。」
するとそこへ…。
「あ、目が覚めた?」
御子柴が、彼女が寝ているとこに入ってきた。
「よかった…。君、急になんかのホールから出てきて、怪我をしていたんだよ」
「私が、怪我をした…ですか?」
「うん」
御子柴はうなずいた。
「あの、ここはどこなんですか?」
彼女は、御子柴に尋ねた。
「ここは、『小樽市』というところなんだけど?」
御子柴が住んでいるところは、小樽市という人口十五万人ぐらい住んでいる市内。そして、御子柴が住んでいるのは、『小樽アパート』という、小さなアパートだった。
これに彼女は…。
「小樽市…。」
どうやら、彼女がいた世界ではない模様。
御子柴は、彼女が何者かを尋ねた。
「ねぇ、君の名前はなんていうの?どこから来たの?」
彼女は言った。
「私は、セレナ・ガーネットといいます。私は、『ソルフィルス』というとこからやってきました」
「ソルフィルス?」
セレナは、ソルフィルスのことを説明した。
「ソルフィルスは、私が生まれた街で、ソルフィルス城の、騎士団長をやっています。」
「騎士団…。あぁ…、だからその格好しているのか」
御子柴はセレナが着ている鎧に、納得した。
「でも、なんでこの世界に来たんだ?」
セレナは、理由を言った。
「遠征から、城へ帰ろうとしたとき、目の前に謎のホールが出てきて、吸い込まれてしまったんです。」
「……」
まるでアニメによくある話だった。異世界から来た者が、現世世界にやってくる、御子柴はそう思った。
「でも私…、吸い込まれたのち、なぜかこの世界にいて…。」
「な、なるほど…。」
御子柴は、セレナの事情で、少し分かんなかったが、気持ちは分かった。
「ところで、あなたの名前、なんていうのですか?」
今度はセレナが御子柴を尋ねる。
「ええっと…、俺は御子柴元春、ハトバの店員なんだけど、ついハトバの店長になったばかりなんだ」
「ハトバ…とは?」
御子柴は、薬局店・ハトバについて説明した。
「薬局店のことだよ。薬とか化粧品とか飲料水となど売ってる店だよ。」
これにセレナは…。
「クスリ…?」
「う、うん。といっても、セレナさんじゃあ分かんないかな…」
「……。」
セレナはなぜか、深刻に考えた。
「セ、セレナさん…?」
「…よしっ!」
セレナは決断した。
「あの…、しばらく元の世界に戻るまでしばらくここにいても、よろしいでしょうか?」
セレナの一言で、御子柴は、
「へっ?」
と、目を丸く驚いた。
「そして、そのハトバという、クスリを売っているところに、一緒に行かせてください!」
「え、えぇ~⁉」
御子柴は、セレナのお願いにて、困惑していた。
「そ、そういわれても…。」
「お願いします!」
セレナは土下座して、お願いをした。
「う、う~ん…」
御子柴は、セレナのお願いにどうするか、考えていた。
(セレナさん、ここにいても何をするかわかんないしな…。)
結論の結果…。
「仕方ないなぁ…。」
「!本当ですか!」
セレナは嬉しそうに、礼を言った。
「ありがとうございます、元春さん!」
「……。」
よく考えれば、セレナは別の世界から来ていた。困街に来て、戸惑うばかりだろう。仕方なく、御子柴はこういう決断をしたのだろう。
すると…。
(グゥ~…。)
「?」
「!」
セレナの腹が鳴って、セレナは赤面をしていた。
「は、はぅ…。」
「もしかして…、おなかすいてるの?」
これにセレナは…。
「こ、これはその…。」
(グゥ~…。)
また鳴った。
「………。」
「仕方ないな…。何か作ってやるよ。」
「すみません…。」
御子柴は、セレナのためにご飯を作ることにした。
「……。」
セレナは、御子柴が作っている料理にて、よだれをたらす。
(よほど、おなかすいていたんだな…。)
御子柴は、セレナを見た。よく見ると、ほんわかな美味しそうな顔をしていた。
「セレナさん、よだれ出ているよ。」
「!」
せれなは、よだれをふいた。
そして…」。
「できたよ」
御子柴が作った料理は、豚の生姜焼きだった。
「こ、これは…?」
「豚の生姜焼きだけど、それがどうしたの…?」
「……。」
セレナは、ごくりとつばを飲み込む。
「もしかして、めずらしいの?」
「そ、そんなことありません!い、いただきます!」
セレナは、一口食べると…。
「お、おいしい…。」
と、涙が出るほどうまかった。
「…もしかして初めて食べた?」
セレナは言った。
「こんな食べ物、食べたことないので…?」
「別の世界では、どんなの食べているの?」
「果実やお酒とか…」
これに御子柴は思った。
(どっかのゲームでよくある話だな…。まぁ、でも彼女が喜んでいるし…、いいか)
御子柴は、とりあえずスルーした。
そして翌日…。
御子柴は、店長が言っていた新しい店舗へ向かっていた。もちろん、セレナも一緒だった。
「お、おお…。何ですか、あの鉄のようなイノシシは?」
「車だよ」
「あの天空のような建物は?」
「ビルだよ」
セレナは、周りを見て、めずらしくびっくりしていた。
(セレナさん、この町を見てめずらしく見ている。自分が言うのもなんだけど、セレナさんを連れてよかったのかな…)
セレナのことに、ため息する御子柴。
「ところで、さっき気になったのですが、この服って、元春さんの家にあったのですね」
セレナが着ていたのは、女性の私服だった。
「それ、うちの妹の服なんだ」
「えっ⁉元春さん、妹いたんですか?」
セレナは、御子柴に妹がいたことにびっくりしていた。
「うちの妹は、二歳年下で、OLをしているんだ。けど、長期出張で帰っていないんだ。」
「そうだったんですね…。」
セレナは少し唖然した。
「とりあえず、新しい店舗に行くよ!」
「はい!」
二人は、新しい店舗のハトバへ向かった。
「ええっと…。」
御子柴は、一緒に働いていた店長のメモに頼って、新しい店舗のハトバを探した。
そして…。
「どうやら、ここみたい。」
ドームの半分くらいの店舗、ここが新しい店舗のようだ。
「この新しいハトバの店舗が、俺が責任もってやる店か…。」
するとそこに、誰かいた。
「んっ?あれは…」
そこにいたのは、男一人と女三人が待っていた。
(あの人たちかな…?)
四人は、御子柴を見て気づいた。
「あっ、あそこに誰か来ますよぉ」
「ホンマヤ」
「あの人がもしかして…」
「新しい店長だな」
これに御子柴は思った。
(間違いない、この人たちだ。)
御子柴は、四人に近づいて挨拶をした。
「ええっと、初めまして。私、ここの店舗で働くことになりました、店長の御子柴元春です。よろしくお願いします」
御子柴はおじきをして、みんなに挨拶をした。
「御子柴店長ですねぇ」
話しかけてきたのは、黄色の髪をした、ツインテールの少女だった。
「ど、どうも…」
「私、久本桜子といいますぅ。十九歳で、まだ従業員になったばかりですぅ」
(すでに大学生か。まあ、ハトバのアルバイトの人の募集は、十八歳以上までだからね…)
さらに、その隣には…。
「あんたが、店長さんかいな?」
「そうだけど、君は?」
ショートの紺色の髪をした、関西弁の青年が挨拶をした。
「お初にかかりますで、店長はん。俺は、山城龍一というもんですや。歳は二十一!従業員何で、よろしくお願いしまっせ」
「よ、よろしく…」
「ここの店で頑張りまっせ!」
これに御子柴は…。
(関西から来た男性か…。男性は、戦力あるから大歓迎だけど…)
問題児といっても、この二人ならまだましかもしれない。問題はあとの二人だった。
御子柴は、あとの二人を挨拶した。
「ええと、そちらの二人は…」
最初に言って挨拶したのは、長髪の優しい人だった。
「私、倉木雪子といいます。二十五歳です」
「は、はぁ…」
御子柴は緊張していた。なぜなら、彼女の腰につけていたのは、日本刀だった。
「………」
もはや、言葉に出ないほどだった。
これに、倉木は御子柴を声をかけた。
「あの~、御子柴さん?」
「は、はい!」
「大丈夫ですか?」
倉木は、心配そうに言った。
「だ、大丈夫ですよ!」
御子柴は、彼女が腰につけている日本刀について尋ねた。
「あ、あの…、なんで腰に日本刀を?」
倉木は言った。
「あ、これを持っていないと落ち着けないので」
(それつけてないとだめってことなの⁉)
心の中で唖然した。さらに御子柴は、倉木に質問した。
「あの…、倉木さんはどこの担当で…」
「薬剤師です」
倉木は、薬剤師だった。
(薬剤師の人が、日本刀を持ってるとか、聞いたことないんだけど⁉)
すると、倉木の隣にいた目つき悪い女が言った。
「雪子の実家、確か刃物屋さんだったよな」
「そうなのよねぇ…」
(実家が刃物屋さんだったぁぁぁ!どうりで日本刀持ってるわけだよ!)
さらに、もう一人のほうを見ると…。
(さらにもう一人の問題児、この女性、ものすごく目つき悪いし、なんかヤンキーっぽいみたいだよ!)
その人は、金髪をしていた女性で、さっき倉木と話していた人だった。
従業員が二人、薬剤師が一人、あと残ったのは化粧品担当しかいない。もしやと思った御子柴は、彼女に尋ねた。
「あの~、もしかしてあなた、化粧品販売の担当ですか?」
「おう、化粧品担当の桐島義子だ」
やっぱりだった。
(やっぱりだったぁぁ…!というより、ヤンキーっぽい人が、化粧品担当だなんて全然似合わないんだけど⁉)
御子柴は頭を抱えると、さらに桐島は言った。
「元々、あたしヤンキーだったけど、今はもうヤンキーじゃねぇし、子供もいるから」
(本当にヤンキーだったのかよ!しかもすでに母親かよ!)
御子柴は、店長が言っていた問題児な四人なのは、よく分かった。
(店長に言うには、こんな人たちと働くのか…?相手には失礼だけど、カオスすぎるメンバーだよ!)
マイペースな少女、楽天家な関西人、日本刀を持つ女性、ヤンキーの二児母。このメンバーは、変人が多い。
御子柴は、唖然していると…。
「あの~、元春さん?」
セレナが声をかけてきた。
(!しまった、セレナさんのことを忘れていた!)
セレナの存在のことをすっかり忘れていた御子柴。
すると、四人がセレナを見た。
「御子柴店長、その人誰ですかいな?」
山城は、セレナに指さしをした。
「え、ええっと…」
御子柴は戸惑うと、セレナは自分で自己紹介をした。
「初めまして、セレナ・ガーネットと申します」
セレナは、ぺこりと礼をした。
これに四人は…。
「外人なのか?」
「髪きれ~い!」
「すごい可愛い人やんけ」
「セレナちゃんって言ったかしら?どこから来たの?」
四人は、セレナを見つめる。
「え、あ、いやその…」
セレナは、恥ずかしそうに赤面した。
「……」
御子柴はセレナの注目にて、頭を抱えた。
そして、揃ったところで、御子柴はみんなに挨拶を言った。
「ええっと、皆さんには、これからこの店で働くことになります。店長になったばかりの私ですが、よろしくお願いします」
御子柴は一言言い終わると、みんなは拍手した。
「じゃあ、まず店の中を見ましょう」
鍵をかけ、店に入るとあたりは広かった。
「おぉ~」
さすがの広さに驚く全員。
「すご~い!」
「さすが、新しい店舗やな~」
みんなは感心する。
すると御子柴は、みんなにこの店舗のことを説明した。
「とりあえず、ここにこの店内の見取り図があります。そしてその奥に、倉庫室があります。そこに、商品がありますので」
御子柴が言いかけると、
「要するに、このあたりの棚をきれいにして、商品を入れるんだな?」
桐島は、そう答えた。
「はい、そうです。じゃお、仕事着に着替えてください。更衣室は、倉庫室の左奥にありますので、準備できたら集まって説明しましょう」
全員は移動した。だが、そこへ…。
「ん?」
山城は、外のほうに何か見た。そこに入ってきたのは…。
「おいっ、動くな!」
拳銃を持った二人が現れた。
「だ、誰ですか?」
男は言った。
「おとなしくしろ、お前たちは人質だ」
「人質…?」
「見てわからんのか、俺らは銀行強盗だ!」
これに全員は、驚いた。
「えぇ⁉」
そのころ、御子柴が働いていたハトバの店では…。
「て、店長!大変です!」
ハトバの店員が、慌てて店長のほうに駆けつけた。
「どうした?」
「て、テレビで、新しい店舗に銀行強盗がこもっていて…」
「な、何⁉」
店長は、休憩室に入りテレビを見た。そこには、御子柴たちがうつっていた。
「み、御子柴君!」
人質になってしまった御子柴たちは、座っていた。外には、多くのパトカーがいっぱいいた。
「やべーぞ、ケーサツがいっぱいだ…。」
「動くなよ、動いたら撃つからな」
「……」
御子柴は、なぜこんな時に銀行強盗が入ってきたと思った。倉木と久本は震えていて、桐島と山城は身動き取れない状態だった。
(ど、どうする…?)
すると、セレナが尋ねてくる。
「あの…、元春さん…」
「何?」
「銀行強盗って、何ですか?」
セレナは、素っ頓狂な質問をした。
(今更なの⁉)
御子柴は、心の中でツッこんだ。まあ、セレナは異世界の住民だからわからないだろうと、とりあえずこっそり説明した。
「この人たちは、お金を盗む悪人だよ」
「要するに、盗賊ですか?」
「ま、まぁ…、セレナさんとこの世界で言うと、そんな感じかな…」
御子柴は、セレナにわかりやすくいった。
「それだったら、放っておけません」
「へ…?」
セレナは立ち上がり、銀行強盗の二人の前に立つ。
「そこの二人、悪いことはやめてください!でないと、私が許しません!」
これに、銀行強盗は…、
「あぁ?なんだと?」
セレナをにらみつける。
(ちょっ、セレナさん⁉)
「金を盗み、さらに人質にしてまで、そんな人はわたしがさせません。ここは、元春さんたちの店舗ですから!」
セレナの言葉に、銀行強盗は怒った。
「何言ってんだ、このアマ!」
「怪我したくなかったら、おとなしくするんだな!」
しかしセレナは、銀行強盗に抗う。
「いいえ、あなたたちの悪行はほうっておけません」
「馬鹿にしてんのか、てめぇ!」
銀行強盗は、拳銃を抜いた。だが、次の瞬間…。
ーーバキッ!
「ぐはっ!」
セレナは素早いパンチで、銀行強盗一人倒した。
(え、えええええええ⁉ちょっ…、まっ…、ええええええ⁉)
御子柴は、唖然した。
「はえぇ…。」
「す、すごすぎるやん…。」
山城たちも、御子柴同様に唖然した。
これに、もう一人の銀行強盗は、倒れた銀行強盗を見て焦った。
「て、てめぇ…!」
セレナは、今度は足で銀行強盗の顔面を蹴った。
「ぶっ…!」
銀行強盗は、鼻血を出しながら気絶した。
「ふ、二人の強盗を倒したなんて…」
「セ、セレナさん、強すぎる…」
これに、セレナは言った。
「私、こう見えて剣術だけじゃなく、体術をやっていたもので…」
「……」
どうりですごいわけだ、御子柴たちはそう思った。
こうして、銀行強盗は警察に引き取り、のちにセレナから警察からの感謝状を渡された。
そして、二週間後…。
ついに、店の品揃えが終わった。
「やっとできたか、これで仕事が始められるな」
「私、一生懸命頑張らないとぉ」
「やってやるで、ホンマに」
「そうね、頑張りましょう」
倉木たちはやる気だった。
「…」
すると、セレナは思った。
「…元春さん、私、しばらくこの世界で住むのでしょうか?」
「セレナさん?」
セレナは、兵士達や民たちのこと、そして仲間のことを心配していた。
「……」
御子柴は、セレナを励ました。
「大丈夫だよ、何とかなるさ。もしかしたら、きっと君が元の世界に戻れるかどうかわかんないけど、すぐ見つかるはずさ!」
御子柴の言葉に、セレナは…。
「…元春さん。…はいっ!」
そこへ、初めてのお客が来た。
「いらっしゃいませ、ようこそハトバへ!」
ーーここからが、新しいスタートとなるが、御子柴がこの店にていろいろと巻き込み、大変な日常が続くことは、また別のお話である。
終